昭和建築学会


昭和の建築物や路上にあるオブジェなどを中心にご紹介します。

昭和建築学会 第52回 四谷荒木町 7

2014年01月31日 | 建築

四谷というところは、もちろん新宿区です。

しかし、新宿通りを折れて、少し路地に入るとすごく生活の匂いがします。

 

生活の匂い、狭い意味で言えば、台所の煮炊きの匂い、お風呂の水の匂いが、時分時になるとしますねえ。

しみじみ、いいなあと思います。

 

生活の匂いのする二枚を。

 

 

窓の格子にひもの輪っかが結ばれています。

そのうち下のバラの枝が伸びたら、この格子に沿わせるつもりなのでしょう。

 

ちょっとせっかちな人ですね。

こういうところに生活の匂いが感じられるのです。

 

 

同じ家です。

玄関先の植木がひもでぐるぐる巻きにされています。

 

SM植木(笑)

生活の匂いがしますなあ。

 

さて、荒木町の外れにやってきました。

 

 

こんなラブホみたいなマンションがありました。

ああ、生活の匂い。

 

 

 

 

同じく、ラブホマンション。

路上を徘徊するとき、つたのからんでいる物件は必見です。

最初はおしゃれのつもりでつたを植えたのでしょうが、

かなりつたの蔓が荒れている物件は、面白い様相を見せてくれることがあるのです。

 

外苑東通りにでました。

外苑東通りといえば、名物「バブルの塔」。

 

 

バブルの塔は、バブルのころに着工されたのに、バブルが崩壊して資金繰りがつかなくなりしばらく放置されていたのです。

その後、だいぶ後になってから、資金繰りがついたのかようやく完成をみた高層ビルです。

 

ただ、この一帯には、これほどの高層建築はみられないので、TPOを考えに入れていないと、やはり道行く人はバカにしています。

 

バブルの塔の近くにこんなビルがありました。

このビルはだいぶ前から知ってましたが、今回初めてシャッターを切りました。

 

 

このビルもバブルのころに建てられたんじゃないかな?

おそらくアントニー・ガウディの建築をまねたのでしょう。

カラフルなタイルが貼りつけてあるビルです。

 

これこそ、元祖バブルの塔ですよ。

ちなみに1階は、アメリカン・オールディーズ風の飲み屋さんになっていました。

わたしはお酒を飲まないのですが、こんなところで飲むのは恥ずかしくていやです(笑)。

 

曙橋の方にいきました。

 

橋の下にはあまり有意義な活用のされ方をされてない土地がありました。

 

 

 

なんと、四谷の真ん中に木守柿がありました。

そもそも、とって食べるために柿の木が植えられているわけでもないでしょう。

 

 

ここにも、柿が。

こんなに手入れされていない庭は、もはや雑木林ですよ。

 

 

 

 

誰も気にとめませんが、曙橋の上からこのように荒れた土地がみられるのですよ。

 

 

少し気を取り直して。

無用看板。不況なのでしょうか。広告主のいない空白の看板が三つそろってました。

 

 

成りゆきで、荒木町にまた戻ってしまいました。

こんな小屋(?)を発見。

 

 

 

中にある配管や、多分メーターの類もあると思うのですが、それらを保護する金網の小屋です。

厳重そうに見えて、つくりがかなりがさつですね。

 

鶏くらい飼えそうな広さでした。


昭和建築学会 第51回 四谷荒木町 6

2014年01月31日 | 建築

四谷荒木町界隈の徘徊は続きます。

荒木町は狭い街なのですが、

色事とは関係のない飲食街も多いのです。もう少し四谷の駅よりの、しんまち通りの飲食街に飽きたら、少し歩いてこの荒木町に飲みに行くべきだと思います。

 

 

振興の飲食街も多い中、こんなポップなドアを見かけました。

これもまた、四谷荒木町の姿。

この町がすごく好きになりました。

 

 

アパートつきの普通の家ですが、大きめの街灯、欄間が色町を想像させます。

二階部の鉄の格子、レトロで美しいですね。

 

 

鉄であれ、木であれ格子は普通に見かけましたが、

なんと竹を組んで格子状にしてありました。

でもこれじゃ、中の人、戸外を見るわけにもいかないんじゃないかなあ……。

 

 

