秋アキさんから十枚目(十両の正式名称)と幕内土俵入りの所作の意味をご質問頂きました。
ちょっと説明が長くなってしまうので、今日のネタということでお願いします(笑)
十枚目と幕内の土俵入りでは、柏手を1つ打ち、右手を上げ、両手で化粧回しを持ち上げ、両手を上げる所作を行います。
十枚目土俵入りは幕下の取組を5番残した所で行われます、これは十枚目の力士が化粧回しから取り回しに「着替える」時間が必要なためです。
幕内土俵入りは中入りの時間があり「着替える」余裕があるので取組の直前に行われます。
さて、ご質問の土俵入りの所作ですが、一人一人アナウンスされ土俵に上がり大関が上がった後、土俵を向いて行う両土俵入り。
まず、最初に柏手を打つのは「塵浄水(ちりちょうず)」を略したもの。
塵浄水は取組の際、土俵に上がって蹲踞し、もみ手をして柏手一回両腕を左右に開いて手のひらを返す動作です。
つぎに右手を上げる動作は、三段構えの「上段の構え」を表したもの。
三段構えとは相撲の基本の形のことで、本然の体の「上段の構え」、攻撃の体の「中段の構え」、防御の体の「下段の構え」があります。
上の写真が北の湖と千代の富士の「三段構え」。昭和60年、両国国技館落成式で演じられました。これは下段の構えかな?
そして、両手で化粧回しを持ち上げるのは「四股踏み」を表し、最後に両手を上げるのは四股の終了を表したものです。
このような所作は、千秋楽に行われる「三役揃い踏み」の形が簡略化されたのではないでしょうか。
明治の中頃までは「三役揃い踏み」のような形で幕内土俵入りをされていたとありますので、幕内力士が多くなったり、化粧回しを「見せる」といった考えでこうなったのでは?と思います。