野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

花がまとまって咲くので目立つキリンソウ

2019年07月24日 05時25分17秒 | 

六月の神代植物公園に、ベンケイソウ科の花の一つのキリンソウが群れて咲いていた。この科の植物は似たものが多いが、キリンソウはまとまって咲くのが特徴だ。変種名の floribundum が、「花の多い」を意味するのも、よく理解できる。俳句の世界でも麒麟草という名前にひかれてか、好まれているようだ。「湖めぐり来て麒麟草咲ける宿 村山故郷」のように、ごく普通にみられたのだろう。

(2019-06 東京都 神代植物公園) 

 

 

 

キリンソウ(麒麟草、Phedimus aizoon var. floribundus)は、ベンケイソウ科に属する多年草である。和名は「黄輪草」と表記されることもある。

特徴
茎は太く高さ5-30 cm。葉は肉厚で、長さ2-7cmの倒卵形または長楕円形で互生する。葉の縁は中央から先端にかけて鋸歯形状となる。茎の先端が平らな集散花序となり、マンネングサに似た多数の黄色い花を付ける。花弁は5枚で、花期は5-8月。シノニムの種小名kamtschaticumは、カムチャツカを意味する。別名は「キジンソウ」「キジグサ」ともいい、和名は「傷薬の草」を意味し、これが転訛して「キリンソウ」となったとする説がある。また、中国の古書に登場する伝説上の動物麒麟に由来するという説もある。

分布
シベリア東部・中国・朝鮮半島と日本の北海道・本州・四国・九州の山地の日当たりのよい岩場などに分布する。伊吹山の上野登山道の岩場に群落がある。田中澄江が『新・花の百名山』の著書で弓張山地を代表する花の一つとして紹介している。

 


麒麟草 の例句

きりん草 それより黄な灯で 墓守棲む 伊丹三樹彦
きりん草城攻め入れば褒美遣る 山口誓子
きりん草枯れゆけり括られもせず 岡本眸
きりん草禁制の山行者嶽 山口誓子
ブルドーザーの惰眠 錆噴く 麒麟草 伊丹三樹彦
操車場侵せし麒麟草低し 山口誓子
朝からの修羅の眼 きりん草総揺れ 伊丹三樹彦
湖めぐり来て麒麟草咲ける宿 村山故郷
蜜柑生る国麒麟草少なけれ 山口誓子
鉄路にも川にも沿へる麒麟草 山口誓子
長谷寺の谷間は麒麟草浄土 山口誓子
麒麟草日本の芒凌げざる 山口誓子
麒麟草枯れ尽くしたり醜の醜 山口誓子
麒麟草真葛ケ原の中に立つ 山口誓子
麒麟草箱根の関で堰かれずに 山口誓子


淡い青がきれいなシンプルなアジサイ済州島(紫陽花シリーズ21)

2019年07月21日 08時44分56秒 | 

済州島は韓国のリゾート地の済州島からもたらされたアジサイ。特別なところはなく、薄い青がきれいなガクアジサイである。技巧の極みをみせられた後では、こんなシンプルなアジサイもいいかも。

(2019-06 東京都 神代植物公園) 

済州島

済州島に分布するアジサイです

 今日は予報通り、気温が高くなりました。暑かったが、久しぶりの青空でとても気持ちがよかったです。でも、夕方になると、なぜかもやっとした天気に変わりました。どうも、この青空は長く続かないようです。いよいよ梅雨入りですね。
 
 さて、今日は「済州島(サイシュウトウ)」というアジサイを紹介します。
 済州島は韓国の最南端のあるリゾート地として有名な島で、比較的温暖な気候の火山島です。
 そして、このアジサイに、その島の名前がついているのは、このアジサイの自生地が済州島周辺で、1980年代に日本に持ち込まれた際に、自生地の名を使って命名されたからだと言われます。
 他のヤマアジサイと特に変わるところはなく、淡い青がきれいなアジサイです。また、同じ時期に持ち込まれた類似の品種に、「流星」や「明星」があるとのことです。


地面にびっしりと生えて元気なマルバマンネングサ

2019年07月21日 07時53分18秒 | 

マンネングサの仲間はよく似ていて、区別しにくいことがある。このへんで一番多くみかけるのはツルマンネングサだが、どれも小さな空き地の片隅でもがんばって花を咲かせるので、愛着がわく。マルバマンネングサは名前どおり、葉が丸いので区別できる。区別の仕方は「マンネングサに似た仲間」のページを参照されたい。園芸用も増えている。グラウンドカバーに適した植物だが、増えすぎで困ることも。

