親戚の親父さんに、カラオケに行かないオジさんがいる。
恐いところもあるけどとても優しいところもあるオジさんだ。
お題のように、オジさんはカラオケに行かない。
正確には、カラオケに付き添いで行くけど、歌を歌わない。
オジさんは昔、ケンカ暴力沙汰で刑務所に入っていたことがあるとか。
そういう過去を持っていることを知ったら、やっぱり恐いものだけど、
自分が年齢を重ねると、オジさんの持っている、他の人に感じない暖かさみたいなものを感じる時がある。
とはいっても、年に数回、話しをするだけなので、オジさんについて詳しく知ってるわけではない。
でも会話していると、普通の人があきらめて切り捨てるようなところを、救おうとするところがある。
その行為に何度か救われてる私。
オジさんは60歳を越えて、自宅の大きい庭で本格的な農業をやっているようだ。
大きな大根などの野菜が自宅に届けられる、たまに。
オジさんが歌を歌わない理由を、最近になって身に染みてわかってきた。
ちなみにオジさんは酒の会話のなかでは、面白おかしく鼻歌を歌ったりする。
でもカラオケで歌を歌わない。
他人がカラオケで歌っているのを聴いてるだけだ。
歌わないけど決してイヤな印象はない。
ただオジさん、自分は歌わないという姿勢だ。
マイクを渡そうとすると、「オレはいーから!」と手を振って拒否する。
その時、ちょっと悲しい。
オジさんが歌を歌わない理由、理由というより事情。
オジさんは、野菜の無言の叫びを毎朝爆音で聴いてるのかもしれない。