はーちゃんの気晴らし日記

気ままに 楽しく 書きくけこっこ!

真夜中の電話

2007年04月06日 | 我が家
10年以上前のことです。

真夜中に電話がありました。
息子の中学時代の同級生からの電話でした。
たまたま息子が電話を取りました。
「埼玉へ行った中学の同級生がこっちに帰ってきているらしい。会いたいと言っているから、会ってくる」
と息子が言ってきました。
「こんな夜中に?」
と私が言うと息子は、
「久しぶりにこっちに帰ってきて、このまま埼玉へ帰るらしい。その前にちょっと話がしたいと言って来た。10分くらいで帰ってくるよ。」
と言ってパジャマのまま素足にサンダルをひっかけて出て行きました。

息子が玄関を出て行ってから、家の前から車が立ち去る音がしました。
それから私はなんとなく気になって眠れませんでした。
息子から聞いた名前は、友達と言ってもそれほど深い付き合いがあったというわけでもない名前でした。
その中の一人は、同じクラスになったことがあったり、2~3回私の家に遊びに来たこともありましたが、その後長い付き合いがあったとは、思えませんでした。

1時間待っても息子は帰ってくる様子がなく、ますます気になって息子の携帯に電話してみました。
でも、携帯は家に置いたままでした。
待っても待っても息子は帰って来ることはなく、外は明るくなりかけていました。
私はそのまま眠れずに、台所でぼんやりしていました。

4時近くなって外が明るくなった頃、息子が帰ってきました。
見ると全身傷だらけでした。
息子の話では、出て行くといきなり車に乗せられ、中学校の校庭に連れて行かれて、同級生3人から殴ったり蹴ったりされたと言います。
息子は、パジャマのまま出て行ったため、寒さもあったでしょうし、予想もしなかった事態に驚いていたのとで震えていました。
私も話を聞きながら、足元がおぼつかなかったのを覚えています。

なぜ、4年以上も会っていない同級生がいきなり尋ねてきて、息子に危害を加えるようなことになったのか。
そのときの息子には全く心当たりもなく、ただ動転していました。

朝になるのを待って、普段から付き合いのある息子の同級生に連絡を取り、事態を説明しました。
すぐに同級生とその母親達が飛んできてくれました。
その結果、一つだけ思い当たる事が見つかりました。

2日前に、中学の同級生の女子と数人でカラオケに行ったらしいのです。
その女子の中に今回暴力を振るった同級生が思いを寄せていた女子がいたそうです。
過度なやきもちから息子が逆恨みされて、暴力を振るわれたのだろうとみんなで推測しました。
でも、息子はそのとき、誰が来るのかも知らず、ただ友達に誘われるままカラオケに行っただけでした。
そして、その女子に対しては、何の感情も持っていませんでした。

私はその後すぐに警察に行きました。
当時、息子はまだ未成年だったため、少年課に行くように言われました。
私と話した警察官は、
「単にそれだけの理由で暴力を振るったとは思えないから、お宅のお子さんにも暴力をふるわれるような何かがあったんでしょう」
と言いました。
「でも、何も心当たりがないから息子も誘われるままに出て行ったわけだし、だいたい4~5年も全く会っていない相手に何があるというんですか?
そんな単純な理由だけで暴力をふるってくるような相手だからこそ、私たちは話し合いのしようがなくて、相談に来たんですよ。」
と、言っても、
「とにかく気をつけてください。」
「何かあったら連絡してください。」
と言われただけでした。
「相手は、これからもつきまとうようなことを言っているし、何かあってからでは遅いんです。何とかしてください。」
と私が言ったとき、
「警察は何かなければ動けないんですよ。」
と言われました。
息子の場合、幸い打撲と擦り傷だけで、大きな怪我をしたわけではなかったけれど、もっと大事になっていないと、警察は動けないという。
”「何かなければ動けない」って、何かがあったら、大変なことでしょう!”
と私は思いました。

相手が特定できているのだから、警察の方で何とか手を打ってもらえないものかと思いましたが、息子の怪我がたいしたことがなかったからか、防犯ベルを買うように勧められ、自分達で注意するように言われただけでした。

それから、毎晩のように夜中にいやがらせの電話がありました。
私達は睡眠不足に悩まされるようになり、寝るときには電話線を抜いて寝るようにしました。
そして、その後、電話番号も変えました。

警察があてにならないのがわかり、心配した友達が交代で息子についてくれて、しばらくの間、外出時は一緒に行動してくれたりしました。

幸いそれ以来、直接暴力的な事は何もなかったけれど、それからの日常生活は落ち着かず、しばらくの間いつも何かにおびえているような日々で生きた心地のしないものでした。

私たち力のない一般庶民はこんなとき警察に頼る以外何もないのに、注意するようにとだけ言われても、どうしたらいいのかわかりませんでした。

警察に助けを求めているのに取り合ってもらえずに、命を亡くされた方々の話を聞くたびに、私もかつての息子の事を思い出し、我が家はあれだけのことで済んで良かったと思うと同時に、なぜ、もっと親身になってもらえないのかとはがゆい思いを抱きます。

その暴力をふるった3人も今は、どこでどうしているやらですが、後で聞いた話によると、私が警察に行ったことでかなりビビッたということや、やはり主になっていた人間のやきもちから、残りの二人がそれに同調して息子を襲ったということなどがわかりました。

私の人生の中で、こんな暴力沙汰を経験するなどとは思ってもみませんでしたが、警察のいい加減さの話になると、このことを思い出します。


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