前回の記事で少し触れた「たまる」さんです。

旧字や当て字が使われていて、一見「たまる」を見過ごしてしまうところでした。

 

 

荒木町だって、こんな場末風のスナックはありなんです。

ネーミングといい、ロゴといい何とも場末的ですな。

 

 

これはどこで撮ったのか忘れましたが、玄関の三和土に黒い石がはめ込まれているところに、

色町の香を感じました。

 

 

僕の好きな波形トタン♪

メーターが見えるように、かなりおざなりに切り取られています。

 

 

 

換気扇の窓が見えるし、大型のエアコン室外機があり、表は飲食店だと思うのですが、

確認するまでもなく、貧乏の匂いに惹かれてシャッターを切りました。

 

ヒップホップ調でもない、何か意味不明の落書きが室外機にしてあります。

それにしても、荒木町は坂と階段の街なのに、チャリンコの多いこと……。

 

 

二階の戸袋に注目。

ようやく遊郭らしい装飾に出会いました。こういう建物は新宿区が保護すべきですよ。

 

 

少しカメラを引いたところ。

一階部分は跡形もなく改築されてますが、遊郭街が栄えていたころはどんな風だったのでしょうか。

想像力が膨らみます。

 

 

角石とは違います。四輪車進入禁止の石です。素朴な石が使われているところにも、何やら歴史を感じますね。

 

 

 

防犯連絡所……。しかしこのビルの方が何かすごく怪しい雰囲気なんですけど。

 

 

 

近代的な高い建物に挟まれているせいもあるのでしょうけど、つくづく歴史を感じさせます。

1枚目の方、玄関が何やら独特のレトロな雰囲気♪

 

それにしてもチャリンコ多すぎです。

 

 

チャリンコ多すぎ、の声でお姉さんがチャリンコを撤去しようとしているところです(嘘)

右手奥に近代的な高層建築があります。

この路地をでたら新宿通りだったかな……。ちょっと忘れました。

 

 

ここは普通の飲み屋さんですが、この繊細な格子に色町の風情を感じさせます。

 

 

さて、新宿通りにでちゃいました。

商店街の街灯が、いい感じです。

 

 

 

 

 

 

 


昭和建築学会 第50回 四谷荒木町 5

2014年01月31日 | 建築

荒木町という街、再開発されて白々した一面もあるけど、道筋が昔のままの路地が残っているので、徘徊していて飽きない街である。

後日、やはり元遊郭の街として、亀戸に行ったのだが再開発がすごい勢いで起こったらしく全然面白くなかった。

それに比べれば、四谷荒木町は、まだ芸者さんもいることだし、安泰、安泰……。

 

徘徊を続けよう。

 

 

これはいわば角石の役割をする、建物を守るミニサイズの塀なのだろうと思うけど、段ボール箱がねじ込まれている。

いいな、いいな、貧乏っていいな。

 

 

と、ポップな色使いの建物、おそらく元商店か飲食店だとおもうのだが、発見をする。

それにしても、三階部分の小さな建造物って何なのでしょう?

 

 

 

二枚続けてご覧いただいたが、下りの階段沿いに、涙ぐましく建てつけられたドアです。

階段からドアに至るまで、やはり小さな階段が設けてありますね。

それにしても、左の方の、もはや使用されていないようなぼろぼろのドアは何なのでしょうね。

 

 

ただ今建物を建てる最中? できたら駐車場にしてほしくはないなあ……。

ところで、古い町並みの一画が壊されたとき、隣接している建築物にはきわめて興味深いものがみられるというものです。

 

 

これが、黒いシートの隣の隣家。

やけくそでつぎはぎだらけです。

いいな、いいな、貧乏っていいな。

 

 

これは、特に深い意味があって撮ったのではないのですが、角石ですらなく、

多分、雨水を受けるための石ではないでしょうか?

家屋が傷まないように、雨水を受ける必要がありますが、何というか何とも中途半端な役割しかしていません。

けど、この石、何かすごく存在感がありましたよ。

 

 

 

「とり酒場 わや」です。

一般住宅の塀に使う、装飾用のブロックを使っているのが、泣きたくなるほど貧乏。

誰のデザインなんでしょう?

