ピアニスト藤木明美のブログ No.2

異色のピアニスト藤木明美が、音楽を通しての日々を綴ります。

みなとみらい小ホール

2013-03-17 15:31:58 | コンサート
画像はリーハサル

2013.1.31、みなとみらい小ホール。
声楽家葛西みなこさんの伴奏で演奏した。
みなとみらい小ホールは、横浜で一番音響が良いと言われている。
私も何度も演奏しているが、ホールの持っている品性を感じる。

実は、この日の朝、目覚めたら、天井が360度グルグル回る眩暈に襲われ、
どうなるかと焦った。
本番までの時間になんとかしなければならない。

幸い本番は夜。
とりあえず、安静にして回復を待った。
何とか落ち着いたが、どうも、頭を動かすとダメなようだ。
ものを取ろうとしたり、ストレッチしたりすると、
また、世界がグルグル回る。
まるで洗濯機に入っているようだった。

本番中、うっかり頭を動かすと大変なことになるかもしれない。
と思い、本番中は極力、不動の姿勢で弾くことにした。
一瞬たりとも油断ならない。細心の注意は必須。

本番が始まった。
最初の難関はお辞儀。これで失敗したら世界がグルグル回りだす。
下を向かず、ほんの少し会釈した。
それからは、頭の位置は動かさず、一曲一曲丁寧に、綱渡りのように弾いていく。

なんとか無事、最後の曲までこれた。あと一曲。
やっと、開放されて、最後の曲だけは自由に弾いた。

こういうときは、経験が大きいと実感する。
なぜか本番の自分だけは信頼できる。
「本番は、大丈夫だ」と全く根拠のない確信がある。
演奏家は、踏んだ本番の数だけ安心できるようになっている。

とは言え、さすがに二度と起きて欲しくないものだ。