『一枚の絵画と詩』
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『ガラテア』 1880年
ギュスターヴ・モロー (1826~1898)
写実主義と自然主義の時代に生まれたギュスターヴ・モローですが、彼の作品ほど現実から遠いものはないし、彼の作品ほど、生活から遠く離れたものはない。と言われています。
この一枚の絵 『ガラテア』も、巨人族キュクロプスの中で特に粗暴で知られる一つ目の巨人≪ポリュペモス≫が、海神ネレウスの娘の中のひとりで、水晶より輝き白鳥の綿毛より柔らかと称された美しい海のニンフ≪ガラテア≫を覗き見る場面が描かれています。
しかし、この幻想的な一枚の絵画 『ガラテア』ですが、ガラテアに絡みつくかのような海中植物は、より写実的に描写されており、この絵を見る私たちは、つかの間、現実の出来事として受け入れているのではないのでしょうか。
まさしく、この一枚の絵画『ガラテア』も、詩的な一枚の絵なのだと思う私です・・・・。
また、モローの作品は19世紀末のいわゆる『世紀末』の画家や文学者に多大な影響を与え、象徴主義の先駆者とされています。