アメージング アマデウス

天才少年ウルフィは成長するにつれ、加速度的に能力を開発させて行きました。死後もなお驚異の進化は続いています。

A Strange Beauty ・・・美妙な調べ

2017-12-07 03:54:16 | クラシック音楽

奇妙な果実(storange fruits)はビリーホリディの代表作ですが、・・・あなたはシモーネ・ダイナースタインというピアニストを知っていますか? 彼女の代表作はA Stange Beauty(美妙な調べ)というタイトルのアルバムで、ピアノ協奏曲を始めとしたオールバッハ曲集です。何とも言い表せないほど美しく、なんと優しさに溢れたピアノなのでしょうか! 彼女のタッチはあくまでも柔らかく、どんなに速く弾いても滑らかさを失いません。
 私はバッハのピアノ曲はグレン・グールド が一番と思い続けていました。が、最近エリーヌ・グリモのバッハに奇妙なほど心が惹かれていました。エリーヌはいわゆるバッハ弾きではありません。ロマン派、特にブラームスとシューマンのオーソリティなのですが、エリーヌのピアノ協奏曲一番はとてもグールドのそれに印象が似ています。研ぎ澄まされたタッチと繊細な感性は、これぞバッハと言う美しさに溢れています。
 シモーネのバッハはエリーヌやグールドに比べると全く正反対の印象を与えます。喩えようも無い安らぎを与えてくれます。彼女の特性を生かした五番が名演ですが、余り向いていないと思われる一番の方が私は好きです。バッハの世界を堪能するなら、グレン・グールドかエリーヌ・グリモーですが、優しさに包まれたいならシモーネ・ダイナースタイン\(◎o◎)/! 評判は芳しく有りませんが、是非一度聞いてみて下さい。心に安らぎを与えてくれると思います。
2017年12月7日    GOROU

パリの誘惑、アリソン・バルサム

2017-08-23 03:22:46 | クラシック音楽

 世界で一番汚い町と言ったら? 何処を想像しますか? 私はP××です。
 世界で一番美しく、魅惑的な町? それはParis ですね。
 アリソン・バルサムという美人トランペッターが、パリへの誘惑(原題Paris)というタイトルをリリースしています。サテイ、アストラピアセラ、そしてパリには欠かせない曲・枯葉を二種演奏しています。いわゆるポップスとは一線を画した名演奏で、聴き手をパリへと誘い、優しくもモノ悲しく、優雅な温かい気分にさせて呉れます。
 ミュートを使った音色はあくまでもソフトで心を優しく包み込んで呉れます。
 私は最近彼女の演奏に出逢ったのですが、一聴してウィントン・マルサリスを思い出しました。彼はマイルス・ディビスの後継者として彗星のように出現した天才トランペッターでしたが,ジャズの世界には10年程しか留まらず、ニューオリンズのビッグバンドに転向してしまいました。ミュートの使い方がそっくりなのです。
 このアルバムの聴き所は、サティ(ジムノペティ第3番、グノシエンヌ第3番)、ピアソラ(カフェ1930、オブリビオン)、そして枯葉です。枯葉は何故かボーカル(男性)バージョンの方が気に入りました。
 また、ピアソラのリベルタンゴがYouTubeで見られます(ロンドン・プラムの映像)ので、是非御覧になって下さい。
 私はすっかりバルサムの虜になって、ビバルディにバッハにと次々と聞き続けています。
 純クラシックでは格調高くテクニックを発揮しています。彼女の場合は驚く程の美女である事は、有る意味では弱点なのかも知れません。

 以下にParisの演奏曲を記します。
 
 1 ジムノペティ第3番
2. カフェ1930
3. オブリビオン
4. リラのワルツ
5. 幼子イエスの口づけ(「幼子イエスにそそぐ20の眼差し」より) トレ・レント、カルム
6. 幼子イエスの口づけ(「幼子イエスにそそぐ20の眼差し」より) モデレ
7. 幼子イエスの口づけ(「幼子イエスにそそぐ20の眼差し」より) モデレ
8. ハバネラ形式の小品
9. ピアノ協奏曲ト長調 第2楽章 アダージョ・アッサイ
10. グノシエンヌ第3番
11  枯葉
12 ヌアージュ(雲)
13 エイプリル。イン。パリ
14 枯葉(ボーカル)

 彼女とそっくりな印象を与えてくれたピアニストがいます。その名はシモーネ・ダイナースタイン。それ程有名ではありませんが、その内に紹介したいと思っています。
       2017年8月23日    GOROU