(2019-06 川崎市 路傍) 

 

マルバマンネングサ(丸葉万年草)
常緑多年草
本州/九州の山地の岩上や石垣に生える。小型のロゼットで越冬する。花茎は基部がはって分枝し、先は斜上して高さ8/20cm。葉は対生し、倒卵形またはさじ形で長さは7/10mm、先は丸く基部は柄状になる。茎頂に集散状の花序をだし、黄色の花をつける。花弁は5個、披針形で長さ4/5mm、平開する。裂開前の葯は赤色。花期は6/7月。(山に咲く花)
学名は、Sedum makinoi
ベンケイソウ科マンネングサ属


茎の色に注目したユニークな黒軸アジサイ(紫陽花シリーズ20)

2019年07月20日 07時41分29秒 | 

斑入りアジサイのように葉に注目するアジサイはあるが、黒軸アジサイのように茎に注目したアジサイというのも珍しい。たしかに黒い軸が白の装飾花や青の両性花とマッチして、よく目立つ。花が手毬状になるものもあるらしい。リンクの写真にみられるように、それもまたユニーク。

(2019-06 東京都 神代植物公園) 

黒軸アジサイ

アジサイ(黒軸アジサイ)
2018年06月15日 | nokoの花図鑑
学名: Hydrangea macrophylla f.mandschurica 科名:アジサイ科(ユキノシタ科)  属名:アジサイ属  
樹高:1m程度の落葉低木

黒軸アジサイ茎が黒くなるので黒軸アジサイと呼ばれます。古くからあるアジサイの一種で花と葉と茎のコントラストはもちろん
黒い茎はお庭のアクセントとして存在感アリです。

黒軸紫陽花(クロジクアジサイ):若枝がすべて紫黒色になる古品種。花はテマリ状にもなり、青かピンク色。
一重と八重があり、大抵は黄緑からブルー・ピンクに変化します。最近は白もあるようです。(グリンに変化する花もあります)。


蕾の間も、開花してからもワクワクさせてくれた巨大なアザミの花アーティチョーク

2019年07月20日 06時15分00秒 | 

食用として知られているが、アーティチョークは観賞用の花もある。アザミの化け物のような花が豪快に咲くのをみると、ひたすら感嘆する。咲いている間は、近くを通るのが楽しみだった。蕾の間も、何か神秘的なことが始まろうとするかのようなワクワク感を抱かせてくれた。花期は10日ほどだったが、これほどの楽しみをもたらしてくれるこの花を植えてくれた人に感謝したい気持ちでいっぱいだった。

(2019-06 川崎市 路傍) 

アーティチョーク

アーティチョーク(Artichoke、Globe artichoke、学名:Cynara scolymus)は、キク科チョウセンアザミ属の多年草。和名はチョウセンアザミ(朝鮮薊)。若いつぼみを食用とする(花菜類)。地中海沿岸原産。


特徴
高さは1.5-2mで、葉は50-80cmに達し、つぼみは8-15cmに達する。

ちなみに、英米ではキクイモとチョロギもArtichokeと称する。エルサレムアーティチョーク(英語: Jerusalem artichoke)とアーティチョーク(英語: Artichoke、Globe artichoke)は別の種類の植物であり、エルサレムアーティチョークはキク科のヒマワリ属キクイモで、アーティチョークはキク科のチョウセンアザミ属チョウセンアザミである。

利用
総体積に占める可食部の割合は少ない。食用とするには、まずつぼみをレモンなどと共に茹でるか、蒸す。そして、花及び果実の冠毛になる繊毛を取り除き、蕚状の苞片を外から剥き、苞片基部の肉質部分を歯でしごくように食べ、最後に花托部分を切り分けて食用とする。食用部分はでんぷんに富んでおり、食感はいもに似ている。水溶性食物繊維に富む。葉にはシナリンを含み、肝臓の解毒に効果がある。 シナリンには味蕾の甘味受容体の働きを阻害し、アーティチョークを食べたあとに食べるものの味をなんでも甘く感じさせてしまう働きがある。そのため、アーティチョークに上質なワインは合わないとされている。

