

ー白銀の巫女ー桂木透子ー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝
第十六話

ヤマトが沈んでゆく・・・
白色彗星へと沈んでゆく・・・
地球艦隊も壊滅・・・
「うふふ。」
私は笑みを浮かべた。
ヤマトが沈んで、地球艦隊が壊滅したからではない。
まもなく新生児が誕生する。
その喜びから私は笑みを浮かべたのだ。
地球人とガミラス人の血が混ざったハーフの子。
ガトランティスのD.N.Aをも持つ特殊な子。
光をもたらすか・・・
闇をもたらすか・・・
すべては"新星ゼムリア"の核と成る子。



私の頭の中に甦るあの忌まわしき出来事・・・
すべてをやり直すには、大帝(あなた)
を葬るしかない・・・
揺れが激しく成って来たわね。
脱出も困難に成って来たようね。
慌ただしく逃げ惑う光景が、ひしひしと感じるわ。

私を脱出させようと、このヤマト(ふね)の船務長:森雪が私の独房室(へや)へ現れた。
「無駄よ。あの白色彗星の重力波からは、ここまで墜ちては抜け出せない。」

そんな会話をはじめた時だった、ヤマトの慣性制御バランサーが、エネルギー不足により停止、ヤマトが大きく傾く。
同時に私の股を潜らせたい女、山本玲が独房室(へや)へ現れた。
私を脱出させる為ではなく、クラウスを脱出させる為に探しているところ、偶然に森雪を見掛けた。
そんなところだろうと私は思った。


「キーマン中尉!!」

「山本さん!手伝って!!」
そんな時だった独房室(へや)の天井が剥がれ墜ちて来たのだ。
森雪はとっさに山本を突飛ばし、剥がれ墜ちて来た瓦礫から彼女を救った。
私は幸い瓦礫に埋もれる事もなく、命は救われた。
瓦礫に埋もれた森雪も怪我はしたものの命に別状は無かったようだ。
気がかりなのは、あのガミラスのお腹の子。
暫くして、その情報は私の耳に届いた。
どうやら無事のようだった。
いち早く、独房から佐渡艦医の居る医務室に運ばれたらしい。
よっぽどの事が無い限り、ヤマトの艦内では一番安全な区画。
下手に脱出するより安全。
無事と聞いて「ホッ」としたのか私は気を失った・・・

◆◆◆◆


どれくらい気を失っていたのだろう?
懐かしい風を感じている。
髪の毛、一本一本の毛先から足の指先までの細胞が、活性化されてゆくのが解った。
そして、どうやらあのガミラスの女兵士も"しもべ"の加藤はヤマトから脱出し、救助に駆けつけた"銀河"とか云う艦(ふね)に乗艦したらしい。

「死ねなかったのね……。」心の中で呟いた。
ヤマトが墜ちた場所が解ったわ。
私の故郷(ほし)"ゼムリア星"。
惑星ゼムリア・・・

既に死滅した惑星(ほし)・・・
私が大帝と呼ぶ"ズォーダー"と出逢い、愛を育んだ惑星(ほし)・・・
そして、私とガトランティスの元凶の惑星(ほし)・・・


「すべてはゼムリア(ここ)からはじまった……。」
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つづく。
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一部、ネット内に出回っている拾い画像を使用しています。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。