ガウスの旅のブログ

学生時代から大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。現在は岬と灯台、歴史的町並み等を巡りながら温泉を楽しんでいます。

旅の豆知識「伊豆の踊子」

2017年07月10日 | 旅の豆知識
 旅をしていると、文学にゆかりのある場所を訪れることがありますが、時代と共に、それが書かれた当時の状況を彷彿とさせるところは、数少なくなっています。
 その中でも、川端康成の小説『伊豆の踊子』は、100年も前の1918年(大正7)に、伊豆山中を作者が旅したことがモチーフとなっているにも関わらず、現在でも当時の歩いた道や泊まった宿などがそのまま残されているところが多く、当時の状況を偲ぶことができる稀有なところなのです。
 ぜひ、伊豆半島を旅することがあったら、このコースを巡ってみることをお勧めします。

〇『伊豆の踊子』の旅とは?
 小説『伊豆の踊子』は、川端康成著で、大正時代の1918年(大正7)、作者が旧制第一高校2年当時の伊豆旅行に想を得た短編小説です。湯ヶ島から天城峠を越え、湯ヶ野を経由して下田に至る4泊5日の行程で、旅芸人一座と道連れになったのです。
 1926年(大正15)、雑誌『文藝時代』1月号と2月号に「伊豆の踊子」「続伊豆の踊子」として分載され、翌年金星堂より刊行されました。
 現在でも、浄蓮の滝から湯ヶ野まで、旧道が残され、踊子コースとして散策できるのです。良く自然環境が保全され、泊まった宿も残り、文学碑や踊子像などもあって、小説の舞台を訪ねるにはうってつけです。尚、静岡県伊豆市にある昭和の森会館の「伊豆近代文学博物館」に関連する資料が展示されています。
 以下に、小説『伊豆の踊子』の冒頭部分を引用しておきます。

☆『伊豆の踊子』冒頭部分
「道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追って来た。
 私は、二十歳、高等学校の制帽をかぶり、紺飛白の着物に袴をはき、学生カバンを肩にかけていた。一人伊豆の旅に出てから四日目のことだった。修善寺温泉に一夜泊り、湯ヶ島温泉に二夜泊り、そして朴歯の高下駄で天城を登って来たのだった。重なり合った山々や原生林や深い渓谷の秋に見惚れながらも、私は一つの期待に胸をときめかして道を急いでいるのだった。そのうちに大粒の雨が私を打ち始めた。折れ曲った急な坂道を駈け登った。ようやく峠の北口の茶屋に辿りついてほっとすると同時に、私はその入口で立ちすくんでしまった。余りに期待がみごとに的中したからである。そこで旅芸人の一行が休んでいたのだ。
 突っ立っている私を見た踊子が直ぐに自分の座蒲団を外して、裏返しに傍へ置いた。
 ・・・・・・・」

☆1918年(大正7)の川端康成の伊豆旅行での宿泊地一覧
・10月30日 旧制第一高校寄宿舎発
   ↓
・10月31日 修善寺温泉泊
   ↓
・11月1、2日 湯ヶ島温泉「湯本館」泊
   ↓
 徒歩で旧天城トンネルを越え
 途中、旅芸人一座と道連れに
    ↓
・11月3、4日 湯ヶ野温泉「福田家」泊
   ↓
・11月5日 下田「甲州屋」泊
   ↓
・11月6日 下田港から船で東京へ帰る

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