ヨーロッパやアメリカでは広く食用とされている他、インドでも二日酔いの防止のために飲酒の後に茶に混ぜて飲まれているが、日本では栽培条件が合わないこともあって野菜としてはあまり普及していない(観賞用が多い)。イタリア料理では、イタリア語由来のカルチョーフィ(carciofi【複】)またはカルチョーフォ(carciofo【単】)と呼ばれ一般的な野菜として前菜などに使用される。フランスではゆでたり詰め物をしたりして調理するが、新鮮なものを生で食べるケースもある。花を乳に入れて加熱すると60℃で凝固することから、これを凝固剤として使うカイユボート(フランス語版)というチーズがある。ポルトガルではアーティチョークのおしべを使って凝固させるチーズがしばしば見られる。セーラ・ダ・エストレーラやニーザなどである。ベトナムでは乾燥させてお茶のように飲むアーティチョーク茶 (tra atiso) がダラットの特産品として知られる。


両性花が脱落することで装飾花の美しさが強調される美方八重(紫陽花シリーズ19)

2019年07月13日 09時38分25秒 | 

この八重のアジサイ「美方八重」は、両性花が脱落するのが特徴らしい。ガクアジサイがガクの装飾花の美しさを重要なポイントとするものだとすれば、両性花がなくなるのは一つの究極の理想だろう。写真の装飾花はかなり悲惨な状態だが、ほんらいは青の発色のきれいなガクアジサイだという。リンクの写真を比べてみていただきたい。

(2019-06 東京都 神代植物公園) 

美方八重 (ヤマアジサイ)
兵庫県美方郡鉢伏山産の八重咲き種。
装飾花は青色の星型で、とても美しい品種です。
株の丈は比較的小型な方なので、コンパクトに育てられます。


お盆の花としても有名なミソハギ

2019年07月13日 05時41分20秒 | 

六月末の神代植物公園の水生植物園は、半夏生とこのミソハギが目立った。湿地に多数の紅紫色の花を咲かせて、映えていた。お盆の花にも使うらしい。そのためボンバナとかショウリョウバナとも呼ばれる。「千屈菜の供華をゆたかに父の墓 横原律子」。千屈菜の名前は中国名で漢方でもこの名前を使う。きれいな花なのに、これまで知らなかった。

(2019-06 東京都 神代植物公園) 

ミソハギ(禊萩)
ミソハギ(禊萩、学名:Lythrum anceps)はミソハギ科の多年草。

特徴
湿地や田の畔などに生え、また栽培される。日本および朝鮮半島に分布。茎の断面は四角い。葉は長さ数センチで細長く、対生で交互に直角の方向に出る。お盆のころ紅紫色6弁の小さい花を先端部の葉腋に多数つける。

盆花としてよく使われ、ボンバナ、ショウリョウバナ(精霊花)などの名もある。ミソハギの和名の由来はハギに似て禊(みそぎ)に使ったことから禊萩、または溝に生えることから溝萩によるといわれる。

近縁のエゾミソハギとも、千屈菜(せんくつさい)と呼ばれて下痢止めなどの民間薬とされ、また国・地方によっては食用にされる。千屈菜(みそはぎ)は秋の季語。

近縁種

近縁のエゾミソハギ (L. salicaria) はミソハギより大型で、葉の基部が茎を抱き、毛が多い。九州以北の各地(北海道に限らない)、またユーラシア大陸や北アフリカにも広く分布する。欧米でも観賞用に栽培され、ミソハギ同様盆花にもされる。世界の侵略的外来種ワースト100 (IUCN, 2000) 選定種の一つである。

 

