M7.2

午前８時43分。
本来ならば惰眠を貪る土曜日朝，泥のような出張疲れを抱えて，何故か隣の区のKスタ前にいた。
別に，今日予定されていた巨人戦関連ではない。
日程が土日ということで諦めていたし，莫迦混みの野球は性に合わない。
たまたま市内東端(つまり海っ端)で上の子の野球の試合があり，相方と一緒に送り届け，その帰り道，市中心部を避けるため，偶然通ったに過ぎない。
折しも，市の中学校総合体育大会がKスタ隣の県営陸上競技場で開催されており(後で知ったが，開会式の最中だった)，中学生の集団で道はいっぱいだった。
そんな中，Kスタから北へ延びる道の信号で止まった時だった。

やけに車が揺れる。
最初は，AT車なのでうっかり１速か２速に入れてしまって，アクセル踏んで空ふかしになったか，と思ったが，右足はしっかりブレーキを踏んでいた。
次に，後席の下の子が跳ねているのかと思った。
今月１日付けで道交法が変わり，後席もシートベルト着用が義務づけられたので，チャイルドシートにくくりつけた子どもが暴れる筈もない。

地震－それもかなり大きい，と気付いたのは，おそらく揺れが始まって10秒ほどたってからだろう。
道路に面した店からは，次々と人が飛び出してきた。
真っ先に窓を開けて，空を見た。
電柱の上に大型のトランスのないことを確認。
信号が動いていて，停電していないことを確かめてから，車を発進させた・・・。

後は，報道されたとおりである。
現時点で犠牲者は岩手で２人，福島で１人，我が県で３人だが，震源に近い県北部では，私も何度か足を運んだ栗駒山麓の温泉場付近で宿の倒壊や地滑りで，数人が行方不明になっており，犠牲者はさらに増すものと思われる。

「岩手・宮城内陸地震」と命名された今回の地震はM7.2。
前の四川大地震より幾らか小さいが，岩手県南部と我が県北部でで震度６強，我が街でも震度５強と，近年では最大規模の地震となった。
折しも２日前に，悪夢のような宮城県沖地震から丁度30年が経過したばかりで，県民の動揺は大きい。
・・・と書いているうちに余震を感じる。
今朝から，有感地震は100回を越えただろう・・・。
真綿で首を絞められる感覚で，不気味であることこの上ない・・・。

いずれにしても，四川大地震でも昨年の中越沖地震でも思ったことだが，とにかく他人事ではない。
震源が関東や上方の内陸だったりしたら，京浜・阪神地区は壊滅的な打撃を受ける。
地方のことと，たかをくくることなく自己の「防災力」を高めることを考えるべきだ。
取り敢えず，今夜不安な思いで一夜を過ごしている岩手県奥州市や宮城県栗原市(どちらも何とかして欲しい地名だが)の方々に安息が訪れることを願わずにはいられない・・・。