『ぶどう畑にて』 1852-1853年
斜面になったぶどう畑の中で、少年が杭を打ち込み、年長の相棒がぶどうの蔓を支柱に結びつけている。
ぶどう畑の緑に映える光や空の薄桃色に表わされた春景色の表現に対して、構図はしかし堅苦しい。白いケープを着て牛を追う小さな女性の姿によって距離感を強調しているが、彼の風景画の構成力は人物画家としての技量にはるか遅れをとっているようである。
『編物のお稽古』 1854年
1850年代のミレーは「オランダ様式」の時代と呼ばれるように17世紀オランダの室内画から影響を受けた作品が多い。
母と娘のこの微笑ましい情景を描いたものはこの作品が初めてである。ちょうどこの1854年頃には、ミレーの長女が8歳になり、ミレー家では日常の光景であったと思われる。
・続きは次回に・・・・。