千屈菜

みずすまし早い早いぞ千屈菜に 小林一枝
千屈菜(みぞはぎ)の水影ささら彩たちぬ 石原八束 高野谿
千屈菜といへば近江の父の墓 大橋敦子
千屈菜に雲の変幻かぎりなし 福田蓼汀
千屈菜のすこし藍染む紺屋裏 一丸文子
千屈菜の供華をゆたかに父の墓 横原律子
千屈菜の水影ささら彩たちぬ 石原八束
千屈菜の群れ咲く波の声もなし 石原八束
千屈菜は鳴つているなり二日月 小林一枝
千屈菜や若狭小浜の古寺巡り 湯下量園
鼠尾草(みそはき)のよそも御名よぶ夕べかな 上島鬼貫
鼠尾草や身にかゝらざる露もなし 暁台
みそはぎやバケツで洗ふ登山靴 皆川盤水
みそはぎや水につければ風の吹く 一茶
みそはぎや真菰編むなる庭の花 木津柳芽
みそはぎ穂を揃へ立ちお寺の盆後 梅林句屑 喜谷六花
みそ萩のはつはつ咲いて草の丈 滝 春一
みそ萩や母なきあとの母がはり 稲垣きくの
家遠しみそ萩つむは孤児か 幸田露伴 谷中集
鼠尾草(みそはぎ)も売られスーパー花売場 高澤良一 素抱 
溝萩の綻びかけに目を細め 高澤良一 寒暑
島田家の溝萩常のいろ湛え 高澤良一 素抱
骨壺は溝萩盛る家を出で 高澤良一 素抱
手つかずの溝萩に風拡がれり 高澤良一 暮津
溝萩の謐けさ破り泥鰌捕 高澤良一 暮津


装飾花そのもののうちで立体感がでている伊豆の華(紫陽花シリーズ18)

2019年07月12日 08時04分48秒 | 

写真のものはまだ装飾花がまばらにしか咲いていないが、やがては八重の装飾花がきれいに咲きそろうはずである。名前の通りに伊豆で作られたガクアジサイだが、立ち上がった八重の萼片がみごとだ。リンクしてあるページの写真をごらんいただきたい。また内側の萼片が小さくなっているために、個々の装飾花そのもののうちで立体感がでているのも妙である。

(2019-06 東京都 神代植物公園) 

伊豆の華 (ガクアジサイ)
静岡県伊東市八幡野付近産のガクアジサイ。
紺色の八重ガク咲き。装飾花は細弁で、花房全体のバランスからすると小型です。
派手さはありませんが、とてもきれいなガクアジサイです。


橙色の南国風の花を咲かせるノウゼンカズラ

2019年07月12日 05時37分00秒 | 

橙色の南国風の花を咲かせるノウゼンカズラは、平安時代に到来したという。中国名は凌霄花で、天を凌ぐ花という勇ましい名前だ。そんなに高くなっている株はみたことがないが、勢いのある花なのだろう。「その子ずけずけ亡父を語るのうぜんかずら 金子兜太」という句はこの勢いと傲慢さをうたったものだろうか。もう花が終わった株が多いようだが、まだちらほらと見かける。日本には珍しい元気な花の色を楽しみたい。「のうぜんのもと踊り子の待ち合はす 大野林火 潺潺集 昭和四十年」。

(2019-06 川崎市 路傍) 

 

ノウゼンカズラ

開花時期 6月、7月、8月、9月
花の色 オレンジ
名前の読み のうぜんかずら
分布 原産地は中国。
日本へは平安時代に渡来。
生育地 庭植え
植物のタイプ 樹木
大きさ・高さ 2~5m
分類 ノウゼンカズラ科 ノウゼンカズラ属
学名 Campsis grandiflora
花の特徴 オレンジ色の大きい漏斗状の花をたくさんつける。
花径は5~10センチくらいある。
雨や曇の日が続くと、花や蕾が落ちやすくなる。
葉の特徴 葉は向かい合って生える(対生)。
奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)である。
3対~6対の小葉からなり、先に1枚の小葉がつく。
小葉の形は細長い卵形で、先は細長く尖り、縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。
実の特徴 花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
この花について 属名の Campsis はギリシャ語の「campsis(湾曲)」からきている。雄しべが弓形をしていることから名づけられた。
種小名の grandiflora は「大きな花の」という意味である。
その他 漢名は凌霄花(りょうしようか)で、凌には「しのぐ」、霄には「そら」の意味がある。
「天を凌ぐほど高く登る花」という意味になる。
「ノウゼン」や「ノウゼンカ」とも呼ばれる。
俳句の季語は夏である。
近年はアメリカ凌霄花(アメリカノウゼンカズラ)と交配した園芸品種が販売されており、赤のより濃いものや桃色、黄色などのものもある。

 

