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日本の憲法 Vol.25 外国人に対する参政権(定住外国人選挙権訴訟)

2017年10月02日 | Weblog


参政権とは、国民が自己の属する国家の政治に参加する権利であり、性質上その国家の国民にのみ認められる権利であると考えられてきた。この考えに基づいて、現行公職選挙法は、国政選挙、地方公共団体の選挙のいずれについても、選挙権および被選挙権を国民にだけ認めている。

地方公共団体の選挙については、従来の判例及び通説の考え方は、憲法93条2項の「住民」も日本国籍を有する国民であることが前提であり、憲法は地方参政権といえども、国民以外の者にそれを認めることを禁止していた。
しかし近年は、住民としての一定の要件を備える外国人をその選挙から排除することは、憲法の趣旨とはいえないのではないかとの主張が有力となってきている。

定住外国人選挙権訴訟(最判平7年2月28日民集49巻2号639頁)
永住資格を有する在日韓国人である原告らが、定住外国人は憲法93条2項の「住民」にあたり、憲法上地方選挙権を保障されているとして、大阪市選挙管理委員会に対して選挙人名簿への登録を求める異議の申出をしたが、これが却下された。そのためその取消を求めて裁判を起こした。
1審は、原告の請求を棄却した。
そこで、公職選挙法25条3項「前項の裁判所の判決に不服がある者は、控訴することはできないが、最高裁判所に上告することができる。」に基づき最高裁に上告をした。

最高裁判所は、原告らの訴え自体は認めなかったが、判決文の中で「公務員を選定罷免する権利を保障した憲法15条1項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である。」また、「憲法93条2項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第8章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められる者について、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。」と判示している。

要するに一定の定住外国人であっても、国政選挙は国政選挙は憲法違反となるが、地方公共団体の選挙であれば立法府である国会が決定するのであれば憲法違反とはならないとのことである。