昭和建築学会


昭和の建築物や路上にあるオブジェなどを中心にご紹介します。

昭和建築学会 第30回 伊勢市旧遊楽街をゆく 拾遺 2

2013年12月21日 | 建築

これもかなり廃屋化が進んでいる。

右端はなんと、砂利道! なんといまだ舗装されてない道があるとは。

しかし、アサリの貝殻は捨ててなかったなあ。

 

 

二階も写せばこの通り。

 

 

 

廃屋。

 

 

やはり廃屋。

 

 

 

こんな立派な門と門柱を持った家屋を見つけた。

門に「天」と書いてあるから、天○教の施設?

 

 

二階の雨戸も閉められているから、住民不在だろうか?

 

ところがである。

 

 

右手にまわると、家屋の敷地内にお稲荷さんが……。

とりあえず、天○教疑惑は晴れた。

 

お稲荷さんに参りたかったが、

犬に吠えられて逃げ帰った。

 

正面から見た「塀」。

 

 

この「塀」を斜めから見ると……。

 

 

貧乏なアート性を感じます。

 

 

これこれ、廃屋だからといって、和風の家にこの落書きはないでしょう。

 

 

昔は医院かなにかだったのかな?

ちょっとだけレトロさを感じさせます。

 

これはなんの建物でしょう?

 

 

セレモニーホールと呼ばれ、ようは物件つきの葬儀屋の建物。

 

じゃあこれは?

 

 

幼稚園なのでした。

 

セレモニーホール、

幼稚園、

「○○殿」「△△閣」といった、大手の結婚式場、

大阪のラブホ、

はだいたい同じような外観を呈している。

 

まあ、中では似たようなことをやっているわけだし、当然と言えば当然かも。

 

昔からあった、謎の円形状の建物。

 

 

 

まだ、撮り残した物件、アップロードできていない写真と、いろいろあるのだが、

「伊勢市旧遊楽街をゆく」のシリーズはひとまずここで終わりとしよう。

 

長いことおつきあい下さいましてありがとうございました。

時枝武拝。

近代化されていようと、貧乏は至るところに残っているものだ。


昭和建築学会 第29回 伊勢市旧遊楽街をゆく 拾遺 1

2013年12月21日 | 建築

旧遊楽街と呼べぬ、場末の建築を見てきた。

もはや、旧遊楽街は過ぎ去って、普通の民家のあるあたりを歩いているだけだ。

 

 

これほどひどい和風の廃屋は見たことがない。

 

廃屋の隣。

 

 

謎のコンクリートの壁が……。

 

そうこうしていたら、80歳前後のおばばが因縁をつけてきて、

「名刺もらおうか」

と言ってきたので、

そそくさと逃げた。

 

 

アールに惹かれるが、美容院でもアールの窓を作っていたりするものだ。

これは萌えないアールですね(笑)

 

 

ただの民家だが、うだつ状のコンクリートの壁が無骨に尽きだしていた。

志位書記長の顔が怖い。

 

 

 

キリコ壁風の建築。やはり、筋入りトタン、波形トタンの作る造形は美しい。

 

 

キリコ壁。

 

 

前回、店じまいしたランジェリーショップを掲載したが、

なんと二階以降の窓にアールが。

マンションだと思っていたが、何か分からない怪しげなビルでした。

 

 

トマソン。

もはや無用看板ですらない。

 

 

ん? と思わせる門柱。

 

 

二階は普通の家屋だが、庇があるのではなく、壁面全体が凹んでいる。

 

 

建物右端は、増築されていて、つなぎ目の屋根がなかなかよい。

 

その上部。

 

 

和風と洋風の見事な合体。

 

 

門柱を斜めから写したところ。

 

次回は、本当にシリーズ最終回です。 

 

 

 

 

 


昭和建築学会 第28回 伊勢市旧遊楽街をゆく 5

2013年12月21日 | 建築

さて、そうこうしているうちにわたしは大発見をしたのです!

 

 

出たー。ここも何かの商店だったのでしょう。

 

ところで屋根の部分もやっぱりアールと呼べるのでしょうか?