凌霄花 の例句

あしたより天の灼けつゝ凌霄花 百合山羽公 春園
おんばしら見むと凌霄咲き昇る 林翔
くろぐろと夜空なだるる凌霄花 岡本眸
この庵の尼の住まへる凌霄花 森澄雄
その子ずけずけ亡父を語るのうぜんかずら 金子兜太
ながあめの切れ目に鬱と凌霄花 佐藤鬼房
のうぜんかづら垣越えて旭の早し 大野林火 冬青集 雨夜抄
のうぜんのかさりかさりと風の月 下村槐太 天涯
のうぜんのもと踊り子の待ち合はす 大野林火 潺潺集 昭和四十年
のうぜんの吹かれて花をおとしけり 百合山羽公 春園
のうぜんの散る日の山の平かな 星野麥丘人
のうぜんの花の蔓より蟻のみち 百合山羽公 春園
のうぜんの花をいたゞき蝉涼し 百合山羽公 春園
のうぜんやけふ荒海の一とたひら 森澄雄
のうぜんや塔婆のごとく風垣立つ 角川源義
のうぜんや服薬暗く身に残り 岡本眸
のうぜんや真白き函の地震計 日野草城
のうぜんや道尋ぬるに煙草買ふ 森澄雄
のうぜんや遺りし者ら顔洗ふ 岡本眸
のうぜんや釘のとび出す塀の裏 古舘曹人 砂の音
ほふしぜみ凌霄かつら花を盡くす 百合山羽公 春園
むかし吾を縛りし男の子凌霄花 中村苑子
わが馬にしばしの陽射しのうぜんかずら 金子兜太
凌霄に井戸替すみし夕日影 西島麦南 人音
凌霄のかづらをかむり咲きにけり 後藤夜半 翠黛
凌霄の光に堪へぬ眼を洗ふ 橋閒石 雪
凌霄の花と羽抜けし鵜の貌と 百合山羽公 春園
凌霄の花に蝉鳴く真昼哉 正岡子規 凌霄花
凌霄の花の封印鉄の門 上田五千石『田園』補遺
凌霄の花凌霄の花の蟻 後藤夜半 底紅
凌霄の花落ちて魚棲まぬ水 橋閒石 雪
凌霄の落花に蕾まじりたる 右城暮石 散歩圏 補遺 頑張れよ
凌霄の蟻を落して風過ぎぬ 稲畑汀子
凌霄の高きより垂れ御師の家 能村登四郎
凌霄の鳥の巣ひひなかへりけむ 山口青邨
凌霄は妻恋ふ真昼のシャンデリヤ 中村草田男
凌霄やからまる縁の小傾城 正岡子規 凌霄花
凌霄や一つる垂れし花かつら 正岡子規 凌霄花
凌霄や刻を待たずに山の雨 岸田稚魚
凌霄や小銭欲しくて煙草買ふ 森澄雄
凌霄や暗き窓より人の顔 岸田稚魚 紅葉山
凌霄や朝の千曲へ虻唸る 森澄雄
凌霄や温泉の宿の裏二階 正岡子規 凌霄花
凌霄や煉瓦造りの共うつり 正岡子規 凌霄花
凌霄花したたか浴びし朝雫 能村登四郎
凌霄花に夕日まだあり水を打つ 星野立子
凌霄花に沈みて上るはね釣瓶 星野立子
凌霄花に蝉のたよむら隣りたる 百合山羽公 春園
凌霄花に鵜川もあつき日をあげぬ 百合山羽公 春園
凌霄花の咲き垂れし門父母います 加藤秋邨
凌霄花の朱に散り浮く草むらに 杉田久女
凌霄花の灼土に花のおびたゞし 百合山羽公 春園
凌霄花の窓より灼くる街のみち 百合山羽公 春園
凌霄花の落ちてかかるや松の上 山口青邨
凌霄花や思ひのいつか丈となり 鷹羽狩行
凌霄花や旦の蝉の啼きいづる 百合山羽公 春園
凌霄花咲いてゐたりしどこなりしや 安住敦
凌霄落花人を馘りたりしこと 日野草城
名も知らぬ木に凌霄のさかり哉 正岡子規 凌霄花
噴井あり凌霄花これを暗くせり 富安風生
塞の神のうぜんの花うちかぶり 飴山實 次の花
塵とりに凌霄の花と塵すこし 高野素十
夕立やのうぜんかつらたちさわぎ 百合山羽公 春園
夭逝の蕩児なりけり凌霄花 佐藤鬼房
子鴉に凌霄花日ごと咲きのぼり 松村蒼石 寒鶯抄
家毎に凌霄咲ける温泉かな 正岡子規 凌霄花
寧んぜば老いむよ雨の凌霄花 岡本眸
廃屋と見えて凌霄の残り花 能村登四郎
手の切れるやうな朝来て凌霄花 能村登四郎
旅に遭ふ岬のまつり凌霄花 能村登四郎
松高き限りを凌霄咲きのぼる 橋本多佳子
櫛のみね光らせ農婦のうぜんに 大野林火 潺潺集 昭和四十二年
武家屋敷の臆病窓に凌霄花 松崎鉄之介
湖のへに凌霄かづら咲きのぼる 角川源義
滝水を引きのうぜんの花咲かす 右城暮石 虻峠
百日紅となりにのうぜんかづらいま 篠原梵 年々去来の花 中空
笠雲の岩木間近に凌霄花 佐藤鬼房
花殖えてきて凌霄の燃え雫 能村登四郎
蔓枯れて姫凌霄の忘らるる 後藤比奈夫
藪裾の凌霄花は日をたかぶらす 角川源義
蜩といまのうぜんの遊び蔓 大野林火 方円集 昭和五十二年
蝉取の凌霄の花おとしゆく 高屋窓秋
蟻地獄のうぜんかつら花垂りぬ 百合山羽公 春園
見し夢の数ほど落ちてのうぜん花 石田勝彦 秋興
踊り子の少年少女のうぜんかずら 金子兜太
車窓いまのうぜんに燃ゆ野川も過き 大野林火 雪華 昭和三十四年
遠く見ゆ草山日照る凌霄花 松崎鉄之介
雨のなき空へのうぜん咲きのぼる 長谷川素逝 暦日
雨夜の空のうぜんかづら咲きのぼり 大野林火 海門 昭和七年以前
風の凌霄ここの覧(み)きれいな岩木山 中村草田男
風の凌霄楽の終曲高まりつつ 野澤節子 未明音
風の凌霄見し眼をつむり昼寝せり 野澤節子 未明音
鵜の宿の凌霄かつら晨の日に 百合山羽公 春園


