昭和建築学会


昭和の建築物や路上にあるオブジェなどを中心にご紹介します。

昭和建築学会 第40回 赤いきつねと緑のたぬき

2013年12月31日 | 建築

ここはとある小学校の近くの道。センターラインさえない道です。

 

 

そもそもこの緑のラインは何なのでしょうか?

教習所でも習わなかったですよ。

 

緑のラインに、赤い車が映えてきれいだな。

 

基本的にもなんにも歩行者は右側通行です。

だから、ガキンチョがドライバーの左手からやってきて、右折するというのが考えられます。

 

左右を見ているパンダの絵が、温存されているのか、ぞんざいに扱われているのか分かりません。

 

 

しかし、右折した右のはてはこんなになっているのです。

 

 

ああ、緑のラインどころか、路側帯自体もなくなっている……。

ちなみに、路上に書かれた「止まれ」の表示で止まる車は見たことがありません。

 

左の路側帯を見てみましょう。

車にとっては向かって右の果てからガキンチョがやってきて、こちらに向かってくると見るのが普通でしょう。

 

 

また、緑のラインがいい加減なところから始まってる。

 

 

路側帯自体は続くのですが、人ひとり通れないような路側帯が続いています。

ここは市道になります。市は、どういう判断からこんな中途半端な緑のラインを設けたのでしょう?

 

関西風にいうと、

なんや、市ぃは何考えとるねん?

となります。


昭和建築学会 第39回 伊勢市河崎編 9 特別構成

2013年12月31日 | 建築

昔の商家の建物が並ぶ、伊勢市河崎の街並みを歩いていて、

「ん?」

ではなく、

「ん!」

と思わざるを得ない物件を見つけました。

 

まずは写真をご覧ください。

 

 

カメラをひきますね。

 

 

これ、普通の民家をよそおっています。

しかし、男女のむふふのところでしょう。

 

門があって、入口がついたてのように立てられた塀で隠されてます。

こういうつくりは、今のラブホにも受け継がれています。

もちろん、このこま田さんは玄人のお姉さんが相手をしてくれる店。

しかも、昔で言うなら花魁、そうとう上級のお姉さんが相手をしてくれるのでしょう。

もちろん、誰かの紹介があって初めてお姉さんを呼んでもらえるシステムになっているはず。

 

商人の街だから、接待用に使われていたし、今も現役だというところがすごいです。

 

ここからはちょっと離れたところへと移動します。

 

河崎商店街。どこの土地に行ってもあるような、軒並みシャッターの閉まっているアーケード街です。

わたしはそのような物件には意外と関心がないのですが、こんなものを発見しました。

 

 

「公認市場」と右から書かれています。その下に縦に「河崎……」と書かれてます。

そうです、この市場ができたころには、「非公認市場」つまり闇市もあったということなのでしょう。

 

しかも書かれているのが、四角タイルを模したトタンです。

当時、カフェーにはタイルがよく使われていたから、タイル柄はモダンだったのではないでしょうか?

 

 

 

アール(?)も美しいですね。

 

 

 

タイルトタンのアップです。

 

さて、そろそろ日も暮れてきたので帰ろうかと思いました。

振り向いたら、とてつもなく興味深い物件を発見したのでした。

 

まず、全体像を。

 

 

わたしに言わせれば、つっこみどころ満載の写真です。

 

 

左の柱。

タイルが貼られている円形の柱であることがおわかりでしょうか?

庇の部分にもタイルが貼られています。

 

 

右の柱部分も同様です。

 

ペンキ塗りの洋風の建て方と、和風の玄関の戸、それを引き立てるタイル装飾、見事な建築美ですね。

この建物の主は、どこでこのような建築を見てきたのでしょうか。

 

さて、本当に帰ろうかと思ったところ、

またもや興味深い物件を発見しました。

 

 

やはり、タイル張りの円柱ですよ。

 

 

ピンぼけですが、

個人の家にクローザーをつけるものなのでしょうか?

