井上ひさしの戯曲『太鼓たたいて笛ふいて』を読んだ。
小説家、林芙美子の後半生を描いた作品だ。以前、大竹しのぶ主演で上演されたものを観たことがある。忘れているところもたくさんあったが、観劇したときの記憶が戯曲を読むと甦って来た。
井上ひさしの戯曲は起承転結がはっきりしていて物語としてとてもわかりやすい。
そして、これは音楽劇なのだが、その音楽が過去の著名な音楽に詩をつけたものだ、ということを今回解説を読んで初めて知った。井上ひさしが最近よく使っている方法だそう。
そんなことを知らなくても音楽劇としてこの作品は楽しめたし、もしその元となった音楽やミュージカルを知っていたらより楽しめただろう。
同じように、私は林芙美子のことをよく知らない。作品も、あまり意識して読んだことがない。それでもこの作品は楽しめた。
知らなくても楽しめるし、知っているとより深くなる。
そんな懐の深い作品だな、と思った。
実在の人物を題材にしているだけに、わかりやすくても重みがある。
感想を書くにも、自分は何だか、まだまだ未熟である。