「戦争と美術」
関係がないように見えて大ありだ。
ロシアのエルミタージュ美術館は、今月中にイタリアに貸し出している美術品の返還を求めた。
ミラノの王宮(Palazzo Reale)では2月末より”Tiziano e l'immagine della donna nel Cinquecento veneziano”(ティッアーノと1500年ヴェネツィアの女性像)という特別展が開かれている。
そこに出展されているこの作品。
写真:https://www.ilfattoquotidiano.it/
ティツィアーノ(Tiziano)の「羽根が飾られた帽子をかぶる若い女(Giovane donna con cappello piumato)とGiovanni Cariani(ジョバンニ・カリアーニ)の「年老いた男性の横顔と若い女(Giovane donna con vecchio di profilo)」
同じくミラノのイタリア・ギャラリー(Gallerie d'Italia)では実に23点。
”Grand Tour - sogno d'Italia da Venezia a Pompei(グランドツアー:イタリアの夢 ヴェネツィアからポンペイまで)”という特別展が3月27日まで行われているのが、展示作品200点のうちの1割強の返還が求められている。
またローマではフェンディ―財団に(Fondazione Fendi)かつてイタリアでは展示されたことがないピカソの「若い女」の返還が求められている。
写真:https://www.theartpostblog.com/giovane-donna-di-picasso-ermitage/
こちらは”L'ARTE NON PUO' ESSERE A PAGAMENTO(美術はお金に換えられない)”
これはなにもイタリアに限定した話ではない。
フランスにも同じ依頼が届いているようだ。
文化大臣ダリオ・フランチェスキー二(Dario Franceschini)は「理由はどうあれ、作品の所有者が作品を返せと言えば、すぐに作品を返還する義務がある」と言う。
エルミタージュの館長に聞いても「残念だし、理解できないと言われるのは分かる。しかし(ロシア)政府が決めたことだから仕方がない」と。
幸い数週間前にロシアのモスクワに貸し出されていたマッティオーリ・コレクション(collezione Mattioli)のうちの26点がミラノに戻って来た。
ボッチョーニ(Boccioni)、モランディ( Morandi),バッラ( Balla),セベリーノ( Severino)など作品はロシアで行われた特別展に出展されていた。
昨年7月15日から10月4日サンクト・ペテルブルクで行われたのは、イタリア未来派ロシア立体未来主義(Futurismo Italiano Cubofuturismo russo)、モスクワのプーシキン美術館ではまさにマッティオーリ・コレクションの中でも未来派の傑作が今年1月16日まで展示されていた。
無事戻ってきて良かった、良かった。
人の命はもちろん、美術品も貴重な人間の遺産だ。
先の大戦、それ以前の戦争でどれだけの作品が永遠に失われてしまったかと考えると、やはり一日も早く戦争を終え、世界に平和が訪れること祈るばかりだ。
参考:https://www.ilmattino.it/
https://www.ilfattoquotidiano.it/
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