 

 

 

なんと出窓。80年代に流行った出窓ではありません。かなり時代を経ています。

 

河崎という町、資本に潤沢な町だけに、新しいもの好きの町でもあったということでしょうか……。

 

 


昭和建築学会 第38回 伊勢市河崎編 8

2013年12月31日 | 建築

まつもと薬局裏の、古い蔵と、新しい蔵。

 

 

お醤油屋さんの看板。こういうのが捨てられてしまうのなら、欲しいなあ……。

 

 

 

お茶目な庇の蔵。

うん、現役の蔵もなかなかいいもんですな。

 

 

西川商店。表札のような看板です。

 

 

古いガラス戸が壊れたのでしょう。

テープで補修してあるのが、木のつくりの家にしみじみにあっています。

 

 

西川商店にも見事な腕木が。

 

 

 

突出部に板が張られているわけですが、板が斜めになっているのが珍しい。

人目を惹くつくりですね。

 

 

この突出部には何が入ってるのか分かりませんが、昔のスプライトの空き瓶が入っていました。

スプライトを知らない人は、検索して調べてください。ミリンダとか、チェリオとかも余裕があれば調べてみてください。

 

 

 

おなじみ、キリコ塀でした(笑)

 

 

石の塀のほうが、トタンより古びて見えるのですが、どうやってこのへこみのある変則的な塀が作られたのでしょう?

 

 

明らかに古そうな石の塀です。

 

 

 

木で作られた、取っ手のようなものはなんなのでしょうね?

 

 

 

窓枠が美しいです。

それと、古いコンクリートと板塀がよく似合っています。

 

 

 

斜めから見たところ。

 

 

 

むむむ、ここにも2階の突出建築物が……。

 

だんだん、古い商家の街並みから外れてしまいました。

最後に。

 

 

伊勢で犬矢来を見つけるのはすごく難しいですよ。

 

このシリーズ、次回が最後です。 


昭和建築学会 第37回 伊勢市河崎編 7

2013年12月31日 | 建築

 

ウィキペディアで調べてみました。庇を支える木は、腕木と呼ばれるのだそうです。

この写真の鉄製の腕木は、作られた当時としてはかなりハイカラなものだったのでしょう。

 

 

切手やはがきを売る民家。

ちゃんと庇つきの専用窓口まであり、アルミサッシで作られています。

 

 

この蔵は、現役なのでしょうか。非常に落ち着いていて端正な面持ちで建ってます。

 

 

廃屋にあった、通用口。上部の曲線が美しいです。

もう建築自体が不要なものですから、これも無用門と呼べるのではないでしょうか?

 

 

 

解体が始まったばかりの(?)家。

増築して、左側の洋風のつくりがつけられたようです。

サツキとメイの家みたいですね。

 

なんと、観音開きの窓ですよ。

 

 

先の物件のあった一画は、解体が現在進行形で進んでいる一帯です。

そんな中で見つけた門柱。端が欠けていて、かわいそうだな……。

 

それにその前にある、何角形か分からないけど、n角形の柱のようなものはなんなのでしょう。金具もついてますし……。

 

 

その右側。門柱にほれぼれしている場合じゃありません。

 

 

解体中の家。先ほどの家より、解体が進んでいるようです。

やはり左の洋館部分は増築して作られたものなのでしょうか?

 

 

 

また別の家。

 

 

やはり立派な門柱です。

 

 

かつて大きな建造物があった土地なのでしょう。解体されたあとに地面に塗られたコンクリート自体がかなり古びています。

立派な塀が生き証人として街を見守っているよう……。

 

 

 

わかりにくいですが、シャッター上部のトタン庇がいびつな形をしているのがおわかりでしょうか。

これは建築前からこの形だったのでしょうか。

 

 

タイルの流し台、廃物利用のバケツ、LPガスのボンベ……。昭和ですなあ。

 

 

 

また正体不明の細長い2階の建造物。

やっぱり、トイレ?

