氷点下の中、沼にはまって身動きが取れなくなった飼い主のそばを7時間離れなかった犬。両者とも無事救出(イギリス)
写真は、ヘリコプターの赤外線サーマルカメラがとらえた、沼で倒れている男性と犬の姿である。犬は動ける状態なのだが飼い主のそばから離れず、発見されたときは7時間が経過していた。
英国サフォーク州に住むマーティン・ケイ(67)は、2016年1月18日(月)、いつものように飼い犬であるラブラドール・レトリバーのメス、ホーリー・ブルーを連れて散歩に出かけた。とても天気の良い日で、いつもとは違うルートを通ってみようと、ソーナム・パルブ村近くの野を横切ろうとしたその時、沼にはまって身動きが取れなくなってしまった
https://youtu.be/6M7U5TBgtf8
「そのルートはもう2年も歩いていなかったんだ。湿地を行くとき足元がちゃんとしているかどうか試したのだが、真ん中あたりまできた時、急に地面が沈み始めた」。ケイさんは当時を振り返りそう語った。助けを呼んだが声は届かず、もう誰も見つけてくれないだろうと絶望的になって、その後意識を失ってしまったという。あまりにも寒かったのだ。
ケイさんが自宅に戻ってきていないことを知った友人が、夜19時30分頃、警察に通報した。彼が散歩に出かけてから既に5時間が経過していた。サフォーク警察はヘリコプターが出動させ、地上と上空から、あたり一帯を徹底的に捜索した。
捜査開始から1時間半、遭難してから約7時間後、ヘリコプターの赤外線サーマルカメラが横たわっているケイさんと、そのそばでうずくまっている愛犬のホーリー・ブルーの姿をとらえた。このとき気温は-3度。ケイさんもブルーももう、限界ギリギリであった。
https://youtu.be/6M7U5TBgtf8
捜査を行った警察官によると、発見現場は真っ暗で、とても辺鄙な場所にありヘリのライトや懐中電灯に頼らざるをえなかったという。
ブルーは警察官の気配に気が付くとすぐに起き上がり、「ここだよ!助けてあげて!」と、警察官を誘導するかのように、沼の中を必死に動きながら、横たわるケイさんに近づき頭を押し付けた。
https://youtu.be/6M7U5TBgtf8
ケイさんはすっかり泥に埋もれていたという。体だけでなく、頭も埋まっていた。ヘリがなかったら彼らを発見するのは難しかっただろう。救出作業も難航した。ケイさんを引っ張り出そうとすると、今度は警察官らが沈んでいってしまうのだ。
元気を回復した後、ホーリー・ブルーとともに空軍基地を訪れ警官らに感謝の意を表わしたケイさん。
https://youtu.be/6M7U5TBgtf8
「彼らに会えて本当によかった。命を救ってもらって心から感謝している。救出の様子はあまり記憶にないが、だんだんあたりが暗くなっていったのだけ覚えている。次に気がついたときは病院だったんだ」
ケイさんが助かったのは警察官らの尽力のたまものであるが、それにもうひとつ、ブルーの存在も欠かすことはできない。氷点下の中7時間もの長い間、ケイさんのそばを離れず、励まし続けていたのだから。
https://youtu.be/6M7U5TBgtf8
ブルーがいなければケイさんは生きる気力を失ってしまい、そのまま意識を回復せず凍死していたかもしれない。ブルーがケイさんの意識を呼び覚まし、時に体を温めることで、ケイさんは長い間生き延びられたのだ。