冬に赤い実をつける「南天」だが、夏には白い花を咲かせる。花が開くと黄色の花芯が飛び出してきて、花弁はすぐに落ちてしまう。南天は冬の季語だが、南天の花は仲夏の季語である。「さみだれに南天の花のうるみける 井上士朗」。
(2021年初夏 川崎市)
■夏の花シリーズ
「アカンサス」(夏の花 21-001)
「タチアオイ」(夏の花 21-002)
「コバンソウ」(夏の花 21-003)
「エノテラ ‘アフリカンサン’」(夏の花 21-004)
「ヒメコバンソウ」(夏の花 21-005)
「ムシトリナデシコ」(夏の花 21-006)
「ゼニアオイ」(夏の花 21-007)
[別名]南天燭
科・属:メギ科ナンテン属
性質・分類:常緑低木
原産地:中国、日本
出回り期:10月~5月(※実の出回り時期)
開花時期:6月~7月(花持ち期間は3~5日程度)
用途:庭木、盆栽、アレンジメント、生け花
南天は日本や中国が原産の常緑低木で、自生している南天は、1~3mほどまで生長します。漢名の「南天燭」から、日本では略して「南天(ナンテン)」と呼ばれています。夏に咲く白い花は、徐々に赤色になります。冬になると真っ赤な果実を実らせ、生花店でも良く見られるようになります。実は鳥も大好物で、庭木にすると鳥が良く食べに来ます。
自生もしている通り、育てやすく初心者にもおすすめの植物です。園芸店やホームセンターで、苗木が多く流通しています。
南天の花 の例句
さみだれに南天の花のうるみける 井上士朗
南天の実になる花と思はれす 正岡子規 南天の花
南天の花きつちりと咲きにけり 鷹羽狩行
南天の花こぼるゝよ腹のうへ 松窓乙二
南天の花つまぐりて愛づるかな 山口誓子
南天の花にかくれて人嫌ひ 鷹羽狩行
南天の花につけても慕情かな 中村汀女
南天の花にとびこむ雨やどり 飴山實 辛酉小雪
南天の花の向うの庭木かな 草間時彦
南天の花の吹雪に書斎古る 山口青邨
南天の花の白さのめでたけれ 高野素十
南天の花日光の掠れをり 飯島晴子
騏麟の間南天の花を見て坐る 山口青邨