コロナ、8週連続増
厚生労働省は1月19日、全国約5000の定点医療機関から
1月8日~14日に新たに報告された新型コロナウィルスの
感染者数は計4万4178人で、1医療機関当たり8.96人
だったと発表した。
前週比1.29倍で8週連続で増加した。
能登半島地震の影響で、石川県の一部の報告は含まれていない。
厚労省担当者は「寒い日が続き、暖房器具を使用する機会が
多いと思うが、定期的な換気を心掛けてほしい」と話した。
1医療機関あたりの感染者数は43都道府県で増えた。
多かったのは
岐阜14.29人、
茨城14.21人、
愛知14.17人、
少なかったのは
福井4.31人、
青森5.46人、
東京5.66人など。
専門家「流行はまだまだ年単位で続く」
感染症に詳しい東京医科大学のA教授は、新型コロナの患者が
国内で初めて確認されてから4年が経つことについて、
「中国で新型コロナが発生した当初は、流行がこんなに
長期にわたるとはあまり考えていなかった。
しかし、実際に流行は起こり、多くの人命が失われ、今も
流行が続いている。
最初の1年間はウィルスにあまり大きな変化はなく、
その時点で変異ウイルスがこんなに出てくることは
予想できなかったと思う。
これだけ流行が長期化しているのは、ウイルスが変異
していることも大きな要因だ」と話した。
そして「免疫がついたかと思うと、その免疫をかいくぐる
新しいウイルスの派生型が出てくる状況で、流行は
まだまだ年単位で続くと考えた方が良いだろう。
新型コロナはインフルエンザと同じように次の冬に
流行する株をある程度予測していく必要がある。
第2のインフルエンザのような存在として、地球上に
残るのではないか」と話している。
能登半島地震の避難所などで、新型コロナの感染が
相次いでいることについては「避難所を中心に新型
コロナのような飛沫感染や接触感染を起こす感染症が
拡大することは、当初から予想されていた。
現地では感染の実態調査も出来ない状況なので、
感染が拡大することを前提に対応して行く必要がある。
密な空間ではマスクをしてほしいし、水が手に入らない
状況だが、なるべく手洗いをしてほしい。
検査キットや消毒薬、治療薬が潤沢に流通するように
被災地に支援してほしい」と話した。
インフル患者数、前週からほぼ横ばい、専門家は再拡大を懸念
全国の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は
1月14日までの1週間で1医療機関当たり12.99人と、前週
からほぼ横ばいとなった。
専門家は「地域によって傾向に差があり、増えている
ところも多い」として、再度、感染が拡大することを
懸念している。
国立感染症研究所などによると、1月14日までの1週間に、
全国およそ5000カ所の医療機関から報告されたインフル
エンザの患者数は6万4027人で、1医療機関当たりでは
12.99人と前週からほぼ横ばいとなった。
データをもとに推計されるこの1週間の全国の患者数は、
およそ52万6000人となり、昨年9月4日以降の今シーズンの
累積の患者数はおよそ1160万人と推計されている。
1医療機関当たりの患者数を都道府県別にみると、
宮崎県が22.9人、
沖縄県が22.13人、
大分県が18.53人、
千葉県が17.85人、
愛知県が17.58人などとなっているほか、
大阪府で12.08人、
東京都で10.11人など、
と40の都府県で「注意報レベル」の
10人を超えている。
前週と比べると減少している地域もあるが、
奈良県は1.65倍、
神奈川県は1.54倍、
愛媛県1.44倍などと、増加していて、専門家は地域差が
大きいと指摘している。
感染症に詳しい岩手医科大学のB教授は「ここ最近、
全国的には減少傾向が続いていたが、地域によっては
患者が増えているところもある。
例年であれば、インフルエンザは一旦ピークを超えると
流行が終わるが、この冬は再度、感染が拡大して、
2度目のピークを迎える可能性もある」と話す。
石川・富山・福井・インフル患者数「注意報レベル」10人超に
能登半島地震で大きな揺れを観測した石川県や富山県、
福井県では、1月14日までの1週間で1医療機関当たりの
インフルエンザ患者の数が、「注意報レベル」の10人を
超えている。
専門家は「被災地では、インフルエンザのような呼吸器症状の
患者が多く見られる避難所もあり、マスクや手洗いといった
対策をして過ごして欲しい」としている。
石川県では、地震の影響で調査の対象となっている医療機関の
一部で、インフルエンザなどの患者数の報告が困難になっている。
このため、
震度6強を観測した輪島市、珠州市、穴水町、
震度6弱を観測した能登町を含む能登北部は欠測となっている。
報告があった医療機関に限って集計した結果、1月14日までの
1週間に報告をされた1医療機関当たりのインフルエンザの
患者数は、県全体で10.23人で前週から2.61人減少した。
保健所の管轄する地域ごとでは、
震度7を観測した志賀町、
震度6強を観測した七尾市、
震度6弱を観測した中能登町などを含む能登中部が13.33人、
南加賀が11.20人、
金沢市が9.53人、
石川中央が8.732人だった。
このほか、この地震で大きな揺れを観測した富山県、福井県、
新潟県では、通常どおり、感染状況が発表されている。
それによると、富山県で1月14日までの1週間に報告された
1医療機関当たりのインフルエンザの患者数は、
県全体で12.04人で、前週から1.66人増えた。
保健所の管轄する地域ごとでは、
高岡が14.62人、
中部が11.20人、
砺波が11.14人、
富山市が11.13人、
新川が10.86人であった。
福井県では1医療機関当たりの患者数は、
県全体で13.15人で前週から2人増えた。
保健所の管轄する地域ごとでは、
福井市が16.58人、
丹南が15.75人、
二州が15人、
若狭が10.67人、
坂井が8.80人、
奥越が7.25人。
永平寺町を管轄する福井が4人だった。
新潟県では、1医療機関当たりの患者数は、
県全体で9.57人で、前週から1.45人減少した。
保健所の管轄する地域ごとでは、
南魚沼が23.33人、
上越が16.50人、
佐渡が12.33人、
震度6弱を観測した長岡市などを含む長岡が11.62人、
柏崎が11.40人、
村上が10.67人、
唐津が9.67人、
魚沼が9.33人、
新潟市が8.08人、
十日が6.67人、
糸魚川が6.33人、
新発田が3.86人、
三条が3.38人だった。
岩手医科大学の元教授で日本環境感染学会災害時感染
制御検討委員会のC医師は
「金沢市など被害が比較的軽度なところは、感染状況は
通常どおりの動きが見えるが、被害の大きかった能登では、
定点把握ができない状態で、避難所は地域ごとにも流行
状況が違うようだ。
学会でチームを派遣して調べたところ、インフルエンザの
ような呼吸器症状の患者が多く見られる避難所もあり、
予断を許さない状況だ。
避難生活もマスクや手洗いといった対策をとってほしい。
また、復旧作業などで被災地に入る人も、マスクの着用や
3密を避けるなど、感染を広げないように気をつけて
ほしい」と話された。