しっとりと優雅な趣をかもしだすダンスパーティー(紫陽花シリーズ17)

2019年07月11日 10時53分12秒 | 

ダンスパーティーは名前どおり八重の装飾花がホールのあちらこちらでみごとなダンスの技を競い合っているようなイメージを作りだす。八重の萼片の色あいが微妙な違っているために、立体感がでてくる。柄が長いために個々の花の独立感が強まることもうまく作用している。ピンクの花もいいだろうが、青紫の花もまたしっとりと優雅な趣をかもしだしている。

(2019-06 東京都 神代植物公園) 

 

 

アジサイ【ダンスパーティー】
学名…Hydrangea hybrida 'Dance Party'
科名…アジサイ科
属名…アジサイ属(ハイドランジア属)
原産国…アジア、北アメリカ
花色…ピンク、ブルー
樹高…30~150㎝
日照…日なた~半日蔭
難易度…星
USDA Hardiness Zone:6 to 9

ダンスパーティーは、日本に分布するガクアジサイとアメリカの園芸種を掛け合わせて作られた園芸品種です。
1994年頃に静岡県にある加茂花菖蒲園で作出され、近年鉢物のギフトが数多く流通するようになって一気にブレイクし、以来不動の人気を誇るアジサイです。

ダンスパーティーの花期は6月~7月。
花期になると分枝した枝の頂部に、径10~20㎝程度の花序を形成し、多数の花を咲かせます。
花のように見える部分は、ガクが大きく発達した「装飾花」と呼ばれる部分で、雄しべと雌しべが退化しています。

本来の花は花序の中心にあり、小さな5枚の花弁と雄しべ、雌しべを持つ両性花です。

ダンスパーティーは、装飾花が非常に美しいアジサイです。
装飾花はシャープな萼片が八重に重なり、華麗な花姿を見せてくれます。
ガクアジサイに比べると装飾花の数が多く、華やかで優雅なアジサイです。

