四十万人が主役・・・? ノーランのダンケルク。
ノーランのダンケルクは奇妙で驚くべき映画だ。
戦争映画ではあるが、戦闘行為そのものを描いてはいないし、我々の概念、ナチが冷酷無比で、悪そのもの、或いはヒトラーの野望の為にユダヤ人を迫害し、世界を欲望のままに支配しようとしていた歴史的史実をまるで無視している。
英仏軍をダンケルクに追い込み、包囲網を布き、降伏を勧告し、殲滅を計るドイツ軍。
そして、ダンケルクから出来るだけ多くの招聘を脱出させようとするイギリス軍と将兵達描いているが、ナチという言葉は一切使われていない。単に敵、あるいはドイツ軍として語られている。
当初チャーチル(英国首相)は、せいぜい三万人と見ていたが、ダンケルクには四十万を超える英仏軍将兵がが、まるでサバイバルに挑むようにして脱出行に足掻いていた。
英国は、空から数機のスピッツファイアー、海からは民間徴用の船団と僅かな駆逐艦をダンケルク埠頭と海岸線に群がる将兵の救援に派遣した。
勧善懲悪とか、ヒーローが大活躍する戦争映画でも有りません。
第二次世界大戦初期の1940年5月26日から6月4日。イギリス、ベルギー、カナダ、フランスから成る連合軍将兵は、フランスのダンケルク海岸でドイツ軍に包囲され、ダイナモ作戦による撤退を余儀なくされていた。
ストーリーをウィキペディアを借りて語れば。
英国陸軍の兵士であるトミー二等兵はダンケルクの街で、自身の分隊がドイツ軍の銃撃で自分以外全滅し、武器も失った状態で一人、撤退作戦中のダンケルクの砂浜にやってくる。友軍の兵士を砂浜に埋葬していたギブソンという無口な兵士と偶然出会い、行動を共にすることになる。
一方、ダイナモ作戦による民間船徴用で、自身の小型船の徴用命令を国より受けたドーソンは、息子のピーターと、ピーターの知り合いであるジョージと共に、英国兵士たちを母国に運ぶため、ダンケルクに向けて出港する。
そして、英国空軍のパイロットであるファリアとコリンズらの小隊は、スーパーマリーン スピットファイア戦闘機を駆り、ダンケルクでの撤退行動を阻害するドイツ空軍への阻止攻撃に赴く。
トミー達は、ドイツ軍の攻撃にさらされ、幾度となく乗っている船を撃沈されながらも、母国に帰るべくわずかな数の救助船に乗ろうと奮闘する。
物語はトミーらが敵から逃げ救援を待つ『陸』の一週間、ドーソンらが民間船として救援に向かう『海』の一日、そして陸の兵士に襲い来るドイツ軍の戦闘機を迎撃するファリアら『空』の一時間の三幕をそれぞれ時間を並行させながら進行していく。『陸』の一週間の最後の一日からは『海』と、そしてその2つの最後の一時間は『空』とクロスしていく。
全編を貫くのは生き延び、母国に帰還するという執念と、いかに多くの将兵を救出するかに掛かっている。
絶賛する人もいるが、あまりノーラン作品としては好評とは言えない。多分、彼らは戸惑っているのだ、ヒトラードイツとの戦いで勝利を目指していない映画などかつて無かったからだ。
語られる台詞もあまりにも寡黙なので、少し分かりづらいのかも知れない。
ハンス・ジマーの音楽も効果的だ、音楽というよりは効果音と言った方が良いかも知れません。
フィルムを使用し、CGを極力避けた映像は実に美しく、見事なまでに叙情詩を歌い上げている。
最終的に脱出に成功してのは当初の三万人を遙かに超える四十万人になっていました。彼らは故郷の列車の中で憔悴しきった体で心を悩ませていました。守るべき戦場から逃げて来たからでする。
しかし、意外にも英国国民の熱狂的な歓迎を受けて戸惑いながら渡されたビールを喉に流し込んでやや微笑みます。
この映画の主役はヒーローではなく、戦場から逃げ帰った四十万人と、それを支援した人々が主役の風変わりな映画なのです。
たかがアメコミとは言い切れないバットマンシリーズと、西部の荒野と未知の惑星とNASAの秘密基地しか出てこないインターステラーでノーラン映画のフアンになった方に強くお勧めします。
GOROU
