先日ご紹介した「旧歓楽街」は、結論的には「旧遊郭」だったようだ。
今回からご紹介する「旧遊楽街をゆく」は、「旧遊郭」ではない。
江戸の昔から、お茶や遊びには二通りあった。一つは芸者遊び、もう一つは女郎買い。
今の言葉で言えば、一つはキャバクラ、もう一つはソープランドやヘルスということになる。
今回からご紹介するのは、「芸者遊び」の方である。
しかし、その一郭の場末には元遊郭らしきところもあった。
まあ、あまり期待なさらずにおつきあい願いたい。
わたしがまず目にしたのは、アーケード街入口の、瀬戸物屋であった。
このアーケード街はご多分に漏れず、かなり閑散としている。
シャッターを閉ざしている店舗が圧倒的に多い。
しかし、この瀬戸物屋は、定休日以外は必ず店を開けている。
店番がいないのが少しさみしいが、遠慮なく撮影できて感謝している。
ショーケースの中には、高そうな焼き物もあるようなのだが、
それよりも「セトモノ」と書かれた字のロゴが時代を感じさせる。
とっくりたぬきや、招き猫、福助などもいまだに売られている。
わたしも、約30年前に、この店で招き猫を買ったことがある。
ただの験かつぎだったが、特にいいことも悪いことも起こらなかった。
今回は、験かつぎの招き猫や福助が売られていることに、旧遊楽街の端緒を見つけた。
これも、珍しい。榊立てを売っているのだ。
色とりどりの数茶碗。
店の裏手にも回ってみた。
隣は更地になっているが、以前は住居兼の商店があったのであろう。
隣家との境などあってないようなものだから、
非常に面白い造形を見ることができる。
ちなみに、わたしは物干し台マニアであるので、このような物干し台を見るとわくわくするし、
以前にも語ったように、波形トタンマニアでもあるので、
錆びた波形トタンを見るとやはりわくわくする。
昔式の排水管がむき出しになっていて面白い。
こういう建物を近くに見つけた。
飲み屋とか商店とはとりあえず関係なさそう……。
しかし、角地の3階建ては見応え十分である。
トマソン化した建物……。
わたしの愛車が写ってしまったが、
三階までゆける階段は見事である。
窓枠が、アルミではなく鉄であることに注意をしておかなくてはならない。
こんな廃スナック(?)を見つけた。
アールとタイルが何か意味深である。
先の3階建てのとなりにもアールのある入口の建物が……。
ドアが斜めに取りつけられているのも何やら怪しげである。
先の、鉄サッシの3階建て。
しばし歩く。原爆タイプのトマソン?
ではなかった。
となりの建物をちょん切っちゃった形になっている。
トマソンはトマソンだ。
しかし、この緑のタイルも何やら怪しげ。
無造作に自転車が止めてあったが、元飲み屋であったことは確からしい。
すばらしい、原爆タイプを発見。
原爆のあとを残して、新しく合板(?)を貼りつけてある。
古い記憶はなくしてはならない。
ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ビキニ、ノーモア・フクシマ。
原爆タイプの横の古い建物。
三階部分(?)だけに窓がついているのが、面白い。
建築と建築が混み合って建てられていた証拠である。
角地にやはり古いコンクリート建築。
眼鏡屋さんは、表のアーケード街では健在でした。
わーい、波形トタンの3階建てだ。
この写真ではちょっと見にくいのであるが……、看板に注目。
「琴 三絃 三味梅」
と書かれている。
琴と三味線の店だったのだ。
いよいよ「旧遊楽街」は近い。
三味線屋の二階。今は普通の人家のようだ。
物干し台マニアにはたまらない1枚を紹介して、とりあえず今回の報告は終わりとしよう。
(重いとか、フリーズするとかの苦情を聞いたので、少しずつ写真はアップしてゆきたい)