参議院の議員定数不均衡事件について、最高裁は、1964年の合憲判決以来、合憲判決を続けてきたが、衆議院についての1976年違憲判決以降、最大格差1対5.26といわゆる「逆転現象(有権者の多い選挙区の議員定数が有権者の少ない選挙区の定数よりも少なくなっている現象)」が問題となった1983年判決(最大昭和58・4・27民集37巻3号345頁)では、理由づけが詳細になっており、参議院旧地方区の地域代表的性格および半数交代制(憲法46条)という参議院の特殊性を強調して、合憲の結論を導いている。
1996年最高裁判決では、最大格差が1対6.59であった1992年の参議院議員選挙について、「違憲の問題を生ずる程度の著しい不平等状態が生じていた」(違憲状態)とした上で、「不平等状態が相当期間継続し、これを是正する何らの処置を講じない」ことが国会の裁量権を考慮しても、許される限度を超えていたとは言えないとして違憲ではないとした(最大判平成8・9・11民集50巻8号2283頁)。
さらに、2012年には、最大格差が1対5.00であった2010年参議院議員選挙について、最高裁は同様に違憲状態にあったとし、都道府県を「参議院議員の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はなく」、その固定化により不平等状態が長期間継続している場合には、「仕組み自体を見直すことが必要になる」と判示した(最大判平成24・10・17民集66巻10号3357頁)。【花見常幸・藤田尚則著「憲法改正版より抜粋】
そして、昨年の2016年7月に行われて参議院議員選挙では、2つの大きな制度改正が行われ、その一つに鳥取県と島根県の選挙区と徳島県と高知県の選挙区が合区され、さらに10増10減での選挙となった。これで一票の格差は最大で1対3.08倍となった。
もう一つの大きな改正は、選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられ、240万人が対象となった。
また自治体の判断で、有権者が投票しやすいような駅や大型ショッピングセンターなどに共通投票所の設置ができるようになった。