ため息ベスト 

2017-03-10 15:48:42 | クラシック音楽
ため息~ベスト・オブ・バルトリ
チェチーリア・バルトリ
ユニバーサルクラシック


まさにため息の出るようなCDがリリースされます。四月下旬の発売予定だ
そうです。
 チェチーリア・バルトリ(Cecilia Bartoli, 1966年6月4日 - )は、イタリ
ア人のメゾソプラノ歌手。声質は「リリコ・ドラマティコ・コロラトゥーラ」
個性的な音色を持ち、非常にドラマティックな効果を出せる歌手です。
 バルトリは20代はじめで名声を得ました。最初は軽い喜劇作品(チェネテン
トラなど)で歌っていましたが、わたしは少し明る過ぎると感じていました。
年齢と共に成熟を増し、その美しい声をコントロールして悲しみや激情を
も表現出来る歌手に育ったようです。
 ヘンデルとビバルディが絶妙です。ため息どころか涙さえ誘います。
 ピエ・イエズス(フオーレの死者のためのミサ曲から)は想いを心に秘めた
歌い方で、ミサ曲とは思えぬほど安らぎを与えてくれます。
 声を張り上げずに、激情と悲しみを、高らかに歌いながらため息ほ表す技工
は彼女特有のもので、今のところ匹敵できるメゾはいません。
 ベスト盤にも関わらず必聴の名盤です、言葉の分からないアリアを聴いて、
ため息と涙をあなたに与えてくれます。

商品の説明
 曲目リストと順番が出鱈目でしたので修正したデータを記します。
特に感銘したのは、2、3、4、13(こんなノルマ聴いた事が有りません)

1 ヘンデル:オンブラ・マイ・フ
2 ジャコメッリ:妻よ、わたしが分らぬか…(歌劇《メロペ》から)
3 ヘンデル:棘はそっとしておき、薔薇をお取り(快楽のアリア)(オラト
リオ《時そして覚醒の勝利》から)
4 ヴィヴァルディ:凍りついたようにあらゆる血管を(終結部)(歌劇《フ
ァルナーチェ》から)
5 カルダーラ:私はそうした良き牧人です(オラトリオ《我らの贖い主たる
姿を見せるアベルの死》から)
6 レオナルド・ヴィンチ:鹿をもし森中で傷つけたら
7 モーツァルト:恋とはどんなものかしら(歌劇《フィガロの結婚》から)
8 モーツァルト:あそこで手を取り合おう(お手をどうぞ)(歌劇《ドン・
ジョヴァンニ》から)
9  ベッリーニ:ああ! 花よ、お前がこんなに早く(歌劇《夢遊病の娘》か
ら)
10 フェリックス・メンデルスゾーン:ああ、戻って来て、黄金の時よ
11 ペルシアーニ:いとおしい日々よ(歌劇《イネス・デ・カストロ》か
ら)
12 ロシーニ:少し前にここでした声は(セビリアの理髪師)
13 ベッリーニ:清らかな女神よ(歌劇《ノルマ》から)
14 ピエトロ・マスカーニ:何もかも静かだ
15 バッハ:汝父の右に座したもう者よ
16 モーツァルト:ラウダーテ・ドミヌス
17 ジョアキーノ・ロッシーニ:キリストの死に思いを巡らし給え
18 シャルル・グノー:アヴェ・マリア(バッハからの編曲)
19 モーリス・デユフレ:ピエ・イエズス
20 セザール・フランク:天使のパン
21 ガブリエレ・フォーレ:ピエ・イエズス

メディア掲載レビューほか

自らが持つ“声”という楽器を自在にあやつり、人類史上最高のメッゾ・ソプラノとして人々を魅了し続けるチェチーリア・バルトリ。『ため息』と題されたこのベスト・アルバムには、超絶技巧を多用するバロック・アリアから、ベル・カント・アリア、宗教曲など、彼女がこれまで録音してきたアルバムから、特に印象的なレパートリーばかりが集められている。 (C)RS
(アマゾンHPより)

光子さん、グラミー賞お目出度う

2017-02-23 21:37:45 | クラシック音楽
 内田光子さんが59回グラミー章クラシック部門で受賞しました。
 今日はそれを記念してお話をしたいと思います。

 内田光子さんは、ジェフリー・テイトとイギリス室内管弦楽団とモーツァル
トのピアノ協奏曲全集を出していて、最高の評価を得られています。
 わたしも大多数を聴きましたが、残念ながら全てでは有りません。
 この全集では曲により評価が分かれています。良いか悪いかでは無く、こう
いう演奏、解釈有りや否かについてです。
 光子さんは引き振りで何曲か再録音しており、絶賛されておりますが、わた
しはまだ聴いていないので、・・・
 今日のテーマは、モーツァルトでは無くベートーベンです。

