「自動車業界のビジネスモデル崩壊」 「脱ガソリン」反対 トヨタ社長、政府批判 / 毎日新聞

オンラインで記者団の取材に応じる日本自動車工業会の豊田章男会長＝ウェブ中継から　　

毎日新聞　2020年12月18日　東京朝刊

　菅義偉首相が打ち出した２０５０年に温室効果ガス排出を「実質ゼロ」にする目標に向け、産業界の「重鎮」が苦言を呈した。

　日本自動車工業会（自工会）の豊田章男会長（トヨタ自動車社長）は１７日、オンラインで取材に応じ、政府が３０年代に新車のガソリン車販売をなくすことを検討していることについて「自動車業界のビジネスモデルが崩壊してしまう」と懸念を示した。日本は火力発電の割合が大きいため、自動車の電動化だけでは二酸化炭素（ＣＯ２）の排出削減につながらないとの認識を強調し、電気自動車（ＥＶ）への急激な移行に反対する意向を示した。

　原発比率が高く、火力発電が日本と比べて少ないフランスを例に挙げ、「国のエネルギー政策の大変革なしに達成は難しい」「このままでは日本で車をつくれなくなる」などと発言。ＥＶが製造や発電段階でＣＯ２を多く排出することに触れ、「（そのことを）理解した上で、政治家の方はガソリン車なしと言っているのか」と語気を強めた。ガソリン車の比率が高い軽自動車を「地方では完全なライフライン」とし、「ガソリン車をなくすことでカーボンニュートラルに近づくと思われがちだが、今までの実績が無駄にならないように日本の良さを維持することを応援してほしい」と述べ、拙速な「脱ガソリン車」には賛成できない考えを示した。

　一方、日本鉄鋼連盟の橋本英二会長（日本製鉄社長）は１７日の定例記者会見で、５０年「実質ゼロ」の目標の実現について、研究開発に「１０年、２０年はかかり、個別企業として続けるのは無理だ」と述べ、国の支援を求める考えを示した。

　政府の目標達成には、自動車業界や鉄鋼業界の協力が不可欠。「財界総理」と言われる経団連会長を輩出し、政府に対する発言力も強いトヨタや日鉄のトップから懸念が示されたことで首相の「ゼロエミッション」は曲折も予想される。【松岡大地】
　　
　いいね！誰の入れ知恵か知らないが、30年後には菅総理は存在しないだろうし、アドバルーンだけ上げられても、日本で車をつくれなくなるなんてことになれば大メーカーに山のような関連会社の従業員が失業するわけで、愛知県だって中部国際空港だって閑古鳥が鳴きはじめるわけだ。もちろん全国の自動車城下町も含まれるよね。以前から自民党議員が総理に物を言えないような体質になっているそうだから、財界からどんどん忠告してもらわないと。ん？総理の政府の決定に反対する官僚は異動してもらう式に豊田章男会長もいじめられるかな？（笑）。車に鉄は国家そのものだと思うが・・・。さて、官房長官に官僚の皆さんは、つじつま合わせに忙しくなりそう！

　　

追記　　　

　　　
　　毎日新聞　2020年12月19日（土）朝刊　デジタル紙面（有料）から

「そんな先のことはわからない」は映画「カサブランカ」での主演ハンフリー・ボガートの名セリフ、昨夜どこに、と女に問われ「そんな昔のことなんか覚えていない」。今夜は？　「そんな先のことはわからない」のパロデイかな？