11年7月9日 土曜日 07/09・各社社説
今日は検察改革関連の社説が2社有っただけで後は各社バラバラの論評だった。
思うに私たち庶民は検察とか警察などは敬遠し勝ちだが、「内部の不正を専門に調べる監察指導部や、検察運営に対し恒常的に助言や指摘を行う有識者の外部委員会を新設した」
事は歓迎したい。
朝日新聞(社説)
その1
震災と国会―議員立法で働こう(全文はここからお入り下さい)
政権の機能不全は目に余る。では国会は何をしているのか。
そう思って見てみると、自民党が公明党など他の野党と共同で、東日本大震災対策の議員立法を矢継ぎ早に打ち出しているのが目立つ。
東京電力の原発事故の賠償金を国が仮払いする法案、がれき処理の費用を全額国で負担する特別措置法案に続いて、きのうは、中小企業などの債務を買い取る組織を新設する二重ローン対策法案を国会に提出した。
原発事故の調査委員会を国会に設ける法案なども検討しているという。
政府・与党が同じような法案や対策を準備しているものもあるが、野党の立場から、より踏み込んだ内容も少なくない。
もちろん、自民党には政治的な思惑があろう。とにかく、菅政権の震災対応の遅れを印象づけたい。野党が足を引っ張ってばかりで国政を停滞させているわけではない、と世論にアピールしたい。そのためには、どんどん法案を出すに限る。
その2
平昌五輪―アジアの平和に貢献を
日本の韓流ブームの火付け役となったドラマ「冬のソナタ」の舞台としてもなじみの韓国・平昌(ピョンチャン)で、2018年冬季五輪が開かれることが決まった。
3回連続して誘致に名乗りを上げ、まさに「三度目の正直」である。韓国全体が大いに沸いているのも、よくわかる。
冬季五輪の開催地は欧米が多い。アジアでの開催は1998年の長野以来となる。韓国だけにとどまらず、アジア全体の祭典として成功してほしい。
読売新聞(社説)
検察改革 信頼される強い組織の再建を(全文はここからお入り下さい)
新たな組織を有効に機能させて、不正の根絶と捜査の適正化を図らなければならない。
大阪地検特捜部の元主任検事による証拠改ざん事件などを受けて、最高検が、再発防止に向けた組織改革の内容を公表した。
内部の不正を専門に調べる監察指導部や、検察運営に対し恒常的に助言や指摘を行う有識者の外部委員会を新設した。
この事件では、改ざんの事実を知った同僚検事が上司に報告したにもかかわらず、当時の特捜部長らが隠蔽を図ったとされる。
不正行為の報告を受け付ける監察組織を作ることで、こうした事態の再発を防ごうという狙いは理解できる。
やらせメール 原発の再開に水差す失態だ(全文はここからお入り下さい)
小手先の策を弄して、原子力発電所の運転再開に“追い風”を吹かせようと考えたのなら、思い違いも甚だしい。
九州電力が、玄海原発の運転再開へ向けて世論を誘導するため、「やらせメール」工作をしていた問題である。
6月末、佐賀県民への説明会がテレビ放映された際、再開に賛成するメールを投稿するよう、子会社の社員らに要請していた。
「一国民の立場」で発電再開に共感を得られる意見をまとめ、自宅のパソコンからメール送信するよう指示した。
毎日新聞(社説)
検察改革の行方 特権意識を捨て出直せ(全文はここからお入り下さい)
最高検が、検察改革の現状と今後の取り組みをまとめた。
外部の有識者も招いて、「金融証券」「知的障がい」など六つの専門委員会を新たに設置することなどが目新しい内容だ。検察官が「公益の代表者」として、専門的な知見を蓄積する体制作りは当然、必要だろう。しっかり取り組んでもらいたい。
だが、大阪地検特捜部の証拠改ざん・隠蔽(いんぺい)事件を受けて検察が最も批判されたのは、ストーリー優先の捜査や供述調書偏重の取り調べ手法だった。まず、その点への真摯(しんし)な反省と、再発防止が求められる。
先日、小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る元秘書ら3人の政治資金規正法違反事件の公判で、東京地裁が供述調書の相当部分について証拠採用を却下する決定をした。
欧州再利上げ 学ぶべきことはないか(全文はここからお入り下さい)
こんな時に利上げとは大した勇気だ。ギリシャの債務危機など大難題を抱えた欧州中央銀行(ECB)が“予告”通り政策金利を引き上げた。今年2度目である。
日米英などの中央銀行が金利を史上最低水準に据え置いている傍らでECBが追加利上げに踏み切ったのは、ことさらインフレを警戒しているからだ。物価の安定、強い通貨の維持を最優先させた決断である。
