『一枚の絵画と詩』
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『朝日に向かって立つ女』 1818年頃
カスパール・ダヴィト・フリードリヒ (1774~1840)
フリードリヒは、自然の中に、神の世界、聖なるものを見続けたドイツ・ロマン派の巨匠です。「神的なものは至る所にある。一粒の砂の中にも」と語って、人々がぬかずくべき祭壇としての風景画を描いたと。
この絵については、日の出の風景であるとする説と日の入りの風景であるとする説があり、意見が分かれているとのことですが、私は、『朝日に向かって立つ女』と見ます。道の脇には岩が、女性の右手に1つ、左手に2つあり、岩の周りには、白色の小さい花が生息している。画面左手奥に描かれた2本の木の間の後方に、教会堂が小さく見えています。
この『朝日に向かって立つ女』は、女性は妊娠しており、子どもが誕生する瞬間が表現されているのであろうとする解釈もあります。
そのようなわけで、フリードリヒには『樫の林の中の僧院』などの暗鬱な絵などありますが、この『朝日に向かって立つ女』の絵は、私は、生きていくことの明るい明日を描いたのだと思うのです・・・・。