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日本の憲法 Vol.36 【新たな人権】プライバシーの権利(「宴のあと」事件)

2017年10月16日 | Weblog


幸福追求権から具体的な権利が、新しい人権として主張されてきたものに、プライバシーの権利、環境権、日照権、静穏権、眺望権、入浜権、嫌煙権、健康権、情報権、アクセス権、平和権など多数がある。

プライバシーの権利は、まず1964年の「宴のあと」事件の一審判決で、「私生活をみだりに公開されない法的保障ないし権利」と定義され、私法上の権利(人格権)の一つとして承認された。
その後、私法上の権利として認められた人格権の一つとしてのプライバシーの権利は、京都府学連事件、前科照会事件等の最高裁判決によって憲法上の権利としても確立した。

「宴のあと」事件訴訟(東京地判昭和39年9月28日下民集15巻9号2317頁)
原告は、外務大臣の経験もある有名な政治家であったが、昭和34年の東京都知事選に出馬し落選した。三島由紀夫は、この原告をモデルとする小説「宴のあと」を出版した。
この小説「宴のあと」によって、自らのプライバシーが侵害されたとして、三島由紀夫と出版社の新潮社を相手取り、謝罪広告と損害賠償を請求した事件である。
第1審の東京地方裁判所は、プライバシーの権利性の根拠を憲法13条の個人の尊厳に求め、プライバシー権の侵害が不法行為を構成するための成立要件を示したうえで、本件についてその侵害を認め、被告に80万円の損害賠償を支払いを命じた。
なを、事件は二審に係属中に和解が成立して決着がついている。

※プライバシー侵害の要件
公開された内容が、①私生活上の事実または事実らしく受けとられるおそれのあることがらであること。②一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合、公開を欲しないであろうと認められることがらであること。③一般の人々に未だ知られていないことがらであること。が必要と判示された。