産経新聞(社説)
閣内不一致 経産相は再稼働に筋通せ(全文はここからお入り下さい)
首相方針に対し、担当閣僚が「辞任」に言及してまで批判の意思を示すとしたら、これ以上の閣内不一致があろうか。
しかも、国家のエネルギー基本政策である。「脱原発」解散をちらつかせ、停止中の原発の再稼働方針を安易に変えようとしている菅直人首相は、問題の本質を理解しているようには見えない。
資源のない日本は国策として原子力に頼り、潤沢な電力ゆえに快適な生活と産業競争力を維持してきたことを忘れてはなるまい。
菅首相は全国の原子力発電所に対し、安全性の余裕度を測るストレステスト(耐性検査)の実施を打ち出した。
がれき特例法案 与野党で修正して成立を(全文はここからお入り下さい)
東日本大震災から4カ月を迎えようという今ごろになってようやく、被災自治体に代わり国が直接、がれきを処理できるとする特例法案が閣議決定され、国会に提出された。遅きに失したばかりか、中身も被災地への配慮が十分とは言い難い問題法案である。
まず、被災地で対応しきれないから特例法が必要なのに国は現地の要請を待って処理を代行するとしている点である。国直轄でやると明記すべきだろう。
次に費用面の問題だ。市町村に一定の負担を求めているが、すでに3月末に、国が100%負担する方針を決め、現行の廃棄物処理法に基づく地元負担を交付金で補填(ほてん)するとしていたではないか。
日経新聞(社説)
賠償支援法案は責任の分担も議論を(全文はここからお入り下さい)
福島第1原子力発電所事故に関して東京電力の賠償を支援するための「原発賠償支援法案」が、8日から衆院本会議で審議に入った。大震災と原発事故の発生から4カ月近くがたつ。与野党は審議を急ぎ、正式な賠償が早く始まるようにすべきだ。
支援法案には将来の事故に備える目的もある。原発災害が起きた場合の国と電力会社の責任分担なども議論し、必要ならば法案の一部を手直しするといった柔軟さも要る。
支援法案は、国などの出資で設立する支援機構に、すべての主要電力会社が負担金を出すよう求めている。国はいつでも換金できる交付国債を機構に出す。それらを原資として、機構は東電の資金繰りを助け、資本も注入する。東電は支援の引きかえに特別負担金を納める。こうした仕組みには、問題点もある。
まず今回の事故について、事故と無関係な他の電力会社の負担金が賠償の支援に回りかねない問題だ
南スーダンで日本の貢献示せ(全文はここからお入り下さい)
スーダンの南部がきょう独立し、アフリカで54番目の国となる「南スーダン共和国」が誕生する。半世紀に及ぶ内戦をへて、住民の悲願だった新たな国造りが始まる。国際社会は積極的に支えていきたい。
スーダンでは長年、アラブ系のイスラム教徒が多い北部と、アフリカ系のキリスト教徒が主体の南部の武力衝突が続き、2005年の包括和平合意で内戦がようやく終結した。今年1月に実施した住民投票で、南部の住民の99%が分離独立に賛成して新国家の誕生にこぎつけた。
だが、克服すべき課題は多い。住民の多くは貧困層だ。国造りをになう人材が足りない。道路や電力などのインフラ整備も遅れている。
東京新聞(社説)
若者の雇用格差 企業は正社員化を急げ(全文はここからお入り下さい)
企業の採用抑制で一九七〇年代後半生まれの世代は他世代よりも非正規雇用比率が高い-今年の労働経済白書は若者の雇用格差を取り上げた。放置すれば社会が揺らぐ。まず正社員化で是正を急げ。
夏空の下、汗まみれのスーツ姿が目立つ。来春の卒業予定者だけでなく既卒者や再来年の就職をめざす学生たちだ。正規と非正規とでは雇用期間や賃金格差が大きいことを知っているから真剣そのものだ。
今年の白書はバブル崩壊後の日本経済と世代ごとの働き方を分析した点が特徴である。七〇年代後半生まれの、いわゆるポスト団塊ジュニア世代は社会に出て十年ほどたっても非正規比率は10%台半ば近くの水準が続いている。
トヨタの増産 日本の復活見せる力に(全文はここからお入り下さい)
トヨタ自動車が、二〇一一年度の生産計画で前年度実績からの上積みを打ち出した。東日本大震災の影響で生産が大幅に落ち込んでいたトップ企業の巻き返しは、日本経済復活の試金石ともなる。
夏の電力供給に不安がある中、トヨタをはじめ自動車各社は木・金曜日に休んで土・日曜日に働く「土日操業」を始めた。節電に協力しながら、生産の遅れを取り戻す考えだ。
