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【 万葉花 】 文:矢富巖夫、写真:岡田憲佳 より
【 春されば 百舌鳥の草潜(ぐ)き 見えずとも われは見らやむ 君があたりをば 】
巻10‐1897
モズ:モズ科。全長約20cm、頭から首にかけて赤褐色、性質は荒く、かぎ状の嘴で蛙や虫などを捕食。低山地の藪に巣を作る。
【 歌意 】 春になると、モズが草を潜って見えないように、たとえあの方が見えなくとも私は遠くから眺めるつもりです。あの方の家のあたりを。
【 鑑賞 】 遠くから慕情を寄せる女性の歌です。もずは姿を見せない草ぐきという習性があることを男性にたとえて強く男性を慕っています。
【 ノート 】 題詞に 《 鳥に寄する 》 とある。《 春相聞 》 の部位に属している歌です。
上二句は 「 見えず 」 の序。「 草ぐき 」 はもずの雑木林の間を見えないようにくぐる習性をいいます。また捕らえた獲物を尖った枝に刺しておく習性 《 モズの早贄 ( はやにえ ) 》 もあります。モズの歌は集中、二首。
ご近所の散歩道にて ( 2017/02/17 撮影 )