 

 

廃屋。木の皮で葺いてありますよ。

 

 

 

瓦と赤土で丹念に作られた塀。

屋根までちゃんとついているのが、いいところですね。

 

(つづく) 


昭和建築学会 第36回 伊勢市河崎編 6

2013年12月31日 | 建築

そうこうしているうちに、わたしはかなりいい物件を見つけました。

 

 

石塀があって、無用扉、かんぬきがかけられていますね。

まるでデュシャンの遺作を思いおこさせます。

アールも美しいな。

 

 

アール部分の拡大。なんと、石が放射状にくまれているんです。

 

 

閉ざされて久しいといった扉です。(さすがにのぞき穴はなかったです(笑))。

 

 

 

石塀のところどころには、鉄の鋲が打たれていました。

 

 

 

戸の前のブロックです。かなり厳重に守られているようです。

 

 

またもや庇と腕木。

 

 

 

コンクリートで作られていても、形状は木のものと似ています。

 

案外、木の方が丈夫で、コンクリートの方がもろいのかも。

 

 

河崎の町は、観光資源としようとしているので、ゴミ箱(しかも分別化されている)、

にも立派な一戸建てが与えられています。

 

 

こちらは、資源ごみのごみ箱。

缶用とびん用が別れているようです。

 

 

バリアフリー化された、古い戸。

 

 

もはや、全国至るところにあるレトロなポスト。しかし……。

 

 

何時に集められるとも書いてないのです。ただのオブジェ。

間違える観光客がいたらどうするのでしょう?

 

丸いポストなどありふれすぎていて、いまさらカメラをむける人もいないと思いますが……。

 

ポストのあたりに、人造の堀が作ってあって……

 

 

無意味な出っ張りが残ってます。おそらくこの家を改築縮小して、堀を作ったのでしょう。

 

 

こんな感じ。

 

堀へ降りてゆく階段。

 

 

あらためてこういうのを作る意味ってあるのでしょうか。「人造トマソン」ですね。

 

さて、そろそろ今回はおしまい。PCが重くなるとかフリーズするとかの苦情も来てるんです(汗)。

 


昭和建築学会 第35回 伊勢市河崎編 5

2013年12月31日 | 建築

さてさて、伊勢河崎編5回目です。

 

車が置いてあってちょっと見にくいのですが、

 

 

レトロな(当時としてはかなりモダンな)井戸のつるべの滑車のようなものを発見しました。

もし、この家が改装されたらこれも取り壊しになると思うと、貴重な物件ですね。

 

 

建てられた当時、流行していた腕木のようです。

似たデザインのものをしばしば見かけます。

なかなか立派で、頑丈そうです。

 

右へ移動しますね。

 

 

同じ庇の腕木。先のは左端、これは真ん中、次のは右端です。改築のたびに腕木も変わって来たのでしょうか?

 

 

右端です。右にゆくに従って簡素化されている気もしますが、この右端のが一番古そうです。

 

 

下方にあるのは川の石垣です。

問題にしたいのは、この細長い2階建て部分です。波形トタン(以降、このような筋の入ったトタンも簡便のためこう呼びたいと思います)、

が用いられているので増築されたようでありますし、1階にも2階にもある小窓は、トイレの窓風です。

いったい何なのでしょう?

 

このような物件は意外と見かけます。

トイレ、

ということに決定。

 

もう飽きたと言われるかもしれませんが……、

 

 

……

 

 

キリコ塀です。

やはり波形トタンは偉大です。

 

 

「人の心も暖い(ママ)

古きよき町 河の町」

と書かれています。

 

古きよき町ですが、この看板自体がすごく古いんですけど……。

ちなみに取り付けの金具が骨董品化しています(笑)

 

 

レトロな街灯。

 

 

無用門化している扉。

石とコンクリートにはさまれて窮屈そうですね。

石(ブロック?)も置かれているし。

それに蝶つがいも異常に大きいし……。

 

 

その右方にある、レトロなガラス窓です。

 

 

正面から見るとこんな感じ。

 

なんだと思いますか?

