『一枚の絵画と詩』
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『フォンテーヌブローの森のはずれ,日没』1848-49年
テオドール・ルソー (1812~1867)
パリの南郊、フォンテーヌブローの森のはずれのバルビゾン村に住み着いた画家の一派をバルビゾン派といい、テオドール・ルソーは同派の代表的な画家です。
歴史上の物語の背景などではない、フランスの現実の風景そのものの純粋な風景画を確立しようとしたルソーです。
本作はルソーが移住したバルビゾン村の近くにあるフォンテーヌブローの森の様子を描いた作品で、夕暮れの穏やかなひとときが見事に描写されています。
私は実際にフォンテーヌブローの森に行ったことはないですが、何気ない私自身のふるさとのうすくれないの夕暮れの景色に、心がほっとするときがあります。
それは、カタログの解説にあった次の言葉に通じるからでしょうか・・・・。
「ここには、どこまでも続く無限の深さを持ちながら、同時に丸く閉じた全き宇宙の縮図としての自然があり、生涯にわたって自然に沈潜した画家が自然に対して抱く憧憬、さらには畏怖が感じられるのである。」