僕の家内は招き猫が好き

個人的なエッセイ?

「ふれあい」 星降る街 

2017年11月04日 | Music
悲しみに出逢うたび あの人を思い出す
こんなときそばにいて 肩を抱いてほしいと
                 「ふれあい」 中村雅俊

私はギターを弾くとき、いつもきまって、この歌を最初に歌います。
幼いころ、姉が教えてくれた、歌。

それ以来、私にとって「ふれあい」という歌は、大切なものになりました。

先日、大学時代に在籍していた、学生寮の同窓会がありました。
久しぶりに逢う仲間は、別人のように老けていました。

「お前、老けたなー」
思わず口にした私に向かって

「なに言っているんだ、お前のほうが老けているんだよ」
と、笑顔を見せて答える、友。

九州を、常夏の島とでも思っているのか、
十月の肌寒い夜に、半そでのシャツ一枚で歩く、北海道の友。

その横で、真冬のような厚着をしている「南国育ち」の私。

街を歩く奇妙な集団を、夜気が追いかけてきました。

グラスを掲げ、いっきにビールを飲み干しました。
苦味がのどを通り抜け、身体に染み込んでいきました。

私は、お酒が強くありません。
早くも、身体がほてり始めました。

机の真ん中には、私たちの胸の中で、
今も生き続けている、一人の友のグラスが置かれていました。

「お前も飲めよ」
私は、グラスを傾けました。

想い出をグラスに注いで、飲み干すたびに、
セピア色の風景がよみがえってきます。

兄弟のように助け合ってきた、同級生八人。
ここに、それぞれの人生があります。

人に言えない経験をした者もいることでしょう。

一人、ひとりの顔に刻まれたしわが、私の心を揺らしました。

何気ない心のふれあいが しあわせをつれてくる
人はみな 一人では 生きていけないものだから

私は、小さな声で、口ずさみました。
感情の高ぶりを、抑えることができませんでした。

私が山口へきて、七年がたちました。
たくさんの方々に励まされ助けられて、今日まで生きてきました。

正直、よくここまでこれたと思っています。
しかし今、初めて気づいたことがあります。

私は今まで、障害にぶち当たるたび、なぜ自分がこんな苦労をしなくてはならないかと、
心のどこかで、他人のせいにしてきたような気がします。

でも、考えてみれば、他人に左右されるほど、私たちの人生は、ちっぽけなもではありません。
この人生は、他人から与えられたものではなく、自分自身で選んだものなのです。

そして、幸福になる秘訣があるとしたなら、それは「今、自分は幸福なのだ」と信じることだと思えてきました。

自分を不幸だと思っているうちは、幸福なんて永久にやってこないのかもしれません。

苦労させられるのではなく、苦労するのだ。
愛されるのではなく、愛するのだ。

生かされているのではなく、生きるのだ。

私たちの両親は、どんな人間にも、それだけの力を与えてくれたはず。


今、この一瞬を大切にしたい。

未来を、望まず。
過去を、こだわらず。

自分が今ある、この瞬間を大切にしたい。

酔いがまわり薄れゆく意識。
私の脳裏の中を、次々と風景が駆け抜けていきました。

「ファイト、一発」
どこかで聞いたフレーズを叫びながら、私は深い眠りにつきました。

◆ 参考文献 「ふれあい」 中村雅俊

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