四弁の赤い花が集まって咲く「サンタンカ」。沖縄には古くから帰化しているという。原産地は中国南部からマレーシア。イクソラという名前でも知られる。
(2020-08 東京都 神代植物公園)
サンタンカ Ixora chinensis Lam. はアカネ科の低木。赤い花を多数纏めてつけ、非常に美しい。沖縄には古くに入り、沖縄と九州の一部では野生化している。
常緑性の低木。樹高は1-3mになり、全株無毛。節ごとに托葉があり、3角形か広3角形で先端は針状に尖って突き出し、長さ3-7mm。葉は倒卵状楕円形で先端は尖らず、基部は次第に細くなって短い葉柄に続く。葉身の長さは5-13cm、幅は2-6cmで、葉柄の長さは1-4mm。
花は主に7-8月に咲くが、ほぼ通年に見ることが出来る。花序全体が紅色をしている。花序は茎の先端に出る集散花序で、多数をまとめてつける。萼筒は長さ1mm、先端が4つに裂けており、その裂片は広卵形で先端が丸く、長さ1mmほど。花筒は長さ2-3cm、幅1mmほど、外面は無毛、花筒の内側には軟らかな毛を密生するが外側の面は無毛。花筒の先端は4つの裂片に裂け、それぞれの裂片は倒卵円形で先端は丸くて長さ5-7mm、幅4-6mm。葯は細長くて葯は花筒から抜け出て伸び出す。花柱は細長くて長さ2.5-3.5cm、軟らかな毛がまばらにある。液果は横長の球形で縦向きに走る溝があり、長さ4mm、幅5mm。熟すと紅紫色になる。種子は径3mm。
名の由来
名前はサンタンカは山丹花、別名をサンダンカ(三段花)といい、福岡(1997)はその由来は不明としている。三段花については佐竹他(1997)は当て字であろうとしている。
天野(1982)は、昔、南中国の奥東潮州の黄という婦人がおり、彼女が潮州の仙丹山を通る際に簪を落とし、それがこの花に化し、それ以降仙丹山にはこの花が多い、という伝説を紹介している。
現在では同属の多くの種が持ち込まれて流通しているため、園芸方面では学名仮名読みのイクソラがよく通じるという。
分布
中国南部からマレーシアにかけてを原産とする。現在では九州南部までに帰化した例がある。 沖縄や久米島では古くより逸出して野生状態でも見られる。
■熱帯植物シリーズ■
「金盃」(熱帯植物シリーズ 20-01)
「かぐや姫」(熱帯植物シリーズ 20-02)
「白珠丸綴化」(熱帯植物シリーズ 20-03)
「コロカシア・ファラックス」(熱帯植物シリーズ 20-04)
「ペトレア・ヴォルビリス」(熱帯植物シリーズ 20-05)
「コスツス・バルバツス」(熱帯植物シリーズ 20-06)