2018年4月17日
ノーランのダンケルクは奇妙で驚くべき映画だ。
戦争映画ではあるが、戦闘行為そのものを描いてはいないし、我々の概念、ナチが冷酷無比で、悪そのもの、或いはヒトラーの野望の為にユダヤ人を迫害し、世界を欲望のままに支配しようとしていた歴史的史実をまるで無視している。
英仏軍をダンケルクに追い込み、包囲網を布き、降伏を勧告し、殲滅を計るドイツ軍。
そして、ダンケルクから出来るだけ多くの招聘を脱出させようとするイギリス軍と将兵達描いているが、ナチという言葉は一切使われていない。単に敵、あるいはドイツ軍として語られている。
当初チャーチル(英国首相)は、せいぜい三万人と見ていたが、ダンケルクには四十万を超える英仏軍将兵がが、まるでサバイバルに挑むようにして脱出行に足掻いていた。
英国は、空から数機のスピッツファイアー、海からは民間徴用の船団と僅かな駆逐艦をダンケルク埠頭と海岸線に群がる将兵の救援に派遣した。
勧善懲悪とか、ヒーローが大活躍する戦争映画でも有りません。
第二次世界大戦初期の1940年5月26日から6月4日。イギリス、ベルギー、カナダ、フランスから成る連合軍将兵は、フランスのダンケルク海岸でドイツ軍に包囲され、ダイナモ作戦による撤退を余儀なくされていた。
ストーリーをウィキペディアを借りて語れば。
英国陸軍の兵士であるトミー二等兵はダンケルクの街で、自身の分隊がドイツ軍の銃撃で自分以外全滅し、武器も失った状態で一人、撤退作戦中のダンケルクの砂浜にやってくる。友軍の兵士を砂浜に埋葬していたギブソンという無口な兵士と偶然出会い、行動を共にすることになる。
一方、ダイナモ作戦による民間船徴用で、自身の小型船の徴用命令を国より受けたドーソンは、息子のピーターと、ピーターの知り合いであるジョージと共に、英国兵士たちを母国に運ぶため、ダンケルクに向けて出港する。
そして、英国空軍のパイロットであるファリアとコリンズらの小隊は、スーパーマリーン スピットファイア戦闘機を駆り、ダンケルクでの撤退行動を阻害するドイツ空軍への阻止攻撃に赴く。
トミー達は、ドイツ軍の攻撃にさらされ、幾度となく乗っている船を撃沈されながらも、母国に帰るべくわずかな数の救助船に乗ろうと奮闘する。
物語はトミーらが敵から逃げ救援を待つ『陸』の一週間、ドーソンらが民間船として救援に向かう『海』の一日、そして陸の兵士に襲い来るドイツ軍の戦闘機を迎撃するファリアら『空』の一時間の三幕をそれぞれ時間を並行させながら進行していく。『陸』の一週間の最後の一日からは『海』と、そしてその2つの最後の一時間は『空』とクロスしていく。
全編を貫くのは生き延び、母国に帰還するという執念と、いかに多くの将兵を救出するかに掛かっている。
絶賛する人もいるが、あまりノーラン作品としては好評とは言えない。多分、彼らは戸惑っているのだ、ヒトラードイツとの戦いで勝利を目指していない映画などかつて無かったからだ。
語られる台詞もあまりにも寡黙なので、少し分かりづらいのかも知れない。
ハンス・ジマーの音楽も効果的だ、音楽というよりは効果音と言った方が良いかも知れません。
フィルムを使用し、CGを極力避けた映像は実に美しく、見事なまでに叙情詩を歌い上げている。
最終的に脱出に成功してのは当初の三万人を遙かに超える四十万人になっていました。彼らは故郷の列車の中で憔悴しきった体で心を悩ませていました。守るべき戦場から逃げて来たからでする。
しかし、意外にも英国国民の熱狂的な歓迎を受けて戸惑いながら渡されたビールを喉に流し込んでやや微笑みます。
この映画の主役はヒーローではなく、戦場から逃げ帰った四十万人と、それを支援した人々が主役の風変わりな映画なのです。
たかがアメコミとは言い切れないバットマンシリーズと、西部の荒野と未知の惑星とNASAの秘密基地しか出てこないインターステラーでノーラン映画のフアンになった方に強くお勧めします。
GOROU
2018年4月17日