ピアノの先生

以前も書きましたが、娘は、現在週に三日ほどパートの仕事をしています。
なんだかんだと、すでに一年以上が経ちました。

大きな物流センターの中で、品物を出す仕事だと聞きました。
結構重労働のようで、娘は最近、また痩せてしまったように思います。

大勢の人が行きかう職場で、しかも娘のように週に何回かしか出勤してこない人が多く、入れ替わり立ち代わりで、顔を合わせる人も日によって違うようです。
娘は、知り合いからの紹介で今の仕事に就いたのですが、その人とは別の仕事をしているため、その人ともあまり会うことはないようです。

そんな職場ですが、ふと見かけた人が、以前娘がピアノを習っていたときの先生に似ていると思ったとか。
その人の名前を調べて、私に
「私のピアノの先生って、なんていう名前だった？」
と聞いてきました。
娘のピアノの先生は、私が小学校の役員をしていたときに知り合った人の娘さんでした。
「娘がピアノを教えているんだけど、良かったら習いに来ない？」
と言われ、それがきっかけで娘はピアノを習うことになりました。
なので、母親の名前は憶えているのですが、娘である先生の名前となるとあまり思い出せません。
すでに結婚されていて、苗字が変わっていたと思います。
娘から名前を聞き、そうであるような？ないような？
「もしも違ったら悪いから、声はかけないでいるけど、似ている気がする。
あの頃から２０年以上経っているから、先生も年を取ったと思うし、年齢からしてもパート先の人と合っている気がするんだけど・・・」
と言っていました。
そんな話をしたのが、数か月前でした。

娘に仕事を紹介してくれた人に
「あの人、私のピアノの先生だったような気がして、気になっているの。」
と話したところ、後日、その人がピアノの先生と思われる人に娘の事を話してみたそうです。
それで、娘が思った通り、ピアノの先生本人だったというのがわかりました。

先日、仕事が終わって帰ろうとすると、突然、声をかけられ、見るとピアノの先生でした。
「しばらく！」
ということから話が始まり、一気にお互いの近況報告になったとか。

ピアノの先生なので生徒も代々だと思うし、娘の事を覚えているかどうかもわからなかったけれど、先生は娘の事はよく覚えていたそうです。
でも、ピアノを習っていたのは、娘が小学生の頃のことなので、今の娘を見ても、当時の娘と一致しなかったというのが先生の話です。
それは、当然だと思います。
先生は、今でもピアノを二か所で教えているのですが、午前中は時間が開くため、娘と同じ職場でパートをしているということでした。

娘は、結婚して３人の子供がいることを話し、先生も娘さんがすでに結婚して、おばあちゃんになっているということを聞いたそうです。
ってことは、私が一緒に小学校の役員をしていた人は、すでに曾おばあちゃんということなので、びっくりです。

「お母さんは元気？」
と私の事も聞き、
「お兄ちゃんは？あのイケメン君は、どうしているの？」
と言っていたとか。
先生、息子の事をそんな風に思っていてくれたんだ～
「いまだに独身で家にいる」
と娘は答えたとか。

息子も、ほんの一時、先生からピアノを習っていたことがありました。
娘が習っているのを見て、自分もピアノをやりたいと言い出し、娘と一緒にレッスンに通い出したのですが、発表会を経験してから、習いに行くのを嫌がるようになってしまいました。
というのも息子は、発表会の時、途中で演奏に詰まってしまい、しばらく中断した後、続きを再開したのですが、緊張のために頭の中が真っ白になってしまって、その場をどうして良いかわからなくなってしまったようです。
でも、曲を知らない人にとっては、息子のそんな実情がわかっていなくて、
「すごいね！２曲も演奏したのね」
なんて、言われていました。
私は、笑ってしまいましたが、当人にしてみれば、その時の事がトラウマのようになってしまい、そのあと、すぐにピアノは止めてしまいました。
たぶん、１年間通ったかどうかというところです。
そんな短期間しかレッスンには行っていなかったのに、息子の事も覚えていてくれたようです。
”イケメン君”なんて、言って貰いましたが、今の息子に会ったら、がっかりするだろうなと内心思いました。
ますます太ってしまって、子供の頃の息子とは全く違う印象になっていると思います。

話が進むにつれて先生が、
「良かったら、娘さんもピアノを習いに来ない？」
というので、ミニに打診してみたところ、
「やりたい」
と言ったらしく、近いうちに行ってくることになったそうです。

ひょんなことから、ピアノの先生に会うことになって、ミニがピアノを習うことになり、思いがけない展開になりました。
縁って不思議です。