春とは、房総半島へ行く季節のことである。
小さい春見つけた
昨年3月は銚子を訪れたが、今年は上総一ノ宮から九十九里、一松を巡った。住む街から電車で2時間半(のはずだったが、寝坊して特急わかしおに乗ったのでもう少し早い)、上総一ノ宮駅へ着いた。
旅情 床がジャクソンポロック
車窓から見えた給水塔のような建物。浦安あたりの工業地帯には気になる建物が多くて飽きない。大網駅のホームでは、窓に小さな網がついている(停車時間に急いで撮った)。
12時過ぎに上総一ノ宮駅到着。西口に降りるとお土産屋兼定食屋がお出迎えだ。店内ではすでに酒を飲んでいる人たちがいて気になったが、この後はやることが盛りだくさんなので通り過ぎる。
サーモンピンクとペパーミントグリーンの美容室、この平成初期感たまらない
ガラスブロックのある理容室2連続。上の理容室は入り口と反対側の壁もガラスブロックになっていて、光が店内を通過する様子がとてもよかったのだが、自分がしっかり映るのと仕事の邪魔になってしまいそうだったので写真に納めることはできなかった。それぞれ用いられているパターンも異なったもので、理・美容室はガラスブロック建築の宝庫であることがわかる。
現代アート
ギョサン、欲しかったけど素敵な店構えの靴屋はやっていなかった。
旅の安全を祈願して、平安時代の「延喜式」にも記載のある由緒正しい神社、玉前神社にお参り。手水の使い方をかわいいイラストの女の子が教えてくれる。境内裏手には一休みできる野良イスが置いてあった。
いい蔵 ヤシの木も冬眠から目覚めた
昼は何を食べようかとGoogle mapで事前に探していたのだが、焼きそば屋というピンポイントな店を見つけて絶対行こうと思った。それにしても、上の写真が外観なんだけど前情報なしじゃ絶対ここが店だとわからない。
プレーンな焼きそばを卓上のウスターソースと胡椒で味付けするスタイルだった
食事を終えて街を歩く。地図アプリであらかじめ歩くルートの見当をつけたのだが、思い通りの道にならないのも楽しい。
もみじのような模様の型板ガラス
ピンポイントな精肉店
今回の旅では春の房総で海を見るのが目的だった。駅から海までは距離があるので、レンタサイクルで向かう。それも普通の自転車ではなく、ずっと乗ってみたいと思っていたビーチクルーザーを借りた。ビーチクルーザーはサーファーがサーフボード片手に砂浜を移動するための自転車で、浜辺を走りやすいようにタイヤが太くなっている。とは言っても、実際砂浜を走ってみると砂にタイヤが取られて全然走れなかったのだが。
今日の旅の友
結論から言えば、ビーチクルーザーの旅はかなりおすすめ。海まではこんな感じの一本道をひたすら走る。6段変速のビーチクルーザーだったので、2速でゆっくり漕ぎ続ける。
温暖な気候ならではの植生
ほとんどバスが来ない「地獄表」C.みうらじゅん
寄り道しながら九十九里浜に辿り着いた。
九十九里はとても穏やかな浜だった。この日は友人が結婚式を挙げていて、海岸からビデオ通話を繋ぎ出演したのはサプライズで面白かった。
第二の浜、一宮海岸にはお出迎えのゲートがあった。
一宮海岸の北に位置するのは一松海岸である。そもそも今回の旅の場所を決めたのは、京極夏彦『狂骨の夢』で一松海岸が重要な役割を果たす土地として登場するためであった。一本の松に、荒々しい海。何とも寂寥感がある。
これは何をしているところだ?と思ったら防砂林を植えているところだとチーバくんが教えてくれた。
手押しポンプ
奥にガラスブロック発見。
そうこうしているうちに夕暮れが近づいてきたので自転車を返しに戻る。
何でもない道が、旅先で一番楽しかったりする。
元いた場所に戻って来られた。さらば、春の房総。また会う日まで。