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簡単にいえば「理学療法」は日常の基本的動作のリハビリ。
「作業療法」は基本的動作の応用的なリハビリ。
英語表記ですと「Physiotherapy」と「Occupational therapy」。
私の場合でいえば、全く動けない状態で転院してきたので
「理学療法」では動けるようになることが第一義。
先ず自分の足で立てるようになること、
車椅子に移乗できるようになること、
車椅子を自分で動かせるようになること、
最終的には自分の足で歩けるようになること。
「作業療法」で最初に始めたのは
自分の手で食事を摂れるようにすること。
次には、服の着替えをする、
風呂やトイレを自分で済ませる、等など。
リハビリは一日3時間。
当初はそれだけでしたが、3ヶ月ほど経って
自分で車椅子で移動できるようになると
一階のリハビリ室に出かけて
自主トレーニングをするようになりました。
主にエアロバイクを漕ぐのですが
オーティス・レディングのCDを聴きながら1時間ほど。
自分の足で立つこともままならなかったのですが、
1ヶ月2ヶ月とリハビリを続ける内に何とか立てるように。
となると次は歩く訓練です。
赤ちゃんがハイハイを始めてやがて立ち上がり
歩けるようになるのとは訳が違います。
人は歩くときに何か特別のことを考えているでしょうか?
赤ちゃんが歩き出すのは自然の流れでしょうし、
人が歩くときには目的に向かうという意識しかないはずです。
ところが、ようやく立てるようになった私ですが、
どうすれば一歩が踏み出せるのかが分からないのです。
頸椎の3・4・5番損傷で首から下の神経が途切れているので
立ってはいても自分の足がどこにあるのか分からないのです。
もちろん、目で見ることができるので
「ああ、地面に足が着いているいるなぁ」とは分かるのですが
目で見て分かるだけで、立っているという実感は全くないのです。
この辺の表現はとても難しいところですね。
立っているのに立っているのが理解できていない、みたいな。
歩くための補助の器具を使ったトレーニング、
半年近く寝た切りでしたので
基本的な筋力を付けるトレーニング、
自主トレーニングと取り組んではいましたが
歩けるようになれるとはとても思えない日々が続きました。
この頃が理学療法士さんにとっても
わたしにとっても一番辛い時期でした。
to be continued