 

 

エアコンの室外機です。

一戸建ての高級住宅です。

 

また、庇の腕木を連続してご覧下さい。

 

 

 

 

これ、やはり同一の家屋、同一の庇なんですよね。

 

(つづく) 


昭和建築学会 第34回 伊勢市河崎編 4

2013年12月31日 | 建築

庇を支える腕木。立派な商家が多いので、このような物件にゆきあたることが多かったです。

 

 

 

今は使われてない木の枠のショーウインドウ。

下の方が石でできていて、牛乳入れや旗を立てる金具がついています。

美しいですね。

 

 

ん? 丸印看板。かなりレトロです。字が読めそうで読めない……。

 

 

 

下の方がタイル張りになっています。

この出っ張りの部分でたばこを売っていたのでしょう。

正業は酒屋のようです。

 

 

パーラメントの広告が貼ってあります。

少し調べてみたのですが、パーラメントの国内発売は、1989年とのことです。

そのころ、まだたばこを売っていたんですね。

 

それ以上、崩れてくれるな、タイル張り。

 

 

 

正体不明の建造物に出会いました。

アールもあるし、なんでしょうかこれ?

 

 

 

高さとしては2階建て。

2階部分に庇か看板を支える腕木が残っています。

さりげなく原爆タイプも見られます。

 

 

2階部分。アップで写したからといって、正体が分かるわけありませんね。

腕木のデザインがレトロでいいです。

 

 

一階部分。わたしはひたすらアールが気になるんですけど。

それと、アールの下方のぽっこり出っ張っているところ。

 

 

この物件のある敷地の奥に入ってゆきましたが、蔵、大八車、そういうものは残ってます。

しかし、先ほどの物件は謎のまま。

 

 

 

これはいささかモダンな作りです。物置にしては立派というか、デザインがしゃれてますね。

元はなんの目的で作られたのでしょうか?

 

ふと振り向いたら、こんなすばらしい物件がありました。

 

 

 

レトロな元床屋さんです。青赤白のしましまが、壁に描かれているのがすてきです。

屋根の角度もなんともレトロ。

 

 

洋風の廃屋でこれだけすさまじい物件を見たことがありません。

すごすぎる……。

 

 

 

花壇だったのでしょうか。草はたくましく生きていますね。

 

 

 

和風の建築に洋風の建築を増築したのでしょう。

もちろん和風の部分も廃屋となっていました。

 

 

斜めから見たところ。やはりこの辺の建物らしく、塀はしっかりしています。

玄関の部分に地をはうようなつた(?)が、きれい。

 

 

 

続いて、

 

 

キリコ物件なのでした。やはりこういう変則的な建築には波形(ビニール)トタンが活躍します。

 

 

立派な門。煉瓦造りもきれいだな……。

 

しかし、この細い隙間はどなたの土地なんでしょうか?

 

 

奥にも立派な門。木の戸はあとから増築されたものではないでしょうか?

 

まだまだ、元豪商の貧乏建築は続きます。


昭和建築学会 第33回 伊勢市河崎編 3

2013年12月31日 | 建築

古い街並み探索を続けよう。

 

 

ん? 進入禁止かな?

 

 

地味だけど、キリコ塀右側。

ここで「オシッコ」する人いるのかな?

 

 

キリコ塀左側。

要は、真ん中の道が下りの坂道になっているということです。

あまりおもしろくなかったね。

 

 

現役の蔵の見せる扉、庇と腕木の美しさ。

 

 

昔風の鉄の格子。

 

 

その横に、今風のアルミサッシがあったのだが、上の空気抜きの方が歴史はあると思う。

 

 

堂々と「無」を表現する、コンクリート。

 

 

赤煉瓦といい、増改築のあとといい、二階の独特の庇といい、なかなか渋い物件ですな。

 

 

正面からはよく分からないが……、

 

 

なかなかレトロな鉄の格子。

 

 

手すりに細工がしてあるのが、しみじみよいですな。

 

 

正面から。

 

 

元々、排水の溝だったのでしょうか?

違うと思うのですが……。

 

今は駐車場になってますが、さぞ大きなお屋敷だったのでしょう。合掌。

 

 

 六角形の石が美しい。

 

 

溝の終わり。ちゃんと安全防止柵がついてます。

こんなところで、こどもでなくても死にたくないです。

 

 

見事な、現役の煉瓦造り。照明もレトロだし、

階段も純粋階段を思わせるつくり。

 

しかし、なんのためにこの小屋(失礼)が増築されたのでしょう?