町のトタン屋が細工したようでかなりゆがんだアールです。

 

 

またでました。古びた三階建ての鉄筋ビル。

窓は、もちろん鉄のフレーム。

 

 

 

アップしてみると、こんな鉄フレームです。

 

遊楽街には宿屋やホテルがつきもの。

いくら廃れた遊楽街でも、宿屋がありました。

白い塗料を塗り直したのか、妙に白々してました。

さすがに「旅館仲屋」は営業中でしょう。

 

 

ところで裏口あたりにあるアールが気になるんですけど……。

 

 

 

アールのアップ。

 

「旅館仲屋」の向かいには、レトロな木造建築がありました。

 

 

 

 

屋根のあたり、レトロですね。

 

 

建物のつなぎ目は、なかなか苦労してつなげたようです。

わたしの大好きな波形トタンならお手の物なのにね。

 

 

うーん、このあたりになると遊楽街からは外れているんですが、いい物件ですな。

 

 

 

庇を支えている腕木も、なかなか時代物です。

わたしは、波形トタンマニア、物干しマニア……、と言ってきましたが、庇マニアでもあるのです。

 

さて、このレトロな建物の近くに、またもやレトロな木造物件が……。

 

 

外から2階に上がれるようになってます。

元はお店でしょう。

アールが美しいですね。

アールの上の方の、空気抜き(?)も時代物です。

 

あらためて気になりますけど、二階へ続く、ビニール庇のついた階段は何なのでしょう?

 

 

 

左のアールアップ。昔の小学校みたいな木で壁が作られているのがいいですね。

 

 

 

右、アールアップ。

 

 

 

一階です。植木鉢の置かれている、コンクリートのフレームが謎ですね。

 

少し歩きましょう。

こんな店がありました。

 

 

 

昔は、中小企業の社長さんは、ここでセクシーな下着を買って、

ホステスさんに持って行ったのではないでしょうか?

 

「なぁーに、これ!? 趣味の悪いオヤジね」

男性客が帰ったあと、そんな悪口を言っていたに違いありません。


昭和建築学会 第27回 伊勢市旧遊楽街をゆく 4

2013年12月21日 | 建築

さてさて、「伊勢市旧遊楽街をいく」も4回目となった。

 

ぼちぼち、ありふれた物件からご紹介しよう。

 

 

これは、今は民家だが、元は飲み屋だったつくりである。

マンホールの蓋が三つ並んでいるのが何やら虚しい。

でかすぎる元看板も。

 

 

ここは現役のようだ。古びたれんがと、木のうきぼり、そしてアールが何よりよい。

 

 

とある、飲み屋の庇と腕木の金具が、時代を感じさせるのがよい。

うん、レトロですな。

 

隣は更地だったのだが、それ以前は密集して建てられており、庇の金具を取り替える余裕もなかったのであろう。

 

 

これもそのたぐいの物件。昔は、隣との間が狭く、配管などにも苦労したに違いない。

こうしてみるとまるでオブジェのよう……。

 

 

先の建物の正面から。「洋服直し」は今でもしているのかどうか分からないが、

二階の窓と、ビニール庇、それと一階のシャッターを収納する部分のアールがなんとも言えませんな。

 

さて、そうこうしているうちにわたしは大発見をしたのです!

 

 

見事なアール、しかも、縦長のコンクリで装飾が施してある。

自然石を貼りつけた壁、なかなかお見事である。

 

 

左手のバルコニーの方にもまわってみた。なかなかレトロなデザイン。

 

ピンクの看板が気になるところであるが、建物全体が時代を醸し出している。

これはなかなか優れた物件である。

 

 

右手にもまわってみた。

往々にして、こういうところは貧乏にできているものだ(?)

 

 

右手二階の窓。閉ざされて久しいようである。

 

 

さらに、右。例のごとく、右隣は更地になっていた。

普通にトマソンが見られる。

 

 

また、少し歩く。ただの民家のようではあるが、一階の窓が出窓になっている。

しかも、出窓の横の方もガラス張り。

 

アルミサッシの玄関に、あらためて庇がついているのも初めて見た気がする。

しかも屋根型の庇である。

あまり機能的ではない庇であるような気がするが……。

 

 

これも古めかしいつくり。おそらく自然石であろう、切り取ってはめ込んであるのである。

 

 

ありました。タクシー屋、遊楽街には車、俥はつきものですね。

 

 

閉鎖されて久しい駐車場。南京錠がかかってました。

 

 

駐車場の隣。これはどう見ても、営業してないでしょう。

ビニール庇の廃れようが哀れをそそる。

 

まだまだ、つづくのであった。

 

 

 

 

 

 

 


昭和建築学会 第26回 伊勢市旧遊楽街をゆく 3

2013年12月21日 | 建築

これはいったい……!

 

 

田舎にある昔のラブホというか、なんというか……。

とにかく目立てば勝ちという建築。

 

 

ご安心あれ。

喫茶

と書いてありました。

 

純喫茶

でないのが偲ばれますけど。

 

お酒、当然出す店ですよね?

