【鬼平が斬る
~ 「男の作法」池波正太郎から
~ 他山の石として己を磨くべし の巻】
■ちゃんとした鮨屋は“通”ぶる客を軽蔑する
よく鮨屋で、飯のことをシャリといったり、
生姜のことをガリといったりする客がいますが
やっぱりああいうほうが「通」なんでしょうか……
いや、客がそういうことばを使って
通ぶるのを喜ぶような鮨屋だったら駄目だね。
普通にゴハンといえばいいんですよ。
飯のことをシャリとか、
箸のことをオテモトとか、
醤油のことをムラサキとか、
あるいはお茶のことをアガリとか、
そういうことを言われたら、
昔の本当の鮨屋だったら
いやな顔をしたものです。
それは鮨屋仲間の隠語なんだからね。
お客が使うことはない。
(中略)
名の通ったところはたいてい常連がいるからね。
だから常連の坐る席へいきなり坐っちゃうということは、
ちょっとそれはね……。
「お金を払っているんだから、
どこに坐ってもいいじゃないか」
なんて言う人もいるけれども。
(中略)
金さえ払えばよかろうというので
トロばっかり食べている奴も駄目なんだよ。
こういう客はね、鮨屋が困っちゃうんですよ。
◇
囲碁用語を理解不十分のまま
ええカッコをしようと?
間違って使っているアマが多い。
たとえば「厚み」と「模様」の違いが分かりますか?
明らかに使い方が間違っている?
いやいや、ビミョーに違っている?
特に有段者がこうであれば、
ちょっと「お気の毒」なのである。
(知らなきゃ、上手に教えを請うべし。知ったかぶりこそ、恥ずかしい。上手だって、訊かれたら、すっと答えられるよう勉強しておきたいもの)
客商売ですら、こんな「常識」「良識」を知らない客がいる。
同好会なら、どうか。
会費さえ払えば、あとは好き勝手やればいい?
皆が「お客」なら、会など成り立たないのだが……。
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