少子化社会に伴って、単独の高校が新設されることは最近では珍しくなっている中、その新設校の野球部(最近では主に女子校の共学化)が突如として地方大会や全国大会を勝ち進むことがあります。
史上最速で全国大会に出場した記録では2011年春の選抜に出場した岡山・創志学園高校は2010年春の創部後、全員一年生で秋季中国大会準優勝を果たし、創部2年目で甲子園出場を果たしています。
■選手権大会
創部3年目 1966年 南北海道・駒大苫小牧高校 / 1979年 茨城・明野高校 / 2002年 石川・遊学館高校
■選抜大会
創部3年目 1980年 千葉・八千代松陰高校 / 1993年 福岡・東筑紫学園高校 / 2000年 大阪・上宮太子高校 / 2004年 愛媛・済美高校 / 2005年 鹿児島・神村学園高校 / 2011年 岡山・創志学園高校
特に済美高は創部2年目の2003年の夏までは目立った成績はありませんでしたが、秋の四国大会で優勝し、2004年春の選抜でも快進撃は続き初出場で優勝、夏の選手権でも初出場で準優勝に輝きました。また、鹿児島・神村学園も創部2年目の2005年春の選抜準優勝があります。
ちなみに、2002年夏の選手権において、創部2年目でベスト8に進出した石川・遊学館高校は実質創部1年4ヶ月での出場でした。
今年は北北海道大会で、創部3年目のクラーク国際高が滝川西高を破って初優勝を決めました。
さて、長野県内でも、今年の春に日本ウェルネス信州筑北キャンパス校が新設され、野球部が創設されました。春の大会から公式戦に出場しており、公式戦初勝利は早くても、今年の秋かなと思っていたのですが、意外や意外というか、大変失礼しました。夏の選手権大会の二回戦で南信地区の好投手擁する諏訪二葉高にサヨナラ勝ちをしました。
ウェルネス信州筑北の三回戦の対戦相手は、春季大会初戦で対戦した松本工業高でした。
春季大会 中信地区予選一回戦
ウェルネス0001000 |1
松本工業 3300002x|8(7回コールド)
選手権大会三回戦
ウェルネス010000220|5
松本工業 10220020x|7
追い上げは一歩及ばずでしたが、確実に力を付けて来ている証拠です。
現在までのところ、春夏通じて史上最速でのスピード出場なのが岡山・創志学園高。野球部を率いているのは長沢宏行監督です。甲子園球場のある兵庫県西宮市で生まれ育ち、地元の市立西宮高で三年生時には四番・主将として活躍しましたが、出場することは出来ませんでした。高校三年生の夏、甲子園のアルプススタンドで名物「かち割り氷」売りのアルバイトをして同年代の選手たちが活躍する姿を目に焼き付け、「指導者としてこの舞台に立つ」と誓ったそうです。
その後、日本体育大に進学したものの、当時の野球部員が約800人もいたこともあり、野球ではなくソフトボールを選択。卒業後、指導者として西宮市の女子校の夙川学院高に赴任し、女子ソフト部の監督を務めました。その間22年で全国高校総体での優勝8回と強豪に育て上げました。その実績を買われ、1996年のアトランタオリンピック女子ソフトボールの日本代表ヘッドコーチも務めるという経歴を持っています。
しかし、「自分が本当にやりたいのは何だ」と疑問を感じ、創部したばかりの神村学園高野球部監督に就任し、2005年に創部3年目で選抜初出場で準優勝を果たしました。そして、2010年に創志学園高に迎えられました。創志学園高でも、史上最速となる創部2年目で2011年春に選抜初出場を果たしました。
なお、創部1年目で、その年の夏に甲子園出場を果たした高校は、未だかつてありません。