 

 

「三番館」。

このロゴ、何とかならないものか……。

うんと昔の、避妊具のパッケージのロゴというか、秘宝館的なロゴというか、何か下等なエッチを想像させるロゴですね。

四谷荒木町の芸者さん、がんばってくださいね。

 

 

斜めになっていて、照明の文字が見えないのですが、

照明に屋号だの、住居人だのの名前を書くのは、旧カフェー的。

この家がそうだったわけではないでしょうが。

 

 

この戸は封鎖されていて、おもての「たまる」さんにまで行かないといけないのだそうです。

たしか、表の「たまる」さんの写真も撮ったはずですが、どこかに紛れ込んでしまいました。

 

 

なにがしかのお店なんでしょうけど、(ここに入って、料理の出前をたのんだり、芸者さんを呼ぶところ?)

円形の窓が色っぽいですね。

 

 

これもアパートなのかな……。

左手の格子が気になりますね。

 

 

玄関。やっぱりアパートでした。

この一画に普通にみられたのですが、ドアを開けるとすぐに部屋になっているアパートは普通にありました。

ちょっと不用心ですね。

 

 

閉鎖されて久しいのでしょうか。

 

 

なんか、貧乏なりに凝ったつくりの門ですね。

右端に、おそらくごみを入れておく小屋状の建築物。

苔むした門柱は、塀より古いもののようですね。

こんな建築物ですけど、なにげに下の方に自然石があしらわれています。

 

ちょっとここで、一休みしてまた歩き始めたら……、

 

 

なんと、表札に「常磐津駒太夫」さんの文字。

芸者さんがここで常磐津を習うのでしょう。

 

何とも色町の歴史をみた思い、一筋縄ではいかない四谷荒木町の矜恃を見た思いでした。

 


昭和建築学会 第49回 四谷荒木町 4

2014年01月30日 | 建築

純粋階段っぽい、きれいな階段……。

 

 

ステップの斜になっているのがいいですね。

ここも緩やかな坂道。

 

 

坂道の奥の古びたコンクリートが気になる。

 

 

単なる壁面じゃなくって、上の方にアールのある装飾があります。

水がしみ出しているのでしょうか?

心霊写真風ですね。

 

 

結局は、この切り立っている上に建物があるというだけ。

しかし、こんなにも土地の高さに違いがあるなんて……。

このアールのある装飾はかなり古い模様ですね。

 

 

坂道を道なりに行ったところ。

古い壁面に新しいっぽい建物が、悲しく映えています。

 

 

うーん、東大を目指すための家庭教師の派遣会社ですか?

関係ないですが、僕は学生時代、中学生の数学の家庭教師をしていて、五段階で2の成績を4にまで引き上げたことがあります。(少し自慢)。

 

 

こんなにぼろいガレージに、クラウンが……。

高い車だけど、何か貧乏っぽいですよ。持ち主さん。

 

 

駐車禁止。

自転車は軽車両だからいいのでしょうか?

サドルの後ろの、こどもを乗せる台が物々しいですね。

 

 

古めかしい日本建築。

さすがにこの家は、その手の建物じゃないでしょう。

木の柵が気になります。

 

 

僕は田舎もので知らなかったのですが、

東京の人特にこのあたりの人は、すれ違うとき左へ避けるようです。

普通右に避けるものじゃないのかな(^_^;

 

手すりがどこまでも続くよう。

 

 

東大蛍雪会の表。

考えてみれば、この一帯はアパートが多いですから、現役の東大生が入居しているんでしょうか?

 

 

コンクリートの塀がいい味を出しています。

 

 

もう少し塀の先に行ってみました。

石垣と、出入口のデザインがきれいです。

 

 

右は、古い建物を壊して現在駐車場になっているところ。

こういうところには、面白いものが見つかるものです。

なんと赤煉瓦ですよ。きれいですね。

 

 

赤煉瓦の上の建物。

遠くに見えるのは「バブルの塔」と呼ばれる近代建築。

対比が美しい、古い貧乏な建物ですね。

 

 

この一帯、やたら「探偵」のポスターが目につきました。

奥さんに隠れて悪いことをしてる人がいるのでしょうかね。

それにしても、古い建物ですよ。

 

 

僕なら、右側の建物に住みたくありません。

なんか湿気が多そう。

 

 

奥にドアがありました。

 

 

うだつ風の壁(?)がつくられ、プロパンガスのボンベがありました。

この辺は都市ガスはあってもよいはずなのですが……。


昭和建築学会 第48回 四谷荒木町 3

2014年01月30日 | 建築

荒木町は、路地の街。

ある路地に、こんな風景がありました。

 