花色は土地のPH(酸性度)によって変化します。
アルカリ土壌だとピンクに、酸性土壌だと淡いブルーまたは淡い紫を発色します。

葉は卵形で光沢があり、周囲に鋸歯を持って枝に対生します。
茎は分枝して樹高30~150㎝程度に成長し、株はこんもりとまとまります。

夏の乾燥が少し苦手ですが、育てやすい花木です。
剪定をすることで簡単に樹高をコントロールすることが可能です。


ゴージャスな大ぶりの花をひっそりと咲かせるケハギ

2019年07月11日 06時56分49秒 | 

しばらく続けていたマメ科の花の続きで、今日はケハギ。ミヤギノハギかとも思ったが、五月の末から咲いていたので、ケハギだろう。葉の形もあっている。誰も入ることが想定されていないような林の奥まったところに大きな株があった。ひっそりと咲いているにしてはゴージャスな大ぶりの花で、萩の一種とは思えず、発見したときは驚いたものだ。

(2019-06 川崎市林間) 

 

ケハギ  毛萩
[別名] ダルマハギ(達磨萩)、サミダレハギ(五月雨萩)、ヤマミヤギノハギ、ウワゲケハギ
[中国名] 展枝胡枝子 zhan zhi hu zhi zi
[学名] Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai subsp. patens (Nakai) H.Ohashi
Lespedeza patens Nakai
Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai var. obtusifolia (Nakai) Ohwi f. pilosella Ohwi
Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai var. patens (Nakai) H.Ohashi
Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai var. obtusifolia (Nakai) Ohwi
マメ科 Fabaceae ハギ属
 花が大きく、早いものは5月頃から開花し始めるため、サミダレハギ(五月雨萩)の別名がある。 ミヤギノハギより葉が丸い。ダルマハギとも呼ばれる。狭義の日本のミヤギノハギは栽培種であり、ケハギからミヤギノハギが作られたとする説もある。
 全体に毛が多く、枝や葉などが白っぽいが、変異あるとされ、多数の報告があるが、信頼できる特性は葉の上面に密に伏した毛があり、秋まで宿存する。これからウワゲケハギの別名がある。中国の展枝胡枝子はケハギとされていたが、タイワンハギと同一とされた。現在ではケハギは日本の本州だけが分布域である。
 落葉低木。高さ1~2m。茎は木質化するが、年々太くなって伸びるようなことはなく、地上部は一部を残して枯れ、根本から新枝が毎年出て叢生する。枝には開出毛(立毛)がある(変異あり)。葉は互生し、3出複葉、小葉は長さ2~5㎝、狭楕円形~広楕円形~ほぼ円形、葉の上面にも密に伏した毛があり、秋まで宿存し、先は円形~鈍形~やや鋭形。総状花序は腋生、花序柄は長い。花は紅紫色~濃紅紫色、大きく、長さ15~18㎜。萼の裂片は狭卵形、先は長い尖鋭形。旗弁は円形に近い楕円形、基部に耳状突起がある。翼弁は濃紅紫色。竜骨弁は先が碧紫色。豆果は長さ5~7㎜、扁平、円形~楕円形、先が尖り、種子が1個入る。
 写真のものは茎や枝にやや上向きに曲がった淡褐色の毛が密生し、葉の表面の毛は伏した白色の小さな短軟毛。総状花序は基部の葉よりかなり長く、花序柄も長い。咢は伏毛~斜上する毛が密生し、咢片が咢筒より長く、先が鋭形。旗弁は楕円形~長楕円形。竜骨弁は翼弁の長さの2倍以上、先が暗紫色。
[花期] 5~10月
[樹高] 1~2m
[生活型] 落葉低木
[生育場所] 道端、草地、林縁
[分布] 在来種 日本(本州の日本海側の多雪地)


清楚な白の装飾花が特徴的な静香(紫陽花シリーズ16)

2019年07月10日 08時35分02秒 | 

静香という名前は義経が愛した白拍子の静御前がとられたものだろうか。清楚な白の装飾花が静御前のイメージにあうかも。小さめな丸い装飾花が数多く咲く。

(2019-06 東京都 神代植物公園) 

静香 (ヤマアジサイ)
静岡県富士山周辺産で一重ガク咲きの白花種。
装飾花は丸弁で、半テマリ咲きではないかと思うほど数が多いです。
また、花色が緑色からクリーム色、白色と色が変化します。