 

(つづく) 

 


昭和建築学会 第32回 伊勢市河崎編 2

2013年12月31日 | 建築

さて少し移動。

僕は庇を支えている腕木のマニアでもあるのであるが、レトロな物件を発見した。

 

 

新築の時、おそらく作られたのであろうが、なかなか無骨で見応えがある。

 

 

 

 

波形トタンのなせる技、増築が幾重にもなされている。正確には筋入りトタンなんだけどね。

 

 

あまりにも堂々とした、無印看板。こんなトマソンがあってもいいのか?

波形トタンのさびが風情を装う。

 

 

この地帯には、このようにどっしりとして無骨な門柱が多いようだった。

背後の、波形トタン建築もちょっと気になる。

 

 

 

先ほどの家なのであるが、コンクリートで、こんな小さな増築がなされている。

これはなんのためにだろう? 消化器入れかな?

 

 

 

やはり、無骨な門柱と無用門。

 

 

 

古い、波形トタンの建物(アパート?)

コンクリートで支えてあるのが、時代を感じさせる。

 

 

 

曹洞宗のお寺の境内にあった、タイル張りの流し台。

ものは大切に扱うべし。

 

 

 

同じく曹洞宗の境内にあった、お百度の石。

こういうのをみるのは久しぶりである。

 

 

 

増改築を繰り返した、トタン建築。

 

 

 河崎に遊郭はあったはずはないのだが、こういう玄関先にある旧カフェー超のパーツを見るとどきっとする。

 

 

 

メンテナンスの行き届いている蔵。こういうのはこういうのでまた僕の好みである。

 

 

 

 

ここ、河崎は、中古の蔵は探さなくてもいっぱいある。

そんな中、改装して喫茶店にしていたり、手芸の小物を売る店にしたりしている。

 

伊勢神宮に次ぐ第二の観光スポットにしたい気は分かるが、古いものは古いものとして残して欲しいと思った。

 

(つづく)


昭和建築学会 第31回 伊勢市河崎編 1

2013年12月31日 | 建築

三重県伊勢市にある河崎というところにいってきた。

ここは古くからの商いの街で、ほとりを流れる勢田を経由した江戸との交易が盛んだったといわれている。

 

だから、東京には「伊勢屋」という屋号の商店がたくさんあるのだと聞いたことがある。

 

訪れた順に紹介していきたい。

 

 

先ずは、無用門つきの蔵である。やっぱり僕は、蔵を見るとときめいてしまうのだなあ。

 

 

このように、母屋とうまくくっついている。これはお見事である。塀のデザインも優れている。

 

 

母屋。きれいな日本家屋を見るといいなあとつくづく思えるのであった。

 

 

隣の洋風建築との境目はどうなっているんだろう。

格子戸の隣に細長いまた違う格子戸が着いているから、

ここの隙間に入って工事をしたのだろうか?

 

 

 

隣の、古めかしい洋風建築。

シャッターが閉められているが、そこのところのアールが美しい。

 

一階は昔ながらの鉄のサッシ、二階はアルミサッシのようだ。

しかし、この古びた洋館の具合はなかなか僕のお気に入りである。

 

 

アールの拡大写真。

うーん、見事ですな。

 

 

三階にあるポールも、円柱状。

これもなかなか見応えのあるところ。

 

いざ、ディープな河崎へ。

 

 

蔵を改造して作った喫茶店。この手の喫茶店はいっぱいあってちょっと辟易した。

 

 

喫茶店のところにあった、洋風の流し台。

こういうものにこそ、しみじみ昔の風情が感じられる。

 

 

これは、無用門の上に電気メーターが取りつけられた?

 

お社があったので、いくつかご覧いただこう。

 

 

 

 

最初はお地蔵様かと思っていたので、この手を洗う石台(というのか?)を見たときには、

ん? と思った。

 

 

この通り、常夜灯もある。

 

 

 

何か、お地蔵様ならぬ石を拝むようになっているのだ。線香台まで置かれている。

 

この柵(失礼)の上部にはこんな彫刻もあった。

 

 

みざる、いわざる、きかざる……。もう何が祀ってあるのかわけが分かりません(笑)。

 

 

仏様じゃないのに、供えてあるのは菊の花……。

 

 

あらためて外見。この紙のひらひらはなんぞや?

