1980年封切りの映画で、当時私は映画館で観て、強烈な衝撃を受けました。
あれから、38年もの長い年月を経ての再鑑賞となりましたが、ストーリー展開はもちろん、要所要所の場面や台詞など、はっきりと覚えていたことに、自分自身でもびっくりしました。40年ほども昔の記憶がはっきりと残っており、その記憶が鮮やかに蘇るくらいに、それほどに私にとっては、強烈な映画だったのでしょう。
こういった映画は、テレビやパソコンで観るのではなく、広くて大きいスクリーンで観るべきですね。映画館で観ると、病室の中で繰り広げられる衝撃的なシーンや、大きな音響は迫力があります。しかも、映画館だと周囲が暗いから、映画のシーンだけに没頭できて、完全に映画の中に引き込まれてしまいます。
最近は、映画館もすっかり少なくなりましたが。
封切りを映画館で見た私は、中野良子演じる医師が、患者の救命のために懸命に治療を尽くすその姿勢に、強く心を打たれました。当時、私はまだ若くて、純粋で多感な年代だったというのもあろうかと思います。私が将来どんな職業に就こうとも、このようなひたむきな姿勢で仕事に取り組んでいこう、人の役に立つ仕事をしようと、心に誓ったものでした。そして、現実に、それからしばらくの間は、私の行動に強く影響を与え続けてくれました。
なお、この映画のことをホラー映画の類だと評する書き込みをけっこう見かけますが、私はこれは、「ホラーとはちょっと違うんではないか。」と、考えています。
まぁ、受け止め方は人それぞれでよいので、そのことに反論したり、批評したりするまでもないのですが。少なくとも私は、この映画は、医療現場をそれなりにリアルに描いた、感動物語だと受け止めています。
この映画の中では、患者である女の子の両親、特に(十朱幸代が演ずる)母親に、精神の変調がみられる描写があります。これも現実にあり得ることと思われます。我が子、とくにかわいい盛りの女の子が、病に冒され、もがき苦しみ、過酷でショッキングな治療を受けるのです。それを目の当たりにするわけです。両親にとっても、それはそれはつらい仕打ちだと言えます。
その描写もそれなりにリアルで、これもまた、すばらしいです。
途中、父親の母親(患者の女の子にとってはおばあちゃん)が病院を訪れ、「これもまた、世代の繰り返しだ。今度は、お前たちが苦しむ番だ。」と言いながら涙ぐむ場面も、ジーンとくるものがありました。
この映画、衝撃的で感動を与えてくれます。本当にすばらしい映画です。
震える舌 | |
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では、また。