 

路地の果てが、アパートの階段……。

 

階段の近くまで行ってみました。

 

 

 

なんと、隣の建物も狭い階段を設けています。

出入りする人、たいへんだろうなあ。

 

旧遊郭街だけあって、こんな建物に少しどきっとします。

 

 

 

丸い窓。

消えかかった木の絵が気になりますね。

 

 

このような場末的な建物も、荒木町にありましたよ。

 

 

灯さんと櫻さんです、怖くって入れないお店です(笑)。

 

 

これは昔のゴミ箱でしょうか。

今は分別回収だから、使われてないでしょうね。

チャリンコが鬱陶しい。

 

 

ここにもチャリンコ。

赤いタイルが張り出していますが、ここは公道じゃないのかな?

 

 

荒木町といえど、かなり貧乏な風景。

一種の純粋階段ですかねえ。

発泡スチロールの箱があわれを誘っています。

 

 

階段の上の方の手すりの装飾。

こんなところに、元遊郭街の誇りを感じさせます。

 

 

いわくありげな建物。

しかし、現役じゃないようですね。

 

 

閉ざされて久しい。

 

 

不景気な世の中、復活の日はないのでしょうか。

 

 

こちらは現役の、川口さんです。

 

 

何気ない、現民家ですが、石が貼りつけてるのとレトロな窓の格子がただならぬものを想像させます。

 

次回も、お楽しみに!まだまだ荒木町は続きます。

 

 

 

 

 


昭和建築学会 第47回 四谷荒木町 2

2014年01月29日 | 建築

さてさて、四谷荒木町といえば、これを省いてはならないというものをご紹介しよう。

それは、荒木町探索をはじめて、案外早く発見してしまったのである。

 

 

赤い幟に、津の守辨財天の文字が……。

 

 

弁天さんが祀られているところ。

 

 

なんと、弁天さんが祀られていて、その横が、

窪地になっていて水たまりというか池がありました。

 

その昔は、滝もあったというからかなりびっくりですよ。

 

 

この通り。

鯉でもいないかな、と思ったのですが、生物は見かけませんでした。

 

 

なんと、アーチ状の橋ですよ。

手すりがステンレスですけど……。

 

こういう曲線は、旧遊郭街だから? てなこともないでしょう。

 

改めて、正面から。

 

 

津の守というからには、港の守護神みたいなものでしょうが、

海運とか海の漁とかと関係あるのでしょうか?

 

調べてみる価値はありますよ。

 

 

池のほとりに、椅子とテーブルがありました。

どこか、このあたりで潰れた飲食店から持ってきたものでしょうか?

 

弁天さんを後にしようとしたとき、こんなものを発見しました。

 

 

阿部定タイプのトマソン。

ねじ曲げられた鉄骨が生々しいです。

やっぱり弁天さんは女の神様だから、情念のようなものを感じますね。

 

少し移動しますね。

弁天さんからほど近いところ。

 

 

お稲荷さんがありました。

なんと、奉納された石柱というのか(?)に、「伊勢丹」の文字がありました。

 

「伊勢丹」の反対側。

 

 

まあ、宗教団体は金持ちですよ。

 

実はこのお稲荷さん……、正面はこんなになっています。

 

 

まあ、一種の無用門があるんだと思うのですが、封鎖されています。

参拝する人は、狐の間を通らず、先の「伊勢丹」と「解脱會」の間から入ります。

 

それに、お稲荷さんにつきものの、長く続く赤い鳥居がないのもさみしい……。

 

少しうんちくを言います。

お稲荷さん=狐ではありません。狐はお使いです。お稲荷さんの言うとおりに働く家来です。

 

先ほど、弁天さんを紹介しましたが、弁天さんのお使いは、なんと蛇です。

 

蛇は、げんを担ぐ色町の芸者さんや遊女に尊ばれたことでしょう。

なんともいいエピソードですね。

 

 

ちなみにお稲荷さんの賽銭箱は、郵便ポストみたいになってます。

しかも、ステンレス。

「伊勢丹」と「解脱會」のところから入ると、真正面にこの賽銭箱があります。

 

入口を変えられたりとか、鳥居がなかったりと、

神様の世界にも、合理化の波が押し寄せていたのでした。

 

その昔、このお稲荷さんに願掛けする遊女もいたのではないでしょうか?

