最近、2日に一冊のペースで本を読んでいます。
2冊を併読していて、内容がごちゃまぜになってしまうのが、良くありませんけど。
一番、最近読み終わった、タイトルとは違って「心はいつも折れかかっている」で始まるこの本。
ご存知、男子柔道60kg以下級でアトランタオリンピック、シドニーオリンピック、そしてアテネオリンピックにおいて柔道史上初、全競技通してはアジア初、となる3連覇を達成した野村忠弘選手です。
近代オリンピック史上4人しかいない個人種目4連覇を目指していましたが、右膝前十字靭帯断裂により、北京オリンピック代表選考に落選。選手生命の危機に直面しながらも克服、ロンドン五輪でも金メダルを目指すことを宣言した野村選手です。
折れない心 (学研新書) 価格:¥ 777(税込) 発売日:2010-01-20 |
オリンピックをあまり見ない私ですが、野村選手の試合だけはダイジェストも含めてよく見ていました。
その小柄な体から繰り出される多彩な技のキレ、スピード、守りから天才的と称されいますが、そんなことはまったくありません。
そこに到るまでの地道な努力・練習があるからこそですよね。
この本の中で印象に残ったことです。
-ぶちキレたオヤジ。逃げる柔道をするな-
高校生の頃の柔道は“不充分な組み手から相手を揺さぶってから技に入る”という新しいスタイルが多かったといいます。つまり、“真っ向から組み合う”というスタイルではないのです。今でもTVなどで見られるシーンです。
その真似をしていたら、父親に
「今だけ勝ちたい選手でいいなら、そういう柔道をすればいい。もし、努力を続けて、チャンピオンになって、息の長いチャンピオンでありたいであれば小手先の柔道はやめろ。今は勝てなくてもいいから組め。組んで柔道をしろ」
と言われたそうです。
確かに、高校時代のみならず、中学時代も勝てるスタイルはあることでしょう。勝つことによって自信をつけさせることが多いと思います。でも、その先なんですよね、大事なのは。
今で終わりにするのであればそれでもいいでしょう。ですが、その先を考えているかどうかです。そこが分岐点になることだと考えます。
野村選手は、このときのアドバイスを素直に受け入れて、方向修正をしたそうです。
さて、 -ぶちキレたオヤジ。逃げる柔道をするな- ですが、このことではありません。
高校3年生のときに全日本ジュニア大会に出場したときのこと。
全日本に出場できたことだけで満足してしまい、一回戦は無名の高校生相手に攻めまくられるが、終了間際での逆転勝ちしました。全日本での勝利。それはうれしいに越したことはありません。喜んで畳から降りてくると、この試合に引率コーチとして来ていた父親に
「こんなに闘志のない柔道をするんやったら帰れ! もうええ」
と激怒されたそうです。
「次の試合はどうするんですか?」
「そんなもん関係ない。帰るぞ!」
逆転勝ちをしたにも関わらず、指導者のプロの目から見ると、許せないような試合だったのです。
結果ではなく、その姿勢が許せなかったのだという。
この2つのアドバイス。今の野村選手に“野村スタイル”として息づいているという。
1つ目は“技を磨く”
2つ目は“闘争心”
「練習は嫌い」「減量はお風呂に入れば充分」というような発言と勝負強さから「天才」と呼ばれたりしています。
本当は臆病。臆病だからこそ自分自身を追い込み、誰にも負けない努力を続けてきたそうです。
妻に見せた涙、何度も読み返す父からの手紙、神頼み・・・普通の人なんです。
野村忠宏36歳。今、なお、挑戦者。