【鬼平が斬る
~ 「男の作法」池波正太郎から
~ 他山の石として己を磨くべし の巻】
■そばは、二口、三口かんでから のどに入れるのが一番うまい
「盛りそばで酒を飲むのはいい……」
というようなことを 通ぶった人がよくいうでしょう。
だけど実際に、通じゃなくてもいいものなんだよ。
そばで酒を飲んでもちっともキザじゃないんですよ。
ぼくも好きですよ。
(中略)
そばというのはみんな各地によって違う。
だから、何がいいと決め付けないで、
その土地土地によってみんなそれぞれ特徴があるんだから、
それを素直に味わえばいいんですよ。
どこそこのこの何というそばでなければ、そばじゃない
なんて決め付けるのが 一番つまらないことだと思う。
◇
「ここは、この一手」と解説のプロが言う。
それをマネて、碁形が似ているだけで
「この一手」と言い張るヘボも多い。
(石の配置が少し違うと、そうはならない)
しかし4年余り前にAIが出現・席巻してから
プロの世界の「この一手」は ちゃぶ台返しに。
ここは常識などという戯言は消えたのである。
さてモノマネザルのザル碁打ちの戯言に
まわりはフフンと鼻で笑っている。
ほんとうに強い人は、じっと考え、
なかなかすぐには答えを出さないもの。
観戦記者や検討陣から手の善し悪しを尋ねられた際、
加藤正夫は簡単に見える筋でも即答・断定せず
すぐにいくつかの図を並べて示したという。
<ここはこの一手。何をグズグズ考えている。すぐ打て>
などと横から口を出す高段者(?)ほど
同好会の雰囲気を悪くする者はない。
わたしは「罪、万死に値する」と考えている。
****************************