 

(つづく)

 


昭和建築学会 第30回 伊勢市旧遊楽街をゆく 拾遺 2

2013年12月21日 | 建築

これもかなり廃屋化が進んでいる。

右端はなんと、砂利道! なんといまだ舗装されてない道があるとは。

しかし、アサリの貝殻は捨ててなかったなあ。

 

 

二階も写せばこの通り。

 

 

 

廃屋。

 

 

やはり廃屋。

 

 

 

こんな立派な門と門柱を持った家屋を見つけた。

門に「天」と書いてあるから、天○教の施設?

 

 

二階の雨戸も閉められているから、住民不在だろうか?

 

ところがである。

 

 

右手にまわると、家屋の敷地内にお稲荷さんが……。

とりあえず、天○教疑惑は晴れた。

 

お稲荷さんに参りたかったが、

犬に吠えられて逃げ帰った。

 

正面から見た「塀」。

 

 

この「塀」を斜めから見ると……。

 

 

貧乏なアート性を感じます。

 

 

これこれ、廃屋だからといって、和風の家にこの落書きはないでしょう。

 

 

昔は医院かなにかだったのかな?

ちょっとだけレトロさを感じさせます。

 

これはなんの建物でしょう?

 

 

セレモニーホールと呼ばれ、ようは物件つきの葬儀屋の建物。

 

じゃあこれは?

 

 

幼稚園なのでした。

 

セレモニーホール、

幼稚園、

「○○殿」「△△閣」といった、大手の結婚式場、

大阪のラブホ、

はだいたい同じような外観を呈している。

 

まあ、中では似たようなことをやっているわけだし、当然と言えば当然かも。

 

昔からあった、謎の円形状の建物。

 

 

 

まだ、撮り残した物件、アップロードできていない写真と、いろいろあるのだが、

「伊勢市旧遊楽街をゆく」のシリーズはひとまずここで終わりとしよう。

 

長いことおつきあい下さいましてありがとうございました。

時枝武拝。

近代化されていようと、貧乏は至るところに残っているものだ。


昭和建築学会 第29回 伊勢市旧遊楽街をゆく 拾遺 1

2013年12月21日 | 建築

旧遊楽街と呼べぬ、場末の建築を見てきた。

もはや、旧遊楽街は過ぎ去って、普通の民家のあるあたりを歩いているだけだ。

 

 

これほどひどい和風の廃屋は見たことがない。

 

廃屋の隣。

 

 

謎のコンクリートの壁が……。

 

そうこうしていたら、80歳前後のおばばが因縁をつけてきて、

「名刺もらおうか」

と言ってきたので、

そそくさと逃げた。

 

 

アールに惹かれるが、美容院でもアールの窓を作っていたりするものだ。

これは萌えないアールですね(笑)

 

 

ただの民家だが、うだつ状のコンクリートの壁が無骨に尽きだしていた。

志位書記長の顔が怖い。

 

 

 

キリコ壁風の建築。やはり、筋入りトタン、波形トタンの作る造形は美しい。

 

 

キリコ壁。

 

 

前回、店じまいしたランジェリーショップを掲載したが、

なんと二階以降の窓にアールが。

マンションだと思っていたが、何か分からない怪しげなビルでした。

 

 

トマソン。

もはや無用看板ですらない。

 

 

ん? と思わせる門柱。

 

 

二階は普通の家屋だが、庇があるのではなく、壁面全体が凹んでいる。

 

 

建物右端は、増築されていて、つなぎ目の屋根がなかなかよい。

 

その上部。

 

 

和風と洋風の見事な合体。

 

 

門柱を斜めから写したところ。

 

次回は、本当にシリーズ最終回です。 

 

 

 

 

 


昭和建築学会 第28回 伊勢市旧遊楽街をゆく 5

2013年12月21日 | 建築

さて、そうこうしているうちにわたしは大発見をしたのです!