コーヒーと書いてはあるけど。

 

モダンジャズ……。

ベニー・グッドマンやグレン・ミラーのレコードはかからないのかな……。

 

視線を左の方に向けましょう。

 

 

 

 

この円筒状の建築、特に円筒の屋根の曲がりぶりとか、

壁面のアールの連続とか、

うん、なんかエッチっぽい想像をしてしまいます。

 

うーんと昔のラブホに置いてあったコンドームの包み紙というか、

精力剤のラベルというか……。

 

もう少し奥も見てみましょう。

 

 

ひなびた木造日本建築がくっついていて笑えます。

しかし、エアコン室外機二台とか、

窓に手すりがあったり、出窓があったり(これらは増築されたものでしょう)

なかなか侮れませんな。

 

右端の方も見てみましょう。

 

 

なんか、やっぱりやばいっす。

この円筒も。しかもタイル張り。

戦後のカフェーを連想してしまいますよ。

 

廃業しているからいいようなものの、

わたしがお酒をのめたとしても、このような店には入りたくないですね。

それにこの店から出てくるのを人から見られたくもないです(笑)

 

周囲を見回しました。

 

なんの店か知りませんが、ただ怪しいのだけは分かります。

こんな街並みのところに公然と賭場を設けないだろうし……。

 

しかし、スナックとか、何とかかいておくれ-、

こわいよー。

 

 

2階部が普通の民家であるのがより怪しさを増しています。

 

先ほど、精力剤といいましたが、当たり前のごとく、旧遊楽街には薬局がありました。

しかも現役です。

 

 

処方せん受付

しわ しみ

と書いてあるのがしょぼいですけど。

 

昔はこういうところで、男たちは精力剤やら怪しげな薬やら、避妊具を買っていたのでしょうか?

 

ある現役のお店(普通の飲食店です)、の裏口に敷石のようにコンクリートブロックが置いてありました。

 

 

しかし、赤い元角石(?)元石臼(?)のような石が挟まっていて、最初からバリアフリーを拒否しているのでした。

 

 

お店の方、夜はくれぐれも足下にお気をつけて下さい。

 

こういう街並みならではでしょうか、こういう物件もありました。

 

 

洋風の木造建築です。

元はこの界隈は、モダンなところだったのでしょう。

 

こんなお店もありました。

 

タイルや石が貼りつけてあるところを見ると、ただ者ではありませんな。

船の操縦環(正確にはなんというのでしょう?)のオブジェが、

まるで、野ざらしの骨のようです。

 

ショーウインドウの壊され方と、ルーズな直され方など大いに気になる物件ですね。

 

 

この写真の方がまだ、かっこよく見えます。

 

 

むむ、こんなところにけばい色のアール!

よく見たら……、

 

 

銀行でした。

しかし、場所柄を考えに入れすぎた建築士さんですね。

しゃれで設計したのかな?

 

旧遊楽街はまだまだつづく。

 

 

 

 

 

 

 

 


昭和建築学会 第25回 伊勢市旧遊楽街をゆく 2

2013年12月21日 | 建築

さて、移動しよう。

 

傾いた塀を見つけたので、おもしろいと思ってシャッターを押した。

 

 

塀の下の方が、昔の鉄道の枕木みたいなのでできている。

それにあわせてあるので、塀の上の方が水平でないのである。

 

 

右側の塀もこの通り。

 

あとで見返してみると、とんでもないことに気がついた。

門柱のところに、名前は書かれてないが、街灯がついているのだ。

 

 

逆行でうまく撮れなかったが、正面から撮るとこんな具合。

 

 

増築されたピンクの建物が何やらいわくありげである。

これだけで、旧遊郭だとは判断してはならないが、うーんと考え混んでしまった。

 

 

玄関部分の上部である。

自然木の柱と欄間(?)みたいなものが何やらもの言いたげである。

 

この民家にほど近いところに、場末の飲み屋があるのである。

 

 

 

 

廃飲み屋。

 

 

「ピンコ」の字が、暗いけど見える。

昔、やくざものから聞いたのであるが、こういう飲み屋に入って、ビールを注文するとする。

その時、ビールはいくらだ、と手をつける前に聞かないといけないのだそうだ。

それをしないと、ぼったくられるとのことである。

 

いかにもそれ風の飲み屋が軒を連ねている。

 

移動することしばし。

 

 

「パリー美容院」(笑)

 

 

夜のお姉さんにとってはヘアは大事ですからね。

しかし、この倒れた植木鉢、何とかならないのかね。

 

 

「パリー美容院」左端。

どこに隣家との境界があるのか分からない。

 

ひょんなところにお稲荷さんを見つけた。

 

 

僕は路上観察していて、お稲荷さんやお地蔵様に出会うとほっとする。

もちろん手を合わせて拝みました。賽銭はあげなかったけど。

 

突如、目につく看板が……。

 

 

「革命」と呼ばれる飲み屋なのである。

 

 

おお、なんたることか、鉄筋5階建てのビル。

こんな遊楽街にあって、なんの商売をしているのだろう?