今日は検察改革関連の社説が2社有っただけで後は各社バラバラの論評だった。
思うに私たち庶民は検察とか警察などは敬遠し勝ちだが、「内部の不正を専門に調べる監察指導部や、検察運営に対し恒常的に助言や指摘を行う有識者の外部委員会を新設した」
事は歓迎したい。
朝日新聞(社説)
その1
震災と国会―議員立法で働こう(全文はここからお入り下さい)
政権の機能不全は目に余る。では国会は何をしているのか。
そう思って見てみると、自民党が公明党など他の野党と共同で、東日本大震災対策の議員立法を矢継ぎ早に打ち出しているのが目立つ。
東京電力の原発事故の賠償金を国が仮払いする法案、がれき処理の費用を全額国で負担する特別措置法案に続いて、きのうは、中小企業などの債務を買い取る組織を新設する二重ローン対策法案を国会に提出した。
原発事故の調査委員会を国会に設ける法案なども検討しているという。
政府・与党が同じような法案や対策を準備しているものもあるが、野党の立場から、より踏み込んだ内容も少なくない。
もちろん、自民党には政治的な思惑があろう。とにかく、菅政権の震災対応の遅れを印象づけたい。野党が足を引っ張ってばかりで国政を停滞させているわけではない、と世論にアピールしたい。そのためには、どんどん法案を出すに限る。
その2
平昌五輪―アジアの平和に貢献を
日本の韓流ブームの火付け役となったドラマ「冬のソナタ」の舞台としてもなじみの韓国・平昌(ピョンチャン)で、2018年冬季五輪が開かれることが決まった。
3回連続して誘致に名乗りを上げ、まさに「三度目の正直」である。韓国全体が大いに沸いているのも、よくわかる。
冬季五輪の開催地は欧米が多い。アジアでの開催は1998年の長野以来となる。韓国だけにとどまらず、アジア全体の祭典として成功してほしい。
読売新聞(社説)
検察改革 信頼される強い組織の再建を(全文はここからお入り下さい)
新たな組織を有効に機能させて、不正の根絶と捜査の適正化を図らなければならない。
大阪地検特捜部の元主任検事による証拠改ざん事件などを受けて、最高検が、再発防止に向けた組織改革の内容を公表した。
内部の不正を専門に調べる監察指導部や、検察運営に対し恒常的に助言や指摘を行う有識者の外部委員会を新設した。
この事件では、改ざんの事実を知った同僚検事が上司に報告したにもかかわらず、当時の特捜部長らが隠蔽を図ったとされる。
不正行為の報告を受け付ける監察組織を作ることで、こうした事態の再発を防ごうという狙いは理解できる。
やらせメール 原発の再開に水差す失態だ(全文はここからお入り下さい)
小手先の策を弄して、原子力発電所の運転再開に“追い風”を吹かせようと考えたのなら、思い違いも甚だしい。
九州電力が、玄海原発の運転再開へ向けて世論を誘導するため、「やらせメール」工作をしていた問題である。
6月末、佐賀県民への説明会がテレビ放映された際、再開に賛成するメールを投稿するよう、子会社の社員らに要請していた。
「一国民の立場」で発電再開に共感を得られる意見をまとめ、自宅のパソコンからメール送信するよう指示した。
毎日新聞(社説)
検察改革の行方 特権意識を捨て出直せ(全文はここからお入り下さい)
最高検が、検察改革の現状と今後の取り組みをまとめた。
外部の有識者も招いて、「金融証券」「知的障がい」など六つの専門委員会を新たに設置することなどが目新しい内容だ。検察官が「公益の代表者」として、専門的な知見を蓄積する体制作りは当然、必要だろう。しっかり取り組んでもらいたい。
だが、大阪地検特捜部の証拠改ざん・隠蔽(いんぺい)事件を受けて検察が最も批判されたのは、ストーリー優先の捜査や供述調書偏重の取り調べ手法だった。まず、その点への真摯(しんし)な反省と、再発防止が求められる。
先日、小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る元秘書ら3人の政治資金規正法違反事件の公判で、東京地裁が供述調書の相当部分について証拠採用を却下する決定をした。
欧州再利上げ 学ぶべきことはないか(全文はここからお入り下さい)
こんな時に利上げとは大した勇気だ。ギリシャの債務危機など大難題を抱えた欧州中央銀行(ECB)が“予告”通り政策金利を引き上げた。今年2度目である。
日米英などの中央銀行が金利を史上最低水準に据え置いている傍らでECBが追加利上げに踏み切ったのは、ことさらインフレを警戒しているからだ。物価の安定、強い通貨の維持を最優先させた決断である。
