ー白銀の巫女ー桂木透子ー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝
第十三話
私に成り済ますあの偽りのサーベラーの動きを封じた事で、大帝の心が、私に対する大帝の心が解った・・・
「……遮断、された………。」
やはりと思う気持ちと、切ない気持ちとが、私の心の中で葛藤する・・・
「……これで、これで闘える…。」
「……これが貴方の出した結論なのですね。」
共鳴させた精神感応波によって、空間を跳躍して来る白色彗星のフレアが止まった事で、ヤマトは緊急ワープした。
◆◆◆◆
緊急ワープしたヤマトの艦内では、新たな騒動の火種が・・・
進路を地球へと取るヤマト。
艦医:佐渡が独房区画へ慌ただしく降りてくる。
隔離された1号室。
ガミラス女衛兵の様子が変だと、見張りのクルーからの連絡先を受け、駆けつけて来たのだ。
無理もない。十倍の速度で彼女のお腹の子は、成長しているのだから。
ヤマトが、このガミラス女衛兵を囚えて二十四日、即ち妊娠八ヶ月を過ぎたところであり、あと地球時間で一週間で出産を迎える。
そう。このまま、何事もなければ地球にヤマトが帰還すると同時に、出産する。
"人造人間"として成長する子。
その子もまた、青年期までは急速に発育する。
そして、"サキュバス"のように男を魅了し、子を宿す。
「そして、わたしが新生ガトランティスを導く……。」
「いや、新生ゼムリアを導く。」
◆◆◆◆
どうやら、地球での動きが活発化しているようだった。
漏れ聴こえて来る会話。
ヤマトがワープで脱出した直後に滅びの方舟=白色彗星も空間跳躍をしたようだ。
ガトランティス最大規模の艦隊を出撃させて来たらしい。
バルゼー率いる第七機動艦隊。
全長千メートルを超える母艦を有し、おそらく再編成され、カラクルムを前衛に本来ならナスカが加わり、千隻から成る空母艦隊が後衛を固める。
総数一万もの大艦隊。
「大帝に焦りと云うか"恐れ"を感じるわ。」
毅然とした態度を見せてはいるけどね。
地球に対する恐れではなく、ヤマトに対する恐れ。
バルゼー率いる第七機動艦隊は囮に過ぎない。
大帝の目的はヤマトを潰す事。
だから、空間跳躍を急いでまで行った。
地球を手中に納めるだけなら、バルゼーの艦隊だけで事は足りる。
わざわざ空間跳躍をしてまで、地球に接近する必要はない。
バルゼーが勝利したのち、悠々とその姿を表し、更なる恐怖を地球人に与え、跪づかせる。
それが、今までのやり方。
跪つかなければ、殲滅するだけ。
大帝が興味を示すものがあれば、ブラネット・イーターで惑星ごと捕獲する。
古代をはじめとするヤマトのクルーに、恐れを抱いた大帝。
私の名を語る偽りのサーベラー。
私と剣を交える事に成る相手かも知れない・・・
大帝の盾として、私の前に現れ立ち憚る邪魔者。
◆◆◆◆
どうやらヤマトが地球圏に到達する前に、バルゼー率いる第七機動艦隊と地球艦隊が、ぶつかり合っているようだ。
"隊長さん。"から情報が漏れて来たわ。
"時間断層"面白そうなものが、存在するのね。
「十倍の速さで時が流れる空間か。」
地球人を抹殺または、奴隷としたあと、地球は捕獲されるわね。
大帝が興味を持ちそうな代物ですもの。
「じっくり見物させて貰うわ。」
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つづく。
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この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。