宇宙戦艦ヤマト2203
ー新たなる航海ー
第五話
「ワープ終了。艦内、異常なし。」
「続いて艦外、異常……。」
「なっ!?なんだ!この流星群は!」
「太田。航路計算は間違い無いのか?」
ワープアウトと同時に慌ただしく島が口を開いた。
無理もない。
航路図にはガミラス星が眼前には存在するはずで、流星群などあるはずもないのだから。
バスケットボール程の大きさの隕石が、ヤマトの進路を妨害するかの如く、容赦なく当たって来る。
「ガコン!ガコン!」と其処らじゅうから響いて来る。
「何度も航路計算を見直しましたが、計算に間違いはありません!」
少し、焦り顔の太田が告げた。
「島航海長。彼は間違っていない。」
「あの光点がイスカンダルだ。」
「そして、この流星群は……。」
「流星群はガミラス。」そっと島の横に立ち、バラン星宙域で合流したメルダ・ディッツ大尉が、人差し指を真っ直ぐに伸ばし告げた。
「この流星群がガミラス……だと?」
「ああ。間違いない。」
「信じたくはないが………ガミラスだ。」
そのメルダの言葉をかき消すようにコスモレーダーを見つめる西条が告げて来る。
「前方38.000の距離に大規模な戦闘を確認!」
「メインモニタに投影します!」
息を呑むクルーたち。
「あの黒々と聳える要塞のような戦闘艦に、ガミラスは……ガミラスは破壊されたのか……。」戦術長席に腰を下ろす南部が、メガネの位置を直しながら発した。
島が艦長席に顔を向けた。
「磁力プローブ発射準備!」
「コスモタイガー隊発艦準備!」古代の命令が飛んだ。
「アステロイドリングでヤマトの防御力を高め、コスモタイガー隊はヤマトと同様にこの流星群を利用し、サレザーの太陽を背に攻撃を仕掛けよ!」
「航空隊訓練生:椎名少尉は第一格納庫へ。」
「予備機として搭載した零(ゼロ)を使え。」
「山本隊の隊長が以前、使っていた機体だ。」
「隊長に似て"じゃじゃ馬"なところがあるが、椎名。貴官なら乗りこなせる。」
「訓練学校をトップで卒業した貴官ならな。」
「ピピー!ピピー!」
「古代艦長。お言葉ですが、無線が"オン"です。」第二格納庫で発艦準備を済ませた山本からの無線だった。
その言葉に張り詰めた空気は解け、少しのリラックス感が、第一艦橋内を包んだ。
「椎名。了解しました。」
◆◆◆◆
「フッハッハッハッハッ!!」ゴルバを操る暗黒星団帝国メルダーズ強襲偵察大隊メルダーズ司令は、高笑いした。
「そんな小石程度のビーム攻撃に、この暗黒星団帝国:戦闘要塞艦ゴルバが、やれるとでも思っているのか?」
「ガミラスの青虫どもを焼き払え!!」
「空間重魚雷連射せよ!」
ゴルバの中心部よりやや上部に位置する場所に、回転式の大型魚雷発射管が円を書くように連なる。
ニ基、三基と立て続けに連射される空間重魚雷。
ヤマトやガミラスの艦艇が保有する空間魚雷とは事なり、魚雷一発の大きさが、およそヤマトの全長の1/3もある大きさがあり、ガミラスのデストリア級航宙重巡洋艦クラスなら、下手をすれば一基の魚雷で撃沈出来るほどだ。
アベルト率いるガミラス艦隊は、ゴルバへの攻撃というよりは、この連続で撃ち込まれる空間重魚雷を墜とす事で、精一杯であった。
「ガデル参謀!デスラー機雷を打ち上げよ!」
「艦隊幅を大きく取らせ、イスカンダルぎりぎりまで後退せよ!」
「ザーベルク!」
◆◆◆◆
「ロックス艦長。マザータウンに散らばるガミラス臣民を全てロックオンした。」
「全臣民を排除する間、この艦はワタクシの指揮下に置かれる。」
「その間、艦長、君はデータの収集を。」
「とはいえ、君はワタクシが送るデータを自身の電脳に記録するだけだ。」
25mm3連装ガトリンク機銃×18基とリンクさせた自立型コンピュータ:イローゼは、艦を巧みに操り、機銃掃射を開始した。
射撃レーダーに捉えるガミラス人のみを掃射してゆく・・・
足や腕を射たれ、その場に踞(うずくま)る者、母親、父親の手をしっかりと握り、逃げる親子をイローゼは容赦なく撃ち抜く。
呼吸が止まるまで、脈が鼓動しなくなるまで撃ち抜く。
赤い血の色の絨毯(じゅうたん)が、敷き詰められてゆく__。
「あぁ。なんという事を………。」
「あの自立型コンピュータの制御が、不完全だった……。」
「1.000年も前のまま、甦らせてしまった……。」
「……この罪はわたくしが背負います。」
「守……助けて……。」スターシャは祈る思いで、空間に浮かび上がる映像を見つめていた。
「アアアアアアーーーッ!!」艦長席に腰を下ろすロックスは悲痛な叫びと共に電脳の回路に異変を来していた。
◆◆◆◆
「此方、篠原遊撃隊、流星群を離脱!」
「これより、目標に対し攻撃を開始する!」
「山本追撃隊。了解した。」
「撃ち漏らしはまかせろ!」
「全機!攻撃開始!!」
「ラジャー!!」
イメージ曲宇宙戦艦ヤマト~ヤマトよ永遠に~より。
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つづく。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。
また、プレイステーションゲーム版設定資料より引用。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。