Buon Natale!!
メリークリスマス
2020年のクリスマスはこちらの Natività (キリスト誕生)で。
昨年ドレスデンのアルテ・マイスター絵画館(Gemäldegalerie Alte Meister)で見た。
(自分の写真なので光っちゃってますが…)
Francesco del Cossa(フランチェスコ・デル・コッサ)のNatività (キリスト誕生)
これ実はAnnunciazione(受胎告知)の下に付いてるPredella(祭壇画下部の小壁板絵、プレデッラ)
全体はこんな感じ
通称“Pala dell’Osservanza”(オッセルヴァンツァの祭壇画)と呼ばれているこの祭壇画は、1470年Bologna(ボローニャ)のchiesa dell’Osservanza(オッセルバンツァ教会)の為にCossaが手がけたものと考えられていて、1750年からドレスデンに有る。
作者に関していえば、100%Cossaと認められているわけではないが、少なくとも彼の息がかかっているだろうということには多くの研究者が賛成している。
Cossaと言えばCosme Tura(コズメ・トゥーラ)と一緒に手掛けたFerrara(フェラーラ)のPalazzo Schifanoia(スキファノイア宮)の壁画が有名だが、このフレスコ画を依頼したBorso d'Este(ボルソ・デステ)は支払いをケチり(壁画を技術を無視して、大きさだけで支払った)、Cossaは「フェラーラの最悪のへぼ絵描き」扱いされたと怒って1470年Bologna(ボローニャ)に移っている。
この絵を見て、まず気になるのはかたつむりだろう。
「かたつむり」は無精生殖すると当時考えられて、処女懐胎の象徴として描かれたと考えられるが、
”山形大学教授の元木幸一は、カタツムリのような小さな生物を道具として、トロンプ・ルイユを仕掛けることは、クスリとした笑い生み出すために発揮するユーモアなのである、との旨を述べている。”
(引用:Wikipedia)
かたつむりは床を這っているのか?
それとも枠の上を這っているのか?
なんとも不思議な光景だ。
受胎告知の方も突っ込みどころはいっぱいあるのだが、この「キリスト誕生」もなかなか不思議。
まず一番気になったのが、天使が人間っぽいところ。
キリストと同じ!?
更に左奥の馬に乗った人たちは3人いるから東方三博士かな?
じゃあ、左の奥にいる2人は誰?
もう1枚、これは2016年ロンドンで見たものだが
Carlo Crivelli(カルロ・クリヴェッリ)のPala OttoniもしくはMadonna della Rondineのプレデッラの「キリスト誕生」
羊飼いが遠くに見えるけど来訪はしてないね。
実は今日は昨日実際に見たPresepio(プレゼピオ)を載せるつもりだったのだが、Cossaの絵が気になって、そぅちにしました。
昨晩、人数をかなり制限してヴァチカンのミサが行われたらしい。
教皇は「試練の暗いトンネルから抜け出せないと不安になっていないか」と問い掛けた上で、前に進もうと語ったそうだ。
写真・引用:https://www.sankeibiz.jp/econome/news/201225/ecc2012250816002-n1.htm
皆さまよいクリスマスをお過ごしください!!
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コメントありがとうございます。
年末に向けて準備は万端という感じで羨ましいです。
ダニエル・アラス著「なにも見ていない 名画をめぐる六つの冒険」は先月本棚から出してきたままになっていて、ここ数日は昨年なんの知識もなく訪れたプラハに関する本やクリスマス関係の本ばかり読んでいるので、後回しになりそうです。
昨年は修復中で、メインの作品しか展示されていなかったのが残念でしたが(その分入場料は安かったのですが)、戦争で壊滅状態になったことを全く感じさせない素敵な街でした。
少々早いかもしれませんが、今年は色々と勉強になるコメントを頂きありがとうございました。
このような時期ですので、くれぐれもご自愛ください。
また来年もためになるコメントを心よりお待ちしております。よろしくお願いいたします。
ドレスデンの絵画館にあるフランチェスコ・デル・コッサの受胎告知に描かれているカタツムリについて、日本語で読める本があるのでご紹介します。
ダニエル・アラス著「なにも見ていない 名画をめぐる六つの冒険」宮下志朗訳白水社2002年。この中の「カタツムリのまなざし」の項に詳しく書かれています。この本は一般向けの講演会の発言を本にしたものなので、専門論文とは異なり平易に書かれています(但し、その分確認しないで話したことをそのまま活字にしているので、記憶が曖昧で間違っている部分も多いのですが、訳者がその部分は注釈・訂正しているので、読む上での問題はありません)。この中では、フィリッポ・リッピのフィレンツェ、サン・ロレンツォ「受胎告知」の右下に描かれたガラスのフラスコとか、クリヴェッリのLNG「受胎告知」(今大阪で展示している絵)の手前のリンゴとカボチャといった類似の表現を例に、キリスト教としての意味だけでなく、絵としての役割(読者を絵の中に引き込む)についても論じています。
ダニエル・アラスの著書については、「モナリザの秘密 絵画をめぐる25章」吉田典子訳白水社2007年 という似たような本もあり、この中ではLNGのフィリッポ・リッピ作「受胎告知」ルネッタについて取り上げ、「女好きの生臭坊主」フィリッポ・リッピがこの絵の聖母マリアについて表現したエロティックな描き方(聖霊の鳩がマリアの腹部のボタンホールを目がけて進んでいるという制作当時にはほとんど誰も気がつかなかったような細部の描写)について、このことを論じた論文を引用して述べています(この原論文=1987年の英語論文集に収録 をたまたま持っていたので、このダニエル・アラスの本を読んだ後で再確認しています)。LNGでフィリッポ・リッピの受胎告知を見る時には、このダニエル・アラスの本を読んでおくと参考になります。
なお、ドレスデンについては私も4年ぐらい前に初めて行って、ラファエロのサンシストの聖母やジョルジョーネの眠れるヴィーナスを堪能してきました。元々ボッティチェリの聖ゼノビウスの奇跡の4枚のうち、最後まで残っていた1枚を見るのが最大の目的でしたが、ちょうどその頃上野でクラーナハ展が開かれていたこともあり、クラーナハ作ザクセンのハインリヒ敬虔公夫妻の像や聖女カタリナの殉教を見たことを思い出します。フランチェスコ・デル・コッサの受胎告知はあったことは覚えていますが、カタツムリの記憶はありません(ダニエル・アラスの本を読む前でしたから)。また、エルベ川ほとりのこの町については、大戦中の大空襲のことなど、ドレスデンの町の歴史的な問題に関する思いもあり、いつかは行ってみたいとずっと思っていました。ベルリンからの日帰りでしたが、思っていた通り素晴らしい町だったことをよく覚えています。
コメント&いつもご覧頂きありがとうございます。
今はどこへも行けないので、過去の話や調べたことばかりですが、こんな時こそ今まで行った場所やこれから行きたい場所のことを色々調べる時間に当てて、辛い状況を乗り越えていければと思っています。
これからもよろしくお願いいたします。
P.S.チビクロさん、とってもかわいいですね!!
昨年行った時は改修中で、多くの作品が見られなかったのですが、ラファエロは有りました。(私もこれが見たくて行ったので)1年しか経っていないので、すごく前のことのように感じます。
いつも現地でしか見れないような貴重な
お写真見せていただいて、
楽しみつつ、勉強していますにゃ。
ありがとうございますにゃ。
キリストの誕生や東方の三博士の絵は数多くありますね。