想像はどこまでも続きます。

 

また、移動しますね。

 

 

「千葉」と屋号の書かれた行燈のある、一種のお店がありました。

のれんがかかっていますから、営業中なのでしょう。

 

しかし、千葉さん、なんか傾いていますよ。

 

一つの種明かし。

 

 

斜面に建てられているので、平行四辺形の石で塀が組まれているのでした。

日本人って、器用だな……。

 

 

傾いているのは、塀だけじゃありません。

格子戸が前へ傾いているし、屋根が左へ傾いています。

 

よく、経営が芳しくないことを、傾くといいますが、

千葉さん、こんなに傾いていて大丈夫でしょうか?

 

それに、植木の手入れもするべきです。

 

ここは、一見さんお断りの、芸者さんを呼ぶお店だと思うのですが、

この茂った庭木+雑草を見ると、むだ毛の処理をしていない女性を思い出してしまいました。

 

千葉さん、大丈夫ですか? 今度、荒木町に行ったら店じまいしていたなんていやですよ。

がんばれ! 千葉さん。

 

 

 

 


昭和建築学会 第46回 四谷荒木町 1

2014年01月28日 | 建築

たまには、わたしでも仕事で東京に行く機会だってある。

職業が作家であるからである。

 

四谷荒木町(行政上は、新宿区荒木町と呼ばれる)の探索をしてきた。

なんといっても、旧遊郭跡。

遊郭はもうないのであるが、荒木町の芸者さんは健在だと知人から聞いた。

 

えー、お断りをしておきますが、芸者さんは当然だけど、「売り」はしません。「売り」をするのは、遊女(現在なら、ソープ嬢)で、その境界は厳然としています。

借金がかさんで、芸者さんやクラブのホステスさんが、「売り」の女性に陥るのは現在もありますが、その逆はありません。

 

前置きが長くなりましたが、まずわたしは、新宿通りの三菱東京UFJ銀行の角を折れました。

 

 

 

噂には聞いてましたが、荒木町は坂と階段の街です。

東京は意外と坂道が多いのですね。

四谷だって「谷」と書く以上、昔は「谷」だったのでしょう。新宿通りから靖国通りへぬける道はかなり急な下り坂です。

 

わたしとしては、左手のグリーンの家が気になりました。

 

 

うーん、かなりの急勾配。

 

 

坂越しに隣り合っている家の絶壁(?)に寄り添うように、グリーンの家は建っていて、塀もご覧の通り、ラッパ型というのか、

絶壁に沿うように造られています。

 

 

こんな具合です。

 

しかし、絶壁とはいえ、斜面です。この斜面の土地の持ち主は、やはり坂の上の隣家でしょう。

了解をとってこの塀は造られたのでしょうか?

 

それに、塀と建物との間にほとんど余地がなく、あまり有用な土地利用の仕方でもなさそうですね。

 

さて、移動しましょう。

 

 

なんてことはない路地です。しかし、人間が一人通れて精一杯という規模の路地。

新宿通りはにぎやかな、拓けたところですけど、少し横道に逸れると戦前からあるような路地が入り組んでいます。

 

左手の家、塀が階段状になってますね。斜面に家を建てるとはこういうことなのでしょう。

 

 

これも、特に珍しくないですけど、フェンスのグリーンがきれいだったので……。

それに、坂道というのはなかなか絵になりますね。

 

 

明らかに、電柱が傾いています。

放置して、いいものなのでしょうか?

 

 

右手の奥の家に注目。

 

 

アールっぽい曲線がきれい。

元遊郭街ということで、曲線のある建築物を見るとどきっとしてしまう街、それが四谷荒木町。

 

 

これは、多分、アパートでしょう。

カラフルなドアがきれいですね。

 

共用の洗面所とか、炊事場があるのかな?

