マクガバンレポートは、1970年代後半にアメリカ上院議員マクガバン氏が連邦政府と議会に提出した一連のレポートで、先進国における食事と栄養摂取の誤りが、がん、心臓病、脳卒中の増加の根本的な原因であると強調しています。
マクガバンレポートの主要な内容
レポートは、ハンバーガー、ステーキ、アイスクリーム、炭酸飲料など、アメリカの典型的な食事に否定的な見解を示しています。これらの食事は肉食中心で偏っており、がんや心臓病、脳卒中などの「食源病」の発症を引き起こしていると警告しています。この種の疾患は薬物治療では解決できず、食事の改善が必要だと政府に勧告しています。
マクガバンレポートで挙げられている改善目標
マクガバンレポートでは具体的な改善目標として、以下の7項目が挙げられています。
- 肥満を避けるため、消費熱量と同じだけの熱量しか摂取しない。肥満になれば、摂取を減らし消費を増やすこと
- 複合炭水化物および「天然に存在する」糖分の摂取量を総摂取量の約28%から48%に増加させること
- 精糖および加工糖の摂取と約45%減らし、総摂取量のの10%とすること
- 全脂肪摂取熱量を、総摂取量の40%から30%に減らすこと
- 飽和脂肪酸の摂取量を総摂取量の約10%減らすこと。ポリ不飽和脂肪とモノ不飽和脂肪の摂取バランスをとり、それぞれが総摂取量の約10%になるようにすること
- コレステロール摂取を1日300mgにまで減らすこと
- ナトリウムの摂取を制限するため、食塩の摂取を1日5gに減らすこと
これらの食事内容の改善により、がんの発病も、がんによる死亡も20%減少し、心臓病は25%減少、糖尿病は50%も減少すると推計学的予測も示されています。
マクガバンレポートと日本人の食生活
日本の伝統的な食生活は、米、魚、野菜、豆腐やその他の大豆製品、海藻などを主成分としたバランスの良い食事で知られています。これらの食品は、マクガバンレポートで推奨された食事要素と一致します。しかし、近年では日本人の食生活が西洋化しており、それに伴いマクガバンレポートで指摘されているような食源病の増加が深刻な問題となっています。
まとめ
マクガバンレポートは、食事の改善が健康への大きな影響をもたらすことを強調しています。特に、肉食中心の食事や砂糖の過剰摂取は、「食源病」と呼ばれるがん、心臓病、脳卒中などの病気を引き起こす可能性があります。日本の伝統的な食生活は、マクガバンレポートで推奨される食事要素を含んでいますが、西洋化に伴い、その改善が求められています。