刀のような形の赤い花をつけるサンゴシトウ

2019年07月10日 06時06分22秒 | 

昨日のアメリカデイゴの仲間に、同じくマメ科のサンゴシトウという花がある。これもアメリカデイゴに劣らず、あるいはさらにどぎついほどの赤い花をつける。花の形は刀のようで、葉の形はアメリカデイゴのように丸くなく、ひし形に近い。そこでヒシバデイゴとも呼ばれる。アメリカデイゴをベースとした交配種らしい。近くを通ると自然に目がひきつけられる。いかにも植物園の好みそうな花ではある。

(2019-06 東京都 神代植物公園) 

 

サンゴシトウ
マメ科エリスリナ属

学名:Erythrina × bidwillii
別名:ヒシバデイゴ 、珊瑚紫豆、珊瑚刺桐
原産:交配種

 マメ科エリスリナ属の落葉中高木で、オーストラリアのシドニー植物園で、アメリカデイゴ(カイコウズ)♂とErythrina herbacae♀を人工的に交配して作られた雑種です。高さは2.5~4mになり、茎や葉の中央葉脈の裏にもトゲがあります。葉は互生し羽状3小葉、小葉は菱形で長さは7~9㎝です。葉の形が「ヒシバデイゴ(菱葉梯梧)」という別名の由来です。毎年春から新枝を伸ばして、その先に赤い刀のような花を穂状に付け、次々に咲かせます。花は約5㎝で旗弁が完全に開かずに筒状になります。花色は鮮やかな濃赤色で、開花期は6~9月、咲き終わった枝は切り戻し剪定をすることで脇芽が伸び再び花を咲かせるので、1年のうちに3~4回開花させることができます。果実は豆果で、成熟する果実は少ないですが、熟すと裂開して豆状の種子を出します。


装飾花と中性花の色合いのバランスがよい蜜柑葉アジサイ(紫陽花シリーズ15)

2019年07月09日 09時11分23秒 | 

蜜柑葉アジサイは、葉がみかんに似ているところから名付けられたようだが、装飾花もまた美しい。不規則で大きな鋸歯は蝶を思わせるし、花柄が長くてすっくと立ちあがるところも優雅だ。また装飾花の色は薄青で、中性花は紺色というのもシックだ。その意味では、葉の形だけに注目する蜜柑葉アジサイという名前は片手落ちではないか。もう少しこの花に似合った命名がほしいところだ。

(2019-06 東京都 神代植物公園) 

蜜柑葉アジサイ (ガクアジサイ)
伊豆諸島伊豆大島産のガクアジサイ。
花は一重ガク咲きで両性花は紺色、装飾花は薄青色です。
また、装飾花は花柄が長く、不整形で鋸歯があります。


いかにも南国にふさわしい真っ赤な花を咲かせるアメリカデイゴ

2019年07月09日 05時49分24秒 | 

アメリカデイゴはいかにも南国の花で、江戸時代に渡来したらしい。原産地は南アメリカだが、江戸末期の「アメリカ」という名前は、当時の黒船の脅威を思わせる。こんな真っ赤な花をみたらだれでもびっくりするだろう。それでも鹿児島県の県の木になっているし、沖縄ではこの名前のもとになった梯梧の花が江戸時代にインドから伝えられて、県の花になっている。メキシコでは花を食用にするらしい。どんな味がするのだろう。それとも彩を楽しむだけなのだろうか。

(2019-06 東京都 神代植物公園) 

 

アメリカデイゴ
・豆科。
・学名
  Erythrina crista-galli Erythrina : デイゴ属 crista-galli : ニワトリのとさか
 Erythrina(エリスリナ)は、ギリシャ語の「erythros(赤)」が語源。花の色に由来。
・開花時期は、 6/10 ~ 6/末頃。8月上旬頃、新枝の先からふたたび少し花をつける。
・夏らしい、真っ赤な花。
・暖かい地方に植えられる。

・南アメリカ原産で江戸時代末期に渡来した。
・アルゼンチンとウルグアイの国花。
・メキシコでは、花をサラダや煮物などに利用する。

・別名
 「海紅豆」(かいこうず)。海外から来た赤い豆、の意。

・鹿児島県の県の木(海紅豆)。

 ちなみに沖縄県の県花は「梯梧(でいご)」。(アメリカ梯梧に似ているが、葉の出る前に開花するのと、寒さに弱い点などが、アメリカ梯梧と異なる)