 2013年、内田光子はBBCプロムに出演しました。指揮マリス・ヤンソンのバ
イエルン放送管弦楽団で、曲がベートーベンピアノ協奏曲四番でした。
 この曲は、協奏の部分が少なく、ピアノとオーケストラがテーマを受け渡
していくスタイルをとっているため、ピアノと指揮者とオーケストラの関係が
微妙に演奏に影響を与えてしまいます。
 間違えるとバラバラに成ったり、バトルに陥ったりしてしまいます。そう成
らぬ為に、従来は感情をコントールした端正な演奏が多い曲です。ポリーニ・
アバド・ルーツェルンのライブがその代表です。
 
 内田光子とヤンソンスは既成概念に挑戦します。
 ピアノに座った光子の様子が尋常では有りませんでした。自ら心を奮い立た
せ、昂揚した顔が苦痛に歪んでさえいます。今にも涙が零れてしまいそうで
す。
 気持ちを静めてヤンソンスに合図を送り、鍵盤の上に両手を置く光子、指に
全身の力が込められていますが、・・・穏やかなピアニッシモで語り始めまし
た。
 ヤンソンスとバイエルンが絶妙のタイミングでピアノのテーマを受け、大ら
かな表情で、ピアノと観衆む包み込んでいきます。
 ピアノは時には端正に、優しく、そして美しく、煌めく輝きを醸し出してい
ます。
 第一楽章が終わると、光子さんは涙を拭い、気持ちを静めてからピアノに向
かい、指揮とオーケストラとピアノはお互いの音に耳を傾け、美しいハーモニ
ーを紡いで行きます。
 いよいよ第三楽章です。
 光子は昂揚を必死に押さえてピアノに向かいます。かなり速いテンポの楽章
なので、感傷に浸っている場合では有りません。
 それでも、彼女の弾くピアノは、指の先まで繊細に神経を研ぎ澄まして美し
い音を出していました。決してバリバリと演奏技術に溺れるような音は一つと
して出しません。
 
 演奏が終わった後、観衆からの拍手に、やっと恥ずかしそうに微笑んだ内田
光子がヤンソンスと抱擁を交わします。
 弦楽奏者は皆、弓を上下に振っています。彼等にとって、それはブラボーと
叫んでいるのと同じ事なんです。

 この夜のアルバートホールの観衆が羨ましいですね。滅多に聴けない、魂の
限り、命を尽くした、名演奏に出会えたのですから。

 因みに、内田光子が59回グラミー賞に輝いたのは次の演奏です。

シューマン:≪リーダークライス≫≪女の愛と生涯≫/ベルク:初期の7つの歌
内田光子,レシュマン(ドロテア)
ユニバーサル ミュージック


   2017年2月23日   Gorou

超高速バッハ

2017-01-28 18:35:22 | クラシック音楽
 アンネ・ゾフィー・ムタ-というバイオリニストがいます。カラヤンに見い
だされ、天才バイオリニストの名を欲しいままにした人です。
 彼女がいかに名人かと思われるエピソードの一つ、あのストラディバリウス
を二台も所有していると云われています。
 しかし、私はあまりムターを聴きません。
 私はハイフェッツで代表されるテクニック型のバイオリニストより、オイス
トラッフ、シェリング、グリュミュオー等の温かく、深みのある演奏を好むか
らです。
 比較的最近の人では五嶋みどりが好きですね、弟の方はあまり買いません。
それから、忘れては成らないのは樫本大進ですね、ベルリンフィルの首席コン
サートマスターをやっていますが、クラシックの演奏でジプシーの哀愁と情熱
を表現出来るバイオリニストで、必ずや大輪の花を咲かせます。是非、心にと
めておいて下さい。もし、ベルリンフィルを観たら、一番左に座っている人で
す。

 前置きが長くなってしまいましたが、そのムターが若い女性奏者を従えてク
ラブコンサート開きました。
 冒頭の曲は、ビバルディの夏でしたが、当に嵐のような演奏で、クラブに集
う若者達に受けていました。
 嵐のような演奏を軽々と弾きこなすなんて、さすがは天才少女だったムター
だな、と感心して観ていました。
 それにしても共演している弦楽奏者が皆若いんです、一番年下が十四歳です
から、若いと言うより幼いと言った方が相応しく、あどけなさがまだ抜けきっ
ておりませんでした。
 わたしが本当に驚いたのは、その十四歳の少女と弾いた、バッハの二つのバ
イオリンの為の協奏曲が始まった時です。こんなバッハ聴いた事が有りません
でした。めちゃくちゃ早いんです、超高速でバッハを弾きまくってしまいし
た。ある意味で脱帽です。爽快感すら感じてしまいました。これも有りかなとも
思いました。
 この曲をこんな具合に解釈するなら、もしかしたらロックにアレンジ出来る
んじゃないかとも思いました。
 どなたか挑戦してみませんか。あなたがシンガーソングライターだったら、
バッハとモーツァルトはメロデイの玉手箱なんです。きっと良い曲が書けま
す。
   2017年1月28日    Gorou