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宇宙戦艦ヤマト2203
ー新たなる航海ー
無限に拡がる大宇宙__。
静寂に満ちた世界。
死にゆく星、生まれてく星、そう宇宙は生きているのだ。
今から9ヶ月前__。
全宇宙の平和を祈る女神テレサの願いを叶えるべく、小さな艦(ふね)が強大な軍事力を誇る"滅びの方舟"を操る帝星ガトランティスを打ち破った__。
その小さな艦(ふね)の名は宇宙戦艦ヤマト。
そう。地球人類の滅亡の危機から地球を地球人類を救った艦(ふね)。
そのヤマトは満身創痍で傷付いた身体を癒すかのように、地球連邦防衛軍第三ドックで静かに眠っていた__。
◆◆◆◆
時を同じくして、地球に地球人類に救いの手を差し伸べてくれた惑星(ほし)イスカンダルに危機が迫っていた__。
双子の惑星(ほし)と呼ばれるガミラス星は、地下に眠る資源を取り尽くした結果、惑星(ほし)の寿命を早めていた。
死火山とされていた海底火山群の急激な活火山化により、海は死滅、地上の都市も壊滅、生き残ったガミラスの民は内殻側に都市を築き細々とした暮らしを強いられていた__。
四年前の面影も、帝国の主星としての管理、運営も儘(ま)ならない程に衰退していた__。
「これが、かつてはサレザーの太陽系はおろか、大小マゼラン銀河を統治して来た主星の姿だとはな……。」呟くようにデスラー政権が崩壊したガミラスを統治してきたガミラス最高幹部の一人ガル・ディッツ提督が口を開く。
つい先日も、小マゼランに存在するオルタリアのガミラスからの独立紛争にも、大敗する有り様であった。
勿論、紛争を勝利出来るだけの軍備は、衰退したらとは言え、保持していた。
だが、その軍は返り咲いたアベルト・デスラーに同行、新天地を探し出す航海に出払っていたのだ。
オルタリアの蜂起をきっかけに、領土内で反旗は翻った__。
ガミラスは"付け"を払わされていた__。
反旗を翻す旧植民地惑星は、その矛先をイスカンダルへにも向けていた。
半年前、同盟国である地球で製造された艦も、今や半数にも満たない。
その半数にも満たない艦艇で、イスカンダルとガミラスの両星を死守するのは、困難と成っていた。
そこで、政権を預かるヒス副総統は、イスカンダルのスターシャに一般臣民の受け入れを打診した。
軍事的援助は一切、出来ない事を条件にスターシャは、これを受け入れ、一般臣民のみを王都マザータウンに住まわせた__。
時に西暦2203年12月__。
第三ドックで眠る宇宙戦艦ヤマトの補助エンジンに火が入った。
「回転数3000。安定に入りました。」新機関長に就任した山崎が告げてくる。
「コクリ」と頷く操縦桿を握る北野に緊張が走る。
「補助エンジン回転数4700。波動エンジン点火まであと90秒。」
「固定ガントリーロック解除。」
「微速前進、0.5。」ゆっくりと操縦桿を手前に引く北野に合わせるかのように、ガントリーロックから解放された宇宙戦艦ヤマトは一度、僅かに艦が沈み、固定されていた深度、喫水線まで浮き上がる。
北野の額に汗が滲む。
ヤマトの操縦桿を握るのは、今回がはじめてではない。
四年前のイスカンダル航海時にも、航海長である島の代わりに握った経験がある。
とは言うものの、重力下での操艦は今回が初である。
「補助エンジン、回転数上昇、8000へ。」
「更に上昇、12.500へ。」
波しぶきが激しさを増す。
洋上で70.000トンクラスの艦を操艦するのは、シミュレーションとは全くと言っていいほど異なる。
シミュレーションはやり直しが可能だが、"本物"では、そうは行かない。
リセットは出来ないのだ。
「補助エンジン、回転数18.200!」
山崎の報告にも力が入る。
「フライホイール、接続点火!」
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操縦桿を目一杯に引き寄せる北野。
その腕が小刻みに震える。
それに合わせるかのようにヤマトも揺れた。
「北野。主翼を展開させるだ。」そっと北野の肩に手を置き、アドバイスを伝える航海長:島。
「ハッ。はい。主翼展開します。」
ヤマトの艦、中央部から競り出るダルレッドカラーに塗られた主翼が展開した。
「緊張し過ぎたよ北野。」
「まぁ。初の離陸にしては上出来だ。」
「あとは俺がやろう。」
航海長:島と席を交代する北野は砲雷長:南部と席を交代、南部は戦術長席へと移った。
「第一戦速から一杯へ。」艦長席から指示を飛ばす古代。
真新しい艦長コートが、彼の成長を物語っていた。
艦長コートと言っても、まだ正式に艦長として就任した訳ではなく、副艦長(副長)サイズの丈が少し短いタイプである。
このテスト航海での結果次第では、あと一年、艦長候補生として訓練に励まなければ成らない。
今回のテスト航海は古代にとっても"見極め"を貰えるかが掛かった大事な航海でもある。
肩章もゴールドのラインが三本に星が一つ中佐の階級章である。
「コスモレーダーに感あり!」
「地球連邦防衛軍第一航空隊:篠原迎撃隊と山本追撃隊です!」メインレーダー士:西条が告げた。
◆◆◆◆
ー惑星イスカンダル・王宮イスク・サン・アリア地下ー
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私は、この異常な事態を打破するため、封印されたクローン生体を造り出し、宮殿の地下に眠る"波動砲"搭載戦闘艦(マシーン)の凍結を解除した。
「この戦闘艦だけは……。」
「この戦闘艦だけは凍結のままにしたかった……。」
第二話へ
つづく。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。
また、プレイステーションゲーム版設定資料より引用。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。