第四章 自閉症スペクトラム障害をもつ子どもの行動(続き)
(5)その他の行動特徴
1.運動
・以下はよく見られる行動ではあるが、診断に不可欠ということではない。
(ⅰ) 常同運動:手をひらひらさせる。腕や手をバタバタさせる。上下に飛び跳ねる。頭をくるくる回す。
身体を前後に揺らす。つま先歩き。
→・原因は不明。
・いくつかは、感覚刺激を得るため。
・興奮が広がって身体全体にまで及んだもの。
(ⅱ)歩行と姿勢の異常
・時に鋭敏なバランス運動感覚を持った子がいる。
・しかし、ほとんどの場合は動作が未熟。
・微細運動については、興味のあることには器用にやる傾向があるが、多くの場合はぎこちない。
・団体競技は総じて苦手。
(ⅲ)運動の模倣
・ASDの子ども達は、まねをするのが遅れ、最も重い場合はまねをしない。
・人のことばのオーム返しはよく見られるのに、運動のまねに問題が多いのは謎。
・エコプラクシア(反響動作):まねするようになっても、正確であっても無目的にまねることが多い。
2.感覚刺激への反応
(ⅰ) 音への反応
・音への奇異な反応:自分のたてる音には敏感でないよう。
ある種の音を無視し、他の音に魅せられ、また別の音を極端に嫌う。
(ⅱ)視覚刺激への反応
・音に対するのと同様、視覚刺激に魅せられ、無視し、あるいは落ち込むことがある。
・彼らは人や物をその外観の細部でよりも全体的な輪郭で識別するようだ。
→ 細部に対応する視野の中心部より、動きや輪郭に対応する網膜の周辺部分を最も利用しているかもしれない。
*目の運動探知部分は、主に細部の観察ができないほぼ暗黒状態のときに使われる。
・視覚刺激への反応の特徴は、成長するにつれて薄らいでいく。
(ⅲ)近位感覚への反応
・近位感覚:触覚、味覚、嗅覚、振動、苦痛、温度など直接にからだが関わる感覚すべて
・その反応は、魅了や落ち込みや無関心となることがある。
・子ども達は、この感覚を通じてこの世界を探検しているようだ。
(ⅳ)空腹と喉の渇き
・限定された食べ物へのこだわり:変化への抵抗の一型。
・空腹感覚のもつ意味がわかっていないような場合がある。
・飲み物の取り過ぎもまれならず見られる。
3.不安と特定のものへの恐怖
○ASDの人の中には、いつも高いレベルの不安を抱えていると思われる人がいる
→ ・自閉的行動は、幼少期からの重度の不安の結果とは言えない
・理解できない状況の中で困惑したり悩んだりするからである。
・ASDの人はほんとうに危険なことがわからないでいて、平気でいることがよくある。
4.注意力と動機
・自分が興味をもつ活動ならば注意は持続される。
・興味の範囲外の活動や課題への注意力の持続ははるかに短時間か、つかの間も持たないこともある。
・問題の根底に、特別に関心のあること以外のことには関わろうとする動機がなくなること
・自立的になろうとする動機を持たないような子どもは、日常的な着衣や食べることも親にしてもらうことを喜ぶ。
日々の忙しい暮らしの中では、親はすぐに手を出して子どもの自立性をどうしても奪ってしまいがち。
5.特殊なスキル
・ASDでは、様々なスキルに関わる心理検査で示される能力の水準間には著しい不均衡がある。
最もよく見られるのは、ジグソーパズルなど言葉に関係のない視空間スキルが上手に行われること。
・ASDの10人に一人くらいは、人より何か秀でた特別なスキルがある。
・ASDのアーティストが、小さな時から遠近感を正確に描いたりすることがある。
6.不適切な行動
・原因は、慣れない状況に対する困惑や恐れ、反復的ルーチンが妨げられること、社会の決まりが理解できないこと、
出来事に対処しようとする不適切な試み、大きな音の感覚的入力に対する過敏さ、輝く光、人混み、結果を考えな
いで好きなことをしてしまうことなど。
・ASDの子ども達は全く自己中心的だが、それは意図的に自分本位だからではなく、他人に思考や感情があるという
考えが彼らにはないから。
(6)てんかん発作
・てんかんは行動ではないが、ASDにはよく見られる臨床像。
・1/3から1/4位が、成人期に至るまでにてんかん発作を少なくとも1回は経験している。
