イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

森山神社の屋台ー葉山

2019年08月27日 13時40分07秒 | 日本・彫刻

この辺の小中学校は、昨日から新学期スタート。
暑い、暑いと思っていたけど、ようやく耐えられる気候になったかな?

さて、先週末はそんな行く夏を惜しむように各所で夏祭りや花火大会が開催されていた。
土曜日は地元の「金沢まつり」の花火大会が有った。
そして日曜日、葉山で行われる「森山社例大祭」へ。
京急新逗子駅を降りる人たちは一様に海水浴支度。
昔はお盆を過ぎたらクラゲが出るから海には入らない、というのが定番だったけど、最近はそうでもないのね。
海岸線を走るバスは、常に超満員。増便されているらしい。
私が向かうのは内側なので、それほど混んでいなかった。

こちらのお祭りではお神輿、山車が回っているらしいのだが、非常に親切にタイムスケジュールがHPに載っていたので、休憩時間を目掛けてピンポイントでその場所へ行けば良い。
時間が有ったので、まず森山神社へ。

参道には夜のためかな、屋台が並んでいた。

正式には「森山社」と称し、葉山最古の神社で創建749年。
社伝によると祭神として「奇稲田姫命(クシナダヒメノミコト)」を祀っている。
奇稲田姫命は、逗子市小坪の須賀神社(天王社)に祀られている素盞鳴尊(スサノウノミコト)と夫婦で、33年ごとに妻である奇稲田姫命のいる森山社に会いに来る。
これにちなんで始まったのが「行合祭」は、1250年以上の歴史が有り、前回は40回を数え、葉山町無形民俗文化財に指定された。次回第41回は2028年に執り行われる予定。
境内には他にも6つの神社が祀られている。
例大祭は五穀豊凶を占う「世計り神事(よはかりしんじ)」からスタートする。
「世計り神事」とは和漢三才図会にもある古い神事で、例大祭前日に滝の坂の吾妻社(現・不動堂)からの「お水取り」から始る。(詳しくはHP参照)
今年の結果は「豊作」。向かって右の柱の隣に書かれていた。

この階段脇の階段は何だろう?
もしやこの舞台のための階段席?ローマ劇場を髣髴とさせる。

神社に舞台?面白い。
夜はお芝居やコンサートが有るらしいけど。
境内入り口で迎えてくれたのは



阿吽の狛犬。
足で押さえているのは、お花?
明治35年生まれで、耳を横に張った江戸流狛犬です。花は牡丹のよう。
そしてお手水


水を吐き出している龍が立派。


水を司る龍には火防の意味も有る。そんなわけで多くの神社仏閣で龍を見かけることがある。
本殿に向かって左に、今回目的の神輿をしまっておく社殿も有った。


社務所が見当たらず、御朱印はもらえず。
この森山社に隣接して玉蔵院というお寺があったが、今回は外観を見ただけで、訪問せず。


こちらでは御朱印の授受あり。
ここから歩いて15分くらい、午前中最後の休憩場所「どれみ幼稚園」へ。
幼稚園に近づくと丁度遠くからお囃子の音が聞こえてきた。


ばっちりのタイミングで山車到着。


先頭に神社の社号旗。旗は直接地面に下ろすことは禁止されていて、専用の台に置くことになっている。
その他の2本は「日月旗」で、金色の太陽と銀色の月を刺繍した旗。
太陽は天照大神神、月は月読尊(ツクヨミ)を表している。
実はこの前に、先導、木遣がいて、山車の後に旗が来る。


小ぶりだけど立派な山車は車が付いていて、午前中は子供たちが引いて廻っている。(午後は車で引く。昔は牛が曳いていたらしい…)

この山車に付いている彫刻を見に来たのだ。
彫刻は1846年から47年に安房国(現:千葉県)千倉出身の宮彫師「後藤利兵衛橘義光」によって作られた。


左右の方立には、表裏透かし彫りの彫刻。
こちら側は、壁ギリギリに付けられちゃったので、いまいち良い写真が撮れず。






右側の裏
下部の四角い木片に赤字で「安房國住後藤利氏兵衛橘義光」と銘が刻まれている。

右脇障子は「黄石公」
黄石公ということは、もう1枚は「張良」だ。





「黄石公(こうせきこう)と張良の伝説」に由来。
張良との逸話で出てくる仙人で、日本では『史記』とそれを題材にした謡曲 「張良」で浸透したといわれており、人気も高かった話といわれている。
装飾に使われる場面は、張良と黄石公(老人)が必ずと言ってもいいほどセットで現れ、張良が橋の上で黄石公に出会う。黄石公は川に自分の靴を投げ捨て、張良に拾わせようとするシーンが多い。
このように黄石公は馬上の場合も多い。黄石公をよく見ると足元は裸足。 張良は川に入って靴を奪われそうになった龍に乗り、手には靴を載せ、それをまるで黄石公に捧げるように差し出している。
なんてリアルな表現。 


龍の後ろ姿。


欄間は「日の出、松に鷹」


振り向き獅子の後ろ姿


振り向き獅子
阿吽のペアになっている。

そしてこの山車の後ろにはお神輿が続く。




この森山社のお神輿は、切り妻型の屋根に宝珠を載せた葱花輦神輿(そうかれんみこし。屋根に葱花を載せている)という珍しいお神輿で、午前中はそれを台車に乗せて曳いている。(午後は大人が担ぐ)


装飾も素晴らしい。
このお神輿の後に、子ども神輿、金棒または「チャリン棒」と呼ばれる鉄の棒を地面に突き立てて音を鳴らしながら露払いをして歩く人が続く。
そして

水屋輿
実は「先導」から始まるこの行列は「お水取りの神事の渡御隊列」と呼ばれ、中でも最も重要なのはこの水がめを運ぶ人たち。
こちらも神聖なものなので、地面に直接下ろすことは禁じられていて、後ろから台が運ばれて来ている。
この後ろには総代、囃子、警備などが連なっていた。
正味15分くらいの休憩の間に、しっかり写真を撮らせていただき、大満足で撤収。

帰りは御用邸前に出て


混んでいる海は避けて新逗子駅の方へ


お気に入りのレストランで体に優しいランチ


日差しはまだまだ暑いけど、海のそばということで、風が気持ちの良い日曜だった。

参考:森山社HP



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