兵庫県豊岡市では、2011年10月以来、JR山陰線江原駅と神鍋高原(関西圏ではスキーやキャンプで有名)間を結ぶバス運賃を、本来最高680円のところ市がバス会社に補助する形で「上限200円」に抑制する仕組みを導入していました。
最初は3年限定だったのを2014年10月から3年延長し(その後も継続)、
https://www.sankei.com/article/20140816-W337EZRTWNJT3KANVGRDUVEMGA/
https://www.city.toyooka.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/602/1.pdf
2018年に日本政策投資銀行がまとめた地域公共交通に関するレポートの記述によれば
https://www.dbj.jp/topics/region/industry/files/0000030511_file2.pdf (21~22ページ)
「運賃値下げなどの施策を導入する前に年間6万人程度に落ち込んだ利用客を、近年は10万人程度にまで回復させることに成功した」とあります。
しかし、この施策は、2022年3月末限りで終了となりました。
運行する全但バスの公式サイトによれば、
https://www.zentanbus.co.jp/information/31453/
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●運賃を変更する路線
- [11] 神鍋高原線
神鍋高原線においては、2011年より運賃の上限を200円として運行しておりましたが、協働運行の取り組み終了に伴い、上限運賃を撤廃した、ご利用区間の距離に応じた運賃に変更します。ダイヤ改正後の主な区間の運賃は下記のとおりです。
【主な区間の運賃】
・江原駅→植村冒険館前:280円
・江原駅→神鍋温泉ゆとろぎ前:640円
・江原駅→稲葉:710円
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とあります。つまり、区間によっては一気に運賃が3倍以上になってしまったわけですね。
豊岡市では「高校生がバス通学する場合、定期券の購入費用1カ月当たり15,000円を超える部分を全額市が補助する」仕組みがあり、主要ユーザーの高校生の親御さんにとっては極端な負担増にはならなかったと思われます。全但バスの通学定期運賃はネット上で公開されていませんが、運賃200円区間の通学定期運賃は10000円以下のはずで、たとえ市からの補助があっても負担増は負担増ですが。
https://www.city.toyooka.lg.jp/kurashi/dorokotsu/buskotsu/1019186.html
ちなみに、この協働運行の取り組み終了に関しては、全但バスが発信する情報以外では各種報道でもネット上でも見つけることはできませんでした(豊岡市の公式サイトにも見当たりません)。豊岡市では2001年以来務めていた市長が2021年の選挙で落選し、各種施策が変わりましたが、あるいはその一環かもしれません。一切の報道が見当たらないというのは、地元も納得の上の施策変更だからと信じたいです。
なお、日高神鍋観光協会のサイトの「アクセス」のページには、運賃大幅値上げから半月経過しても「全但バス 神鍋高原線時刻表(8.神鍋高原線 上限200円バスをご覧ください)」の文言が残ったままです。