 

 

また、一見さんには怖そうなスナック迷路。

 

 

廃スナック街?

 

 

大手は潰れて、ちまちまと小さい飲み屋だけが残っている。

 

 

昔は隣に店があったのだろう。

配管が、まるでオブジェのようです。 

 

 

 

 

 


昭和建築学会 第24回 伊勢市旧遊楽街をゆく 1

2013年12月21日 | 建築

先日ご紹介した「旧歓楽街」は、結論的には「旧遊郭」だったようだ。

 

今回からご紹介する「旧遊楽街をゆく」は、「旧遊郭」ではない。

江戸の昔から、お茶や遊びには二通りあった。一つは芸者遊び、もう一つは女郎買い。

今の言葉で言えば、一つはキャバクラ、もう一つはソープランドやヘルスということになる。

 

今回からご紹介するのは、「芸者遊び」の方である。

しかし、その一郭の場末には元遊郭らしきところもあった。

 

まあ、あまり期待なさらずにおつきあい願いたい。

 

わたしがまず目にしたのは、アーケード街入口の、瀬戸物屋であった。

 

 

 

このアーケード街はご多分に漏れず、かなり閑散としている。

シャッターを閉ざしている店舗が圧倒的に多い。

 

しかし、この瀬戸物屋は、定休日以外は必ず店を開けている。

店番がいないのが少しさみしいが、遠慮なく撮影できて感謝している。

 

 

ショーケースの中には、高そうな焼き物もあるようなのだが、

それよりも「セトモノ」と書かれた字のロゴが時代を感じさせる。

 

 

とっくりたぬきや、招き猫、福助などもいまだに売られている。

わたしも、約30年前に、この店で招き猫を買ったことがある。

 

ただの験かつぎだったが、特にいいことも悪いことも起こらなかった。

 

今回は、験かつぎの招き猫や福助が売られていることに、旧遊楽街の端緒を見つけた。

 

 

これも、珍しい。榊立てを売っているのだ。

 

 

色とりどりの数茶碗。

 

店の裏手にも回ってみた。

 

 

 

隣は更地になっているが、以前は住居兼の商店があったのであろう。

隣家との境などあってないようなものだから、

非常に面白い造形を見ることができる。

 

ちなみに、わたしは物干し台マニアであるので、このような物干し台を見るとわくわくするし、

以前にも語ったように、波形トタンマニアでもあるので、

錆びた波形トタンを見るとやはりわくわくする。

 

 

昔式の排水管がむき出しになっていて面白い。

 

 

こういう建物を近くに見つけた。

飲み屋とか商店とはとりあえず関係なさそう……。

 

しかし、角地の3階建ては見応え十分である。

 

 

トマソン化した建物……。

 

 

わたしの愛車が写ってしまったが、

三階までゆける階段は見事である。

 

窓枠が、アルミではなく鉄であることに注意をしておかなくてはならない。

 

 

こんな廃スナック(?)を見つけた。

アールとタイルが何か意味深である。

 

 

先の3階建てのとなりにもアールのある入口の建物が……。

 

 

ドアが斜めに取りつけられているのも何やら怪しげである。

 

 

先の、鉄サッシの3階建て。

 

 

しばし歩く。原爆タイプのトマソン?

 

 

ではなかった。

となりの建物をちょん切っちゃった形になっている。

トマソンはトマソンだ。

 

しかし、この緑のタイルも何やら怪しげ。

 

 

 

無造作に自転車が止めてあったが、元飲み屋であったことは確からしい。

 

すばらしい、原爆タイプを発見。

 

 

原爆のあとを残して、新しく合板(?)を貼りつけてある。

古い記憶はなくしてはならない。

ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ビキニ、ノーモア・フクシマ。

 

 

原爆タイプの横の古い建物。

三階部分(?)だけに窓がついているのが、面白い。

建築と建築が混み合って建てられていた証拠である。

 

 

角地にやはり古いコンクリート建築。

眼鏡屋さんは、表のアーケード街では健在でした。

 

 

わーい、波形トタンの3階建てだ。

 

 

この写真ではちょっと見にくいのであるが……、看板に注目。

 

 

「琴 三絃   三味梅」

と書かれている。

 

琴と三味線の店だったのだ。

いよいよ「旧遊楽街」は近い。

 

 

 

三味線屋の二階。今は普通の人家のようだ。

 

 

物干し台マニアにはたまらない1枚を紹介して、とりあえず今回の報告は終わりとしよう。

(重いとか、フリーズするとかの苦情を聞いたので、少しずつ写真はアップしてゆきたい)