産経新聞(社説)
閣内不一致 経産相は再稼働に筋通せ(全文はここからお入り下さい)
首相方針に対し、担当閣僚が「辞任」に言及してまで批判の意思を示すとしたら、これ以上の閣内不一致があろうか。
しかも、国家のエネルギー基本政策である。「脱原発」解散をちらつかせ、停止中の原発の再稼働方針を安易に変えようとしている菅直人首相は、問題の本質を理解しているようには見えない。
資源のない日本は国策として原子力に頼り、潤沢な電力ゆえに快適な生活と産業競争力を維持してきたことを忘れてはなるまい。
菅首相は全国の原子力発電所に対し、安全性の余裕度を測るストレステスト(耐性検査)の実施を打ち出した。
がれき特例法案 与野党で修正して成立を(全文はここからお入り下さい)
東日本大震災から4カ月を迎えようという今ごろになってようやく、被災自治体に代わり国が直接、がれきを処理できるとする特例法案が閣議決定され、国会に提出された。遅きに失したばかりか、中身も被災地への配慮が十分とは言い難い問題法案である。
まず、被災地で対応しきれないから特例法が必要なのに国は現地の要請を待って処理を代行するとしている点である。国直轄でやると明記すべきだろう。
次に費用面の問題だ。市町村に一定の負担を求めているが、すでに3月末に、国が100%負担する方針を決め、現行の廃棄物処理法に基づく地元負担を交付金で補填(ほてん)するとしていたではないか。
日経新聞(社説)
賠償支援法案は責任の分担も議論を(全文はここからお入り下さい)
福島第1原子力発電所事故に関して東京電力の賠償を支援するための「原発賠償支援法案」が、8日から衆院本会議で審議に入った。大震災と原発事故の発生から4カ月近くがたつ。与野党は審議を急ぎ、正式な賠償が早く始まるようにすべきだ。
支援法案には将来の事故に備える目的もある。原発災害が起きた場合の国と電力会社の責任分担なども議論し、必要ならば法案の一部を手直しするといった柔軟さも要る。
支援法案は、国などの出資で設立する支援機構に、すべての主要電力会社が負担金を出すよう求めている。国はいつでも換金できる交付国債を機構に出す。それらを原資として、機構は東電の資金繰りを助け、資本も注入する。東電は支援の引きかえに特別負担金を納める。こうした仕組みには、問題点もある。
まず今回の事故について、事故と無関係な他の電力会社の負担金が賠償の支援に回りかねない問題だ
南スーダンで日本の貢献示せ(全文はここからお入り下さい)
スーダンの南部がきょう独立し、アフリカで54番目の国となる「南スーダン共和国」が誕生する。半世紀に及ぶ内戦をへて、住民の悲願だった新たな国造りが始まる。国際社会は積極的に支えていきたい。
スーダンでは長年、アラブ系のイスラム教徒が多い北部と、アフリカ系のキリスト教徒が主体の南部の武力衝突が続き、2005年の包括和平合意で内戦がようやく終結した。今年1月に実施した住民投票で、南部の住民の99%が分離独立に賛成して新国家の誕生にこぎつけた。
だが、克服すべき課題は多い。住民の多くは貧困層だ。国造りをになう人材が足りない。道路や電力などのインフラ整備も遅れている。
東京新聞(社説)
若者の雇用格差 企業は正社員化を急げ(全文はここからお入り下さい)
企業の採用抑制で一九七〇年代後半生まれの世代は他世代よりも非正規雇用比率が高い-今年の労働経済白書は若者の雇用格差を取り上げた。放置すれば社会が揺らぐ。まず正社員化で是正を急げ。
夏空の下、汗まみれのスーツ姿が目立つ。来春の卒業予定者だけでなく既卒者や再来年の就職をめざす学生たちだ。正規と非正規とでは雇用期間や賃金格差が大きいことを知っているから真剣そのものだ。
今年の白書はバブル崩壊後の日本経済と世代ごとの働き方を分析した点が特徴である。七〇年代後半生まれの、いわゆるポスト団塊ジュニア世代は社会に出て十年ほどたっても非正規比率は10%台半ば近くの水準が続いている。
トヨタの増産 日本の復活見せる力に(全文はここからお入り下さい)
トヨタ自動車が、二〇一一年度の生産計画で前年度実績からの上積みを打ち出した。東日本大震災の影響で生産が大幅に落ち込んでいたトップ企業の巻き返しは、日本経済復活の試金石ともなる。
夏の電力供給に不安がある中、トヨタをはじめ自動車各社は木・金曜日に休んで土・日曜日に働く「土日操業」を始めた。節電に協力しながら、生産の遅れを取り戻す考えだ。