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日本の憲法 Vol.45 議員定数不均衡は憲法違反(衆議院議員編)

2017年10月25日 | Weblog


議員定数不均衡の問題は、憲法14条に関する重要な論点となっている。国会議員(衆議院議員、参議院議員)の選挙において、各選挙区の議員定数の配分に不均衡があり、そのため、有権者数との比率において選挙人の投票価値(一票の重み)に不平等が存在することが違憲ではないかとの問題である。
今回は、衆議院議員の定数配分規定についての二つの違憲判決ついて述べていきたい。
①昭和51年4月14日判決(最大判民集30巻3号223頁)で、この裁判は昭和47年12月に行われた衆議院議員選挙で一票の格差が最大で4.99対1に及んでいることが投票価値の平等に反するとして選挙の無効を提起した訴えである。
②昭和60年7月17日判決(最大判民集39巻5号1100頁)で、この裁判は昭和58年12月の衆議院議員選挙において、一票の格差が最大で4.40対1で不平等選挙として選挙の無効を提起した訴えである。

①、②ともに憲法の選挙権平等の要求に違反し、かつ憲法上要求される合理的期間内における是正がなされなかったとして違憲の判断を下した。
とくに①での判決は、「憲法14条1項に定める法の下の平等は、選挙権に関しては、国民はすべて政治的価値において平等であるべきとする徹底した平等化を志向するものである。」として、「各選挙人の投票価値の平等もまた、憲法の要求するところである。」と述べて、「平等選挙」の原則は、「投票価値の平等」も含まれるものであることを最高裁として初めて認めた。

しかし、①、②とも衆議院議員選挙の選挙無効訴訟に対するものであるが、当該選挙の違憲違法を宣言するのみでそれを無効とはしない、事情判決(行政事件訴訟法31条)の法理を適用する手段をとった。

また、2009年に行われた衆議院議員選挙では、2011年に最高裁は一票の格差が最大格差が2.304対1であり、選挙区割規定が違憲状態にあるとの判断を下している。

さて、今回の衆議院選挙はどう判断されるのか?
今回は、小選挙区で0増6減、比例代表で0増4減での議員定数を10減らして戦後最少の465人。
一票の格差が1.98対1であり、学説で広く支持をされている2倍を下回っている。

さらに、昨年成立した衆院選挙制度改革関連法によると、2022年以降は配分議席数を「アダムス方式」を導入しすることになり、一票の格差が1.621対1となる予定である。