 

 

出たー。ここも何かの商店だったのでしょう。

 

ところで屋根の部分もやっぱりアールと呼べるのでしょうか?

町のトタン屋が細工したようでかなりゆがんだアールです。

 

 

またでました。古びた三階建ての鉄筋ビル。

窓は、もちろん鉄のフレーム。

 

 

 

アップしてみると、こんな鉄フレームです。

 

遊楽街には宿屋やホテルがつきもの。

いくら廃れた遊楽街でも、宿屋がありました。

白い塗料を塗り直したのか、妙に白々してました。

さすがに「旅館仲屋」は営業中でしょう。

 

 

ところで裏口あたりにあるアールが気になるんですけど……。

 

 

 

アールのアップ。

 

「旅館仲屋」の向かいには、レトロな木造建築がありました。

 

 

 

 

屋根のあたり、レトロですね。

 

 

建物のつなぎ目は、なかなか苦労してつなげたようです。

わたしの大好きな波形トタンならお手の物なのにね。

 

 

うーん、このあたりになると遊楽街からは外れているんですが、いい物件ですな。

 

 

 

庇を支えている腕木も、なかなか時代物です。

わたしは、波形トタンマニア、物干しマニア……、と言ってきましたが、庇マニアでもあるのです。

 

さて、このレトロな建物の近くに、またもやレトロな木造物件が……。

 

 

外から2階に上がれるようになってます。

元はお店でしょう。

アールが美しいですね。

アールの上の方の、空気抜き(?)も時代物です。

 

あらためて気になりますけど、二階へ続く、ビニール庇のついた階段は何なのでしょう?

 

 

 

左のアールアップ。昔の小学校みたいな木で壁が作られているのがいいですね。

 

 

 

右、アールアップ。

 

 

 

一階です。植木鉢の置かれている、コンクリートのフレームが謎ですね。

 

少し歩きましょう。

こんな店がありました。

 

 

 

昔は、中小企業の社長さんは、ここでセクシーな下着を買って、

ホステスさんに持って行ったのではないでしょうか?

 

「なぁーに、これ!? 趣味の悪いオヤジね」

男性客が帰ったあと、そんな悪口を言っていたに違いありません。


昭和建築学会 第27回 伊勢市旧遊楽街をゆく 4

2013年12月21日 | 建築

さてさて、「伊勢市旧遊楽街をいく」も4回目となった。

 

ぼちぼち、ありふれた物件からご紹介しよう。

 

 

これは、今は民家だが、元は飲み屋だったつくりである。

マンホールの蓋が三つ並んでいるのが何やら虚しい。

でかすぎる元看板も。

 

 

ここは現役のようだ。古びたれんがと、木のうきぼり、そしてアールが何よりよい。

 

 

とある、飲み屋の庇と腕木の金具が、時代を感じさせるのがよい。

うん、レトロですな。

 

隣は更地だったのだが、それ以前は密集して建てられており、庇の金具を取り替える余裕もなかったのであろう。

 

 

これもそのたぐいの物件。昔は、隣との間が狭く、配管などにも苦労したに違いない。

こうしてみるとまるでオブジェのよう……。

 

 

先の建物の正面から。「洋服直し」は今でもしているのかどうか分からないが、

二階の窓と、ビニール庇、それと一階のシャッターを収納する部分のアールがなんとも言えませんな。

 

さて、そうこうしているうちにわたしは大発見をしたのです!

 

 

見事なアール、しかも、縦長のコンクリで装飾が施してある。

自然石を貼りつけた壁、なかなかお見事である。

 

 

左手のバルコニーの方にもまわってみた。なかなかレトロなデザイン。

 

ピンクの看板が気になるところであるが、建物全体が時代を醸し出している。

これはなかなか優れた物件である。

 

 

右手にもまわってみた。

往々にして、こういうところは貧乏にできているものだ(?)