 

 

アパート2階への階段。

それにしても、器用に急階段が造られています。

 

こういう靴の干し方をすると、つま先部分が曲がってしまうのに……。

やはり、靴の干し方も知らない若い人が入居しているようです。

 

 

雪むらさんは、閉店して久しいようでした。

この格子戸をのぞいても、入口らしき者はありませんでした。

 

黒い戸に赤い自転車が映えますな。

 

 

やっぱり雪むらさんの入口は見つからない。

不条理小説のようです。

 

写真ではあまり写っていませんが、自然石が壁面下部に使われていて、

荒木町という土地柄、少しどきっとしたのでした。

 

まだまだ、四谷荒木町は続きますよ。

 

 

 

 


昭和建築学会 第45回 伊勢市古市 創業二百年・麻吉旅館

2014年01月15日 | 建築

創業二百年と言われている、伊勢市内ではおそらくもっとも古い旅館を見てきた。

古市といって、元は宿屋街にして遊郭街であったところ。

遊郭のあとらしきところ見られない。

 

見てきた感想……、案外面白くない。

 

でも、写真を撮ったのでご紹介いたします。

斜面沿いに建てられています。斜面の下から見上げると、かなり急な斜面に見えます。登ってみて、やはり急でした。

 

わたしが行ったとき、高齢者の団体がこの坂の階段を登ってゆくところでした。

ひょいひょいと彼らは登ってゆきました(汗)

 

 

一番いいアングルから撮ったところ。

 

 

特に面白くないけど、いいアングルで撮れたので。

 

 

数ある「麻吉」の看板で一番きれいなものがこれ。

 

 

日に焼けとるやん、と突っ込みを入れたくなる。

 

 

あまり、美的な字じゃないですね。

 

 

のれんです。ここにも小さな看板(行燈)が。

 

 

行燈シリーズ終わり。

 

気になったことが一つ。「吉」の字は、「口」の上に、「士」なのでしょうか、「土」なのでしょうか?

商標登録はどうなっているのでしょう?

 

確か、「土」の方は、謝って記載され、定着した字では?

ワープロの辞書には「土」の方はないです。

 

 

謎のコード。

これは行燈の電球へと届きます。

 

 

雨樋の片方、切れとるやん。

でも傾いているから用を足しますね。

 

 

雨樋。

 

 

同じく雨樋。

そんなことより、建物に時代がありますなあ。

これできれいに改修工事を行ったら、「登録有形文化財」ではなくなるでしょう。

 

 

なかなか立派な腕木です。こういうところに、歴史を見ます。

 

 

道を隔てた、渡り廊下。仲居さんがお膳をもって行き来するのが目に見えるよう。

 

 

街道沿いには明かり取りのために格子戸はつきものですが、

ここまで細かい仕事をしてあると、なんか芸術的ですね。

 

1階の庇の上にちょっと出た、窓も気になります。

 

と軽く、これくらいにしておきましょう。

 

旅館街だから、芸者さんの置屋はあったはず。

そして、遊女の置屋も。

ただ、芸者さんは、旅館に派遣されてくるものですが、

遊女さんは、その店におもむかないといけなかったはず。

 

しかし、麻吉旅館は、終戦後すぐは遊女の置屋も兼ねてたと噂に聞きました。

 

田舎では1960年くらいまでは、夜這いの風習が残ってました。

だから、遊女さんといってもあくまでも観光客むけ。

 

戦中戦後を経て、厳しい経営にさらされたゆえでしょうね。

 

この宿屋、古くは、小泉八雲のサイン色紙もあるのだとか。

前、イタリア人の知人を泊めたことがあるのですが、新しいところでは、細野春臣さんのサインを見かけました。

 

時代ですね。

 

おまけ。麻吉を出て、古市の表通りをぶらりと歩きました。

この建物、少し遊郭を彷彿とさせませんか?(傾いとるやん)

 

 

終わり。

 

 

 

 


昭和建築学会 第44回 畑の中の謎のコンクリート建造物  

2014年01月06日 | 建築

わたしがこどものころから、今日ご紹介する建造物(としかいいようない)は畑の真ん中に建ってました。

まずはご覧ください。横(?)から撮ったところ。

 

 

その反対側から撮ったところ。

 

 

冬なので畑に作物はありません。

屋根(?)に雑草が伸び放題です。

空がきれいですね。

 

これではまったく分からないので、正体らしきものが見えるかもしれない入口っぽいところをお見せします。

 

 

 

お分かりかと思いますが、コンクリートの建造物としてはかなり分厚くできているようです。

 

 

これが入口らしきところ。もっと奥へ行ってみます。

 

 

太い鉄骨が露わになってますね。廃材が山とねじ込まれてますが、

 

 

入って一番奥です。

うーん、ますます分からない。

 

入口、反対側から。

 

 

 

こどものころは、わたしたちの間では、

防空壕

と呼ばれてました。

防空壕という言葉がまだ死語でなかったのです。

 

そういえば、小学校3、4年のころ、仲のよかった友だちと斜面に穴を掘り、板か何かで覆いをして防空壕を作って遊んだことがありました。

 

なぜ、この建造物を壊さないのでしょう?

