『晩鐘』 1855-1857年
「一人の男とその妻が、一日の終りを告げる鐘の音に祈りを捧げるため、仕事の手を休めている」
ミレーはまた、次のように述べている。
「かつて田園で仕事をしていたとき、私の祖母は教会の鐘が聞こえると、必ず私どもに仕事を止めさせた。それは、死んだ人々のために、敬虔な気持ちで、帽子に手を持って、お告げの祈りを唱えさせるためであった」
『生まれたての子羊』 1866年
生まれたての子羊を抱えて若い農婦が家路を行く。その後を親の雌羊が精一杯の愛情を見せながら、ついて行く。そしてその後には、ほかの羊達も従っている。いかにも微笑ましくほっとするような光景である。
ミレーはこのような可愛らしさを主としたもの、もしくは気のおけないもの、或は薄暮の情景のようにおぼろげなものにおいて、好んでパステルを使っているように思われる。おそらく、それはパステルが元来もつ、細かくて柔らかみある線と、温かみのある色彩によるのであろう。
・続きは次回に・・・・。