題名を見て,
「うわっ,懐かしい」
と思われた方は,私と同じ時代を共有された ということだろう。
そんでもって,
マイティジャックとは,近代科学の粋をこらして建造された万能戦艦・マイティ号に乗り込んで,科学時代の悪・Qから,現代社会を防衛する11人の勇者達の物語である。
というフレーズを見たら,きっとたまらないのではないだろうか・・・。
1968(昭和43)年,円谷プロが1時間枠で取り組んだSFアクションである。
上述の通り,超大型戦艦MJ号に搭乗して悪の秘密結社Qと戦うクルーたちの物語であるが,「大人も子どもも楽しめる」といった新機軸を打ち出した意欲作で,年代的には「ウルトラマン」(勿論初代)と「キャプテンウルトラ」の後で,「ウルトラセブン」と重なる。
つまり,1970(昭和45)年に逝去した円谷英二御大の最晩年の作品ということになる(遺作ではない。遺作は「南海の大決闘」)。
だから「ウルトラセブン」同様,重いテーゼが顕著である。
DVDが某TSUTAYAに有ったので,思わず懐かしくてレンタルしてしまったが,10歳に満たぬあの時代,胸をときめかせたシーンが鮮やかなカラー映像で再現されていた(我が家にカラーTVが入るまで,それから3年を要した)。
確かに特撮技術など,今となっては・・・といった部分もなきにしもあらずだが,当時の制作者が並々ならぬ意欲と決意を持って作品に対峙し,最大限の努力と研鑽によって斬新な作品を構成していった様子を伺うことができた。
特に,ストーリー序盤の複雑に入り組んだ背景や人間模様,社会派サスペンスのような雰囲気,ナチズムとかナショナリズムといったイデオロギーを匂わせる設定等々,大人向きの番組だったことを改めて認識することとなった。
主演は,一応二谷英明だが,脇を固める役者たちが滅法良い味出しまくりである。
で,皆七三ヘアに背広が似合っている。
黄色と黒の戦闘服にヘルメットも有るのだが,どうやら二谷がごねたらしく,ダブルのスーツにとっくり襟というWWIIの潜水艦乗りを思わせるような出で立ちとなる。
後半はMJ号を中心としたアクションシーンとなり,第二話での小型戦闘機ピブリダーとQの大型戦闘機との空戦シーンや,第五話でのMJ号対Qの潜水艦の海戦シーンなど,幼い頃わくわくしながら見たものである。
何でも,思想的な問題から幾つかお蔵入りになった話も有るらしく,興趣をそそられる。
当時の多くの映像作品の影響が感じられ,思いつくままに挙げてみると,アルフレッド・ヒッチコックの一連のサスペンスもの,「007シリーズ」,「ザ・ガードマン」,「サンダーバード」,「キャプテンスカーレット」,「スタートレック」,「忍者部隊月光」・・・といったところだろうか・・・。
・・・で,これだけの意欲作だったにもかかわらず視聴率は伸びなかったらしい。
内容的に重かったことと,長丁場に子どもが耐えきれなかったということだろうか・・・。その結果,13話で打ち切りとなり,その後は30分枠の子ども向け活劇「戦え!マイティジャック」と名前を変え,怪人・怪物が敵となったようだ。
当時の私が「小学○年生」に連載されていたものを読んだのは,どうやらこれのコミカライズだったようだ・・・(画は故園田光慶だったか江波譲二だったか・・・,はたまた久松文雄だったか・・・)。
曲は,何と冨田勲である。
既に大河ドラマ「花の生涯」(ついでに翌69年の「天と地と」も),「新日本紀行」(個人的には旧作の方が良いと思う),「文吾捕物絵図」といったNHK番組,手塚治虫原作によるアニメーション「ジャングル大帝」に「リボンの騎士」といった作品によって,作曲家として確固たる地位を築き上げていた時期の作品だが,冨田の手法は後年の作品と比しても決して遜色のないものとなっている。
特に番組冒頭に登場する決然たるファンファーレと印象的な男性コーラスによる「マイティジャックの歌」は,格調高く歌われる(こちら参照,或いはこちら)。
その分厚いオーケストレーションは,聴きようによっては当時のハリウッドのスペクタクル作品のテーマのようにも思われる。
で,当たり前だが,後年(1974年)の大河ドラマ「勝海舟」の咸臨丸の抜錨シーンの音楽にも酷似している。
今日など,ついつい仕事を放り投げて第五話を見てしまった・・・。
経済が右肩上がりだった高度成長時代,TV番組制作者の志の高かった時代の良き所産である・・・・・。
そう言えば,円谷プロのトレードマークは,今もMJのマークなのだろうか・・・。
(マニアの中には,こんなことをしている人も居られるようで・・・)
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