 

 

ご覧の通り、コンクリートの壁が分厚すぎるのです。

そのコンクリートの分厚さに耐えうるだけの太い鉄骨が使われているようです。

 

だから、一般家屋を解体する重機では無理かと思われます。

 

畑の所有者は誰か知らないのですが、

ひょっとしたら、ダイナマイトを用いないと破壊できないのではないかと睨んでいます。

 

そうなるとかなりの出費。

個人ではちょっと無理ですね。

 

こどものころも、もちろん「探検」と称してこの建造物に入ったことがあります。

しかし、何も分かりませんでした。

 

一説によると、地下に降りてゆく階段があると言われてました。

しかし、多分がせじゃないだろうか。

 

また、探検に行ったら、女子のパンツが落ちていたと言ったやつがいました。

なんで女子のパンツがと思いましたが、そのわけが分かったのは中学に入ってからでした(笑)

 

近くに、自衛隊の飛行場があります。

旧日本軍の時代は、飛行場はもっと広かったと聞いています。

多分、軍の何かの施設だったのでしょう。

 

そんなところがおちでしょうか。

 

壁面に謎の穴が……。

 

 

 

 

市立文化遺産かなにか(そんなのあるのか?)に、指定されないでしょうか?

 

 


昭和建築学会 第43回 廃屋、トマソンなど小ネタ集 3

2014年01月06日 | 建築

増改築を重ねた家です。

しかも、廃屋っぽい(笑)

 

 

 

この引き戸をがらがらとあけたらすぐ道路、というのはちょっとこわいです。

 

 

元は商店のようですね。

この一帯、どうしてさびれちゃったんでしょうね。

 

 

さびれた物件。若草さんは元何屋さんだったのでしょう?

店の名前じゃないとしたら、旧日本軍の暗号か何かでしょうか?

 

 

他の人にはなんてことないでしょうが、腕木(庇を支える木)マニアとしては垂涎の一枚です。

この物件に関しては、この無骨さがいいです。

 

 

同じく、格調高い腕木、プラスレトロな街灯です。

 

 

屈強そうな腕木ですね。とれなかったのですが、左にちょっとだけ見えている窓もgoodです。

 

 

わたしは波形トタンのマニアを自称してますが、それだけでなくビニール屋根のマニアでもあります。

自由な形を作ってしまえるのは、波形トタンと同じ。

この物件も見事な曲線美を見せています。

 

 

カメラをひいたところ。古いつくりの建物でしまっているようでしたが、

外車が何台か止まってました。

 

 

話は飛んで、屈強そうな鉄の建築物を発見。

2階はバルコニーに見えますが、下の建物の屋根が斜になっていてバルコニーの用を足しません。

 

きれいなお寺さんを発見。

きれいな建築物には関心がないので、写真は撮りませんでした。

しかし、お寺さんの塀にわびさびがあって何枚か写真を撮ってみました。

 

 

塀の端を正面から撮ったところ。

右手はお寺さんの駐車場、左手は民家と挟んだ狭い路地。

 

 

 

こんな具合です。

路地は舗装してありませんな。

 

 

塀がはげて、赤土があらわになったところ。

 

 

 

 

壁土に古い瓦が混じっています。

なんてエコなんでしょう。

それと、塀の下部は石垣となっていて、この塀よりも古いはずです。

 

 

ふと民家側を見たところです。

まるで箱庭のようです。

ひものついた石がありますが……、なんのための石だったのか忘れました。

 

 

お寺の塀の終わり。

 

 

これこれ、古いからといってスプレーで落書きしてはいけません。

 

ブロック塀とお寺の塀の間にお墓が見えたので、よじ登って撮りました。

 

 

なかなか由緒のありそうな墓石ですね。

古い、金払いのよい檀家の墓に違いないです。

 

見る限りでは心霊写真ではありません。

 

 

 

 


