40代後半から起きる加齢による脳の働きの低下。これを防ぐ方法がある。ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校は、脳の老化は炭水化物の摂取量を減らすことで回避できるといういう研究結果を明らかにした。医療系ニュースサービス「メディカル・エクスプレス(MedicalXpress)」が伝えている。
研究者らは、脳の老化を調べるために18~88歳の約1000人を対象に調査を行った。彼らの脳をMRIでスキャンしたところ、加齢とともに脳の各領域間でのネットワーク機能の不安定、認知機能の低下、さらに肝臓や、筋肉脂肪細胞などでインスリンが正常に働かなくなる状態(インスリン抵抗性)が高まっていることが判明した。
さらに研究では、食事における脳の安定性を評価した。被験者らは2つのグループに分けられ、片方には標準的な食事を摂取してもらい、もう一方には肉や魚、サラダは食べるが、糖、穀物、米、デンプン質の多い野菜を含まない低炭水化物の食事を一定期間摂取させた。
すると標準的な食事を摂ると、主にブドウ糖が体全体の代謝の「燃料」となるが、低炭水化物食ではブドウ糖ではなく主にケトンがエネルギー源となることが明らかになった。
このほかにも、脳の老化現象はすでに47歳で現れ、60歳では最も急速に進行していることが判明した。50歳未満の若年者では、低炭水化物食の摂取により、脳全体の活動が活発になり、脳の各領域間でのネットワーク機能の安定もみられた。