成人期になって始まることもある。
・どんなタイプのてんかん発作もASDの人たちには起こりえる。
(7)成長に伴う変化
・自閉的行動は、2歳から5歳にかけてが最も顕著
→ 5,6歳頃に変化が生じる。自閉的行動が目立たなくなったり、いくつかの人間関係の軽微な徴候以外には
典型的な異常がすべてなくなってしまうように思える子ども達もいる。
一部では、臨床像は、在ったとしてもごくわずかの自閉的行動を伴った純粋の言語発達障害になる。
・能力が高く言語発達にほとんど問題をもたない子ども達は、学校に行くようになって教室や校庭での活動や
運動に溶け込むのを拒絶したり、褒美や制裁に無関心に見えることから明らかになる
・どの子どもでも変わるのが青年期。特に問題なくまた時に著しい成長をして通過する人がいる。
それ以外の人たちは、幼児期に見られたてんかん発作や攻撃性やその他の不適切な行動の再発がある。
・成人期までに、自閉的行動の表れは多様になる。
最も障害の重い人たちは、全生活を他人に依存し、児童期に見られた自閉的特徴を見せる。
反対側には、能力の最も高い人たちが自立して働き、結婚して子どものいる人もいる。
残っている問題は、社会的相互作用とコミュニケーションの少しの障害。
・追跡研究→知的発達の程度を決定する最も重要な要素は、能力の全体的水準である
・これらは、児童期の言語性と視空間スキルの心理テストによって測定できる
5歳以降にテストされる場合、最も信頼できる指針となりそうである。
児童期に経験した教育とケアは「行動」に影響を与え、その子の潜在的スキルの発達をより早く支援できる。
しかし、最高水準においてはさほど重要な違いはもたらさない。
☆現実生活を適切に生きやすくすることができるが、能力そのものの発達にはつながらないということか?
一番自立しそうなのは、穏やかな気質をもち、雇用に役立つ何らかの特殊なスキルと興味があって、
世の中で成功したいという強い欲求をもった人たち。
(5)その他の行動特徴
1.運動
・以下はよく見られる行動ではあるが、診断に不可欠ということではない。
(ⅰ) 常同運動:手をひらひらさせる。腕や手をバタバタさせる。上下に飛び跳ねる。頭をくるくる回す。
身体を前後に揺らす。つま先歩き。
→・原因は不明。
・いくつかは、感覚刺激を得るため。
・興奮が広がって身体全体にまで及んだもの。
(ⅱ)歩行と姿勢の異常
・時に鋭敏なバランス運動感覚を持った子がいる。
・しかし、ほとんどの場合は動作が未熟。
・微細運動については、興味のあることには器用にやる傾向があるが、多くの場合はぎこちない。
・団体競技は総じて苦手。
(ⅲ)運動の模倣
・ASDの子ども達は、まねをするのが遅れ、最も重い場合はまねをしない。
・人のことばのオーム返しはよく見られるのに、運動のまねに問題が多いのは謎。
・エコプラクシア(反響動作):まねするようになっても、正確であっても無目的にまねることが多い。
2.感覚刺激への反応
(ⅰ) 音への反応
・音への奇異な反応:自分のたてる音には敏感でないよう。
ある種の音を無視し、他の音に魅せられ、また別の音を極端に嫌う。
(ⅱ)視覚刺激への反応
・音に対するのと同様、視覚刺激に魅せられ、無視し、あるいは落ち込むことがある。
・彼らは人や物をその外観の細部でよりも全体的な輪郭で識別するようだ。
→ 細部に対応する視野の中心部より、動きや輪郭に対応する網膜の周辺部分を最も利用しているかもしれない。
*目の運動探知部分は、主に細部の観察ができないほぼ暗黒状態のときに使われる。
・視覚刺激への反応の特徴は、成長するにつれて薄らいでいく。
(ⅲ)近位感覚への反応
・近位感覚:触覚、味覚、嗅覚、振動、苦痛、温度など直接にからだが関わる感覚すべて
・その反応は、魅了や落ち込みや無関心となることがある。
・子ども達は、この感覚を通じてこの世界を探検しているようだ。
(ⅳ)空腹と喉の渇き
・限定された食べ物へのこだわり:変化への抵抗の一型。
・空腹感覚のもつ意味がわかっていないような場合がある。