昭和建築学会 第42回 廃屋、トマソンなど小ネタ集 2

2014年01月06日 | 建築

1.私設電信柱

電柱はどこでも見かけるものなのですが……。

 

 

この左端の電柱に注目。

 

 

さらにアップしてみましょう。

 

 

なんと、個人の宅地の敷地内に電柱が立てられています。

しかも、電柱を囲む塀つき。

 

多分、車の出し入れがしやすいようにこうしたのではないかと思います。

この宅のご主人、太っ腹ですね。

しかし、借地料を電力会社から徴収してないのでしょうかね。

 

2.貧乏犬矢来

 

 

 

最初見たときはなんのことか分かりませんでした(笑)。

しかし、冷静に考えて犬矢来としかいいようがありません。

 

 

建物との接合部。

案外しっかりしています。

 

 

 

金具を外すと、扉になるようです。

 

 

コンクリート面が水平でないので、どうしても無理が出ます。

ちょっとお粗末感がします。

 

さらに接合部。

 

 

ところがです。犬矢来の最右端。

 

 

高さが合わなくなって、丸い石ころをかませてあります。

亀の子たわしは特に関係ないと思います。しみじみ貧乏を感じさせるだけです。

 

3.トマソン蔵と謎の建築物

 

前にも書きましたが、わたしは蔵を見るとついシャッターを切りたくなるのです。

コンクリート造りの蔵を発見しました。

 

 

黒い屋根瓦をいただいているのがいいですね。

 

 

蔵横面。

波形トタンで窓が塞がれています。

しかも原爆タイプのトマソンすらありますよ。

 

ところで、この蔵だけで満足していてはいけないのでした。

もっと道よりに変な建造物があったのです。

 

 

縦長のコの字型のコンクリートの建築物です。

なんなのでしょうね。

 

 

裏から見たところ。

 

 

防火用水か何かなのでしょうけど、水がたまっています。

赤い柵つきです。

しかも、コの字型の建築物は柵の一部と見なされていて、

ここのところで赤い柵は切れています。

 

 

壜乾燥機のオブジェでしょうか?

なげやりに、柵とひもでくくりつけてあるのがすごく気になるんですけど……。

 


昭和建築学会 第41回 廃屋、トマソンなど小ネタ集 1

2014年01月06日 | 建築

1.廃商店

無用看板です。しかしその存在感がすごいです。

 

 

商店街にある元商店。商店街の街灯もあります。

 

 

2.長い廃屋

 

廃屋として見捨てるには忍びないのでシャッターを切りました。道に面したところから奥にかけて順番にアップしますね。

 

 

 

壁にあわせて窓に木の板が張られています。

 

 

無用門。

 

 

なかなか、モダンな作りの扉ですな。

 

 

見上げたら物干し台。わたしは高所恐怖症なので、こんな物干し台にはこわくて登れません。

 

 

塀のところに波形トタンの扉。向こうにあるのは離れでしょうか?

コンクリートの剥がれ具合に、わびさびを感じます。

「休日」と書かれているのが気になります。

 

 

離れというには立派すぎますね。

 

土地だけでもかなりの価値があると思うのですが、廃屋なのでした。

 

3.アートな物置

 

波形ビニールトタンでできた納屋を発見しました。長い納屋だし、透けているとまるでデュシャンの大ガラスのよう……。

 

 

 

4.廃屋、一部稼働

 

おや、こんなところに、元乳母車が……。

 

 

乳母車も廃屋化しているようです。

 

 

建物左側。正面から奥にかけて。

一番奥のコンクリートの建造物は廃屋ではないようです。

後でまた見てみましょう。

 

 

侵入を徹底して拒んでいる姿。

 

 

つたのようにからまる電線がオブジェ化していますね。

 

西日本を中心に販売されている「毎日牛乳」の受け箱です。

「毎日ドリプシ」の末裔は今でも健在。

「毎日ドリプシ」のロゴが昔のままなんて、なんて素敵なことなのでしょう。

 

 

 

 

 

建物右側にまわってみました。波形トタンの壁がつづきます。

 

 

 

窓と扉。今ではもう使われていません。

ところでこの扉、どうやって作られたのでしょう。上端が水平でないですよ。

 

 

廃屋の最後部で、現役のところ。

うっかりして廃屋との結合部分を取り忘れました。

 

 

高口石油店さんの持ち物らしいです。(つづく)