 

 

右手二階の窓。閉ざされて久しいようである。

 

 

さらに、右。例のごとく、右隣は更地になっていた。

普通にトマソンが見られる。

 

 

また、少し歩く。ただの民家のようではあるが、一階の窓が出窓になっている。

しかも、出窓の横の方もガラス張り。

 

アルミサッシの玄関に、あらためて庇がついているのも初めて見た気がする。

しかも屋根型の庇である。

あまり機能的ではない庇であるような気がするが……。

 

 

これも古めかしいつくり。おそらく自然石であろう、切り取ってはめ込んであるのである。

 

 

ありました。タクシー屋、遊楽街には車、俥はつきものですね。

 

 

閉鎖されて久しい駐車場。南京錠がかかってました。

 

 

駐車場の隣。これはどう見ても、営業してないでしょう。

ビニール庇の廃れようが哀れをそそる。

 

まだまだ、つづくのであった。

 

 

 

 

 

 

 


昭和建築学会 第26回 伊勢市旧遊楽街をゆく 3

2013年12月21日 | 建築

これはいったい……!

 

 

田舎にある昔のラブホというか、なんというか……。

とにかく目立てば勝ちという建築。

 

 

ご安心あれ。

喫茶

と書いてありました。

 

純喫茶

でないのが偲ばれますけど。

 

お酒、当然出す店ですよね?

コーヒーと書いてはあるけど。

 

モダンジャズ……。

ベニー・グッドマンやグレン・ミラーのレコードはかからないのかな……。

 

視線を左の方に向けましょう。

 

 

 

 

この円筒状の建築、特に円筒の屋根の曲がりぶりとか、

壁面のアールの連続とか、

うん、なんかエッチっぽい想像をしてしまいます。

 

うーんと昔のラブホに置いてあったコンドームの包み紙というか、

精力剤のラベルというか……。

 

もう少し奥も見てみましょう。

 

 

ひなびた木造日本建築がくっついていて笑えます。

しかし、エアコン室外機二台とか、

窓に手すりがあったり、出窓があったり(これらは増築されたものでしょう)

なかなか侮れませんな。

 

右端の方も見てみましょう。

 

 

なんか、やっぱりやばいっす。

この円筒も。しかもタイル張り。

戦後のカフェーを連想してしまいますよ。

 

廃業しているからいいようなものの、

わたしがお酒をのめたとしても、このような店には入りたくないですね。

それにこの店から出てくるのを人から見られたくもないです(笑)

 

周囲を見回しました。

 

なんの店か知りませんが、ただ怪しいのだけは分かります。

こんな街並みのところに公然と賭場を設けないだろうし……。

 

しかし、スナックとか、何とかかいておくれ-、

こわいよー。

 

 

2階部が普通の民家であるのがより怪しさを増しています。

 

先ほど、精力剤といいましたが、当たり前のごとく、旧遊楽街には薬局がありました。

しかも現役です。

 

 

処方せん受付

しわ しみ

と書いてあるのがしょぼいですけど。

 

昔はこういうところで、男たちは精力剤やら怪しげな薬やら、避妊具を買っていたのでしょうか?

 

ある現役のお店(普通の飲食店です)、の裏口に敷石のようにコンクリートブロックが置いてありました。

 

 

しかし、赤い元角石(?)元石臼(?)のような石が挟まっていて、最初からバリアフリーを拒否しているのでした。

 

 

お店の方、夜はくれぐれも足下にお気をつけて下さい。

 

こういう街並みならではでしょうか、こういう物件もありました。

 

 

洋風の木造建築です。

元はこの界隈は、モダンなところだったのでしょう。

 

こんなお店もありました。

 

タイルや石が貼りつけてあるところを見ると、ただ者ではありませんな。

船の操縦環(正確にはなんというのでしょう?)のオブジェが、

まるで、野ざらしの骨のようです。

 

ショーウインドウの壊され方と、ルーズな直され方など大いに気になる物件ですね。

 

 

この写真の方がまだ、かっこよく見えます。

 

 

むむ、こんなところにけばい色のアール!

よく見たら……、

 

 

銀行でした。

しかし、場所柄を考えに入れすぎた建築士さんですね。

しゃれで設計したのかな?

 

旧遊楽街はまだまだつづく。