・飲み物の取り過ぎもまれならず見られる。
3.不安と特定のものへの恐怖
○ASDの人の中には、いつも高いレベルの不安を抱えていると思われる人がいる
→ ・自閉的行動は、幼少期からの重度の不安の結果とは言えない
・理解できない状況の中で困惑したり悩んだりするからである。
・ASDの人はほんとうに危険なことがわからないでいて、平気でいることがよくある。
4.注意力と動機
・自分が興味をもつ活動ならば注意は持続される。
・興味の範囲外の活動や課題への注意力の持続ははるかに短時間か、つかの間も持たないこともある。
・問題の根底に、特別に関心のあること以外のことには関わろうとする動機がなくなること
・自立的になろうとする動機を持たないような子どもは、日常的な着衣や食べることも親にしてもらうことを喜ぶ。
日々の忙しい暮らしの中では、親はすぐに手を出して子どもの自立性をどうしても奪ってしまいがち。
5.特殊なスキル
・ASDでは、様々なスキルに関わる心理検査で示される能力の水準間には著しい不均衡がある。
最もよく見られるのは、ジグソーパズルなど言葉に関係のない視空間スキルが上手に行われること。
・ASDの10人に一人くらいは、人より何か秀でた特別なスキルがある。
・ASDのアーティストが、小さな時から遠近感を正確に描いたりすることがある。
6.不適切な行動
・原因は、慣れない状況に対する困惑や恐れ、反復的ルーチンが妨げられること、社会の決まりが理解できないこと、
出来事に対処しようとする不適切な試み、大きな音の感覚的入力に対する過敏さ、輝く光、人混み、結果を考えな
いで好きなことをしてしまうことなど。
・ASDの子ども達は全く自己中心的だが、それは意図的に自分本位だからではなく、他人に思考や感情があるという
考えが彼らにはないから。
(6)てんかん発作
・てんかんは行動ではないが、ASDにはよく見られる臨床像。
・1/3から1/4位が、成人期に至るまでにてんかん発作を少なくとも1回は経験している。
成人期になって始まることもある。
・どんなタイプのてんかん発作もASDの人たちには起こりえる。
(7)成長に伴う変化
・自閉的行動は、2歳から5歳にかけてが最も顕著
→ 5,6歳頃に変化が生じる。自閉的行動が目立たなくなったり、いくつかの人間関係の軽微な徴候以外には
典型的な異常がすべてなくなってしまうように思える子ども達もいる。
一部では、臨床像は、在ったとしてもごくわずかの自閉的行動を伴った純粋の言語発達障害になる。
・能力が高く言語発達にほとんど問題をもたない子ども達は、学校に行くようになって教室や校庭での活動や
運動に溶け込むのを拒絶したり、褒美や制裁に無関心に見えることから明らかになる
・どの子どもでも変わるのが青年期。特に問題なくまた時に著しい成長をして通過する人がいる。
それ以外の人たちは、幼児期に見られたてんかん発作や攻撃性やその他の不適切な行動の再発がある。
・成人期までに、自閉的行動の表れは多様になる。
最も障害の重い人たちは、全生活を他人に依存し、児童期に見られた自閉的特徴を見せる。
反対側には、能力の最も高い人たちが自立して働き、結婚して子どものいる人もいる。
残っている問題は、社会的相互作用とコミュニケーションの少しの障害。
・追跡研究→知的発達の程度を決定する最も重要な要素は、能力の全体的水準である
・これらは、児童期の言語性と視空間スキルの心理テストによって測定できる
5歳以降にテストされる場合、最も信頼できる指針となりそうである。
児童期に経験した教育とケアは「行動」に影響を与え、その子の潜在的スキルの発達をより早く支援できる。
しかし、最高水準においてはさほど重要な違いはもたらさない。
☆現実生活を適切に生きやすくすることができるが、能力そのものの発達にはつながらないということか?
一番自立しそうなのは、穏やかな気質をもち、雇用に役立つ何らかの特殊なスキルと興味があって、
